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re:end  作者: おっさん
9/11

9/22   不安に押しつぶされたまま

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    また白い空間にいた。

    その空間には人がいた。

    俺ことグレイ=アンドリューと同じ髪の色をした男が。

    丸眼鏡をした30を過ぎたくらいであろう男が口を開く。

    そして微かに、しかしはっきりと聞こえる声で、

    「く……」

    しかし突如その男の姿が小さくなる。

    俺と男の距離が離れていっているのだ。

    それに従い声も聞こえなくなる。

    ただ男が口を動かすことが見えるだけ。

    そして白い空間自体がかすれていき……

    何も見えなくなった。


9/22   AM9:55   203号室

 と、ここで俺は目が覚めた。

体中汗でビショビショなのが感じる。

天井が開いているせいで肌寒いはずなのに。

今見ていたものが夢なのかどうなのかわからない。

ただ……何となくだが今見ていたもので出てきた男は見たことがある気がする。

あくまで何となくだが。

それよりもあの白い空間で見るものは次第に詳しくなっている。

このままあの白い空間に居続けたらどうなってしまうのだろうか。

まぁとりあえずあの空間に居続けたらよくない雰囲気がする。

これもあくまで何となくだが。

ただどのタイミングであの空間で行くのかわからないが。

……大家さんの料理を食べると高確率であの空間に行きつく気はする。

ということは大家さんの料理を食べなければいいのか!!

と、ここで気付く。

いつも入り浸っている大家さんがいないのだった。

「……?」


9/22   AM10:10   203号室

 さっさと朝食を済ませて魔術の練習を始める。

大家さんがいないため口の中の感覚がなくなるとかそういうアクシデントはない。

いたって平和な一日。

しかしそんな平和に少し居心地が悪い気持ちになったりするがそこらへんは気にせずスルーして赤魔術の練習ことマナの生成を試みる。

今日こそうまくいけばいいのだが……。


9/22   PM5:50    203号室

 そんな期待とは裏腹に今日もうまくいかなかった。

まぁそんなもんだろう。

しかしこんな風にいたずらに時間を費やしてちゃんと28日までに赤魔術を会得できるのだろうか。

最近ずっとこの調子だ。

どうしても不安が頭から離れない。

このままではいけなのだろう。

この時ほど話し相手が必要だと思ったことはない。

何となくだが202号室に立ち寄ってみよう。

……なぜ大家さんの部屋にわざわざこの時行ったのか未だによくわからない。


9/22   PM6:00    202号室前

 ドアをノックしてもインターホンを鳴らしても大家さんは出てこない。

というよりドアの向こう側で何かが動くような音は全くしない。

どうやら誰もいないようだ。

このことを自覚したのはドアをたたき続けて十分ほどたったぐらいであった。

それから俺は自分の部屋に戻るわけではなく錆びた鉄階段を降り、町に向かって歩き出す。

行く場所などなく あてもないまま歩き出すのだった。


9/22     

 どれほど歩いたのだろうか。

30分?1時間?いや、もっと歩いたのだろう。

しかしたどり着いたのは見慣れた公園。いや、あてもなく歩き続けたのだからたどり着く先はないのだが。

どうやらぐるっと一周してしまったのだろう。

何のために歩いたのか。

歩けばこの迷いが吹っ切れると思ったのか。

元居たところとは違うどこかに行けると思ったのか。

この歩いた時間練習をしたらもしかしたら赤魔術が会得できたのではないか。

そんな考えがふつふつと浮かび上がっては

体中がその考えに浸される。

浸食される。

自分のすべてが否定されるかのような感覚。

なぜ誰でもできる魔術が使えないのか

なぜこんなこともできないのか

なぜそんな奴がこんなとこにいるのか

なぜそんな奴が魔術士になっているのか

自分の進んできた道が正しくなかったのではないかと思わず考えてしまう。


  グレイ=アンドリューはまともな思考を行うことができなくなっていた。


9/22

 行きついた先の公園でブランコに乗ってこぎ続ける

もうどれほど経ったのだろうか。

周囲は完全に闇に囲まれブランコをこぐことによって発する音だけが響く。

その中グレイ=アンドリューはどこを見るわけでもなく、いや見ているのだがその眼は何も映っていない。

瞳孔が開いている。

光を発しておらずまるでガラス玉かのような質感を持っている。

限界だった。


「お~い!そこの不審者!逮捕するぞい。」

そんな声が鼓膜を揺らした。

声がした方向を目だけ移動させて見ると田中さんが立っていた。

こっちにやってくる。

「お前……。」

田中さんは俺の目の前に立った。

俺は無理に笑顔を作り、「あーはいはい。帰りますよー。」とつぶやく。

ブランコから立ち上がり、田中さんのそばを通り過ぎようとすると、肩を「ガッ」と掴まれた。

「まぁ待て。ここで取り調べだ。」


田中さんはのんびりとブランコに座り、俺と対面する。

「無理し過ぎなんじゃないか。」おもむろに田中さんはしゃべる。

俺は座る田中さんの制帽の上あたりをじっと見つめる。

そんな俺を見て聞いてるのか聞いていないのかそんなことは大したことじゃないように話を続ける。

「もともとそんなにきれいじゃない顔が疲労とかうんぬんかんぬんで見るも無残になっているぞ。

「…………なんだよ。文句を言いに来たのかよ。」

「まぁそんなもんだがな。」

「……帰るぞ、くそポリス。」

「まぁ人の話は聞けよ、クソガキ。」

何のために来たんだ。こいつは。

「ほどほどでいいんだよ。のんびりまったりしてたら意外となんとかなるもんだ。」

「…………ほどほどにのんびりまったりしていたら後々苦労する羽目になったんですけど。」

「あ……あらそう。」

「……。」

「……。」

「……。帰っていい?」

「あ―――――――――!待って!!つまりこういうことだよ。時々さぼれ。がつがつしすぎてても答え見えないときあるからな。時々止まってゆっくり周り見ていたら意外と答えへの順路が見えるかもしれないし。」

「そんなもんかいね。というかこんな時頑張りが足りないーとかもっと頑張らないかい!とか言わないのかよ。」

「…………十分頑張っている奴にそんなの言うのは失礼に値するからな。俺は言わない。」

そういう田中さんの声は力強かった。

「大体さ、そんなことを言うのって今までそいつのやってきたことを否定しているじゃん。それに本当に頑張っているのだったら遅かれ早かれ必ず結果は追いついてくるだろうし。」

…………語るなぁ。このくそ警官が。

「遅く結果が出てきたらアウトなんですけど。さっさと結果を出したいんですけど。」

「ですよねー。」

グダグダですね。田中さん。

「聞くだけだけど今なんに困ってるんだ?聞くだけだけど。」

大切なことだから2回言ったな。田中さん。

「…………魔術が……使えなくて……」

「ハァ??なんとおっしゃいましたか??」

……こいつ……聞こえてながら聞いてきやがる……

「魔術が使えないんですぅ!!」と、ここで俺は気が付く。

もしかしたら田中さんも赤魔術士なのではないか。

もしよければ赤魔術について教えてもらえるのではないか。

「ちょっと田中さん。赤魔術士だったりする?」

「いや。違うけど。」

「じゃぁ青魔術か黄魔術か……」

「いや。違うけど。」

「…………」

それって…………

「魔術使えないんじゃん!?」

おもわず叫んでしまった。


「いいんだよ。魔術士じゃないんだし。」

「この国で生きていくのに困らないのか?」

「それじゃあ聞くけどさ。お前今まで困っていたのに魔術使えるように練習したのか?」

「…………してないです。」

「それに魔術って使うのかなり簡単だからすぐに使えるようになるさ。」

「いや、俺と同じように魔術使えないやつに言われても説得力ないんですけど。」

「まぁ要するに何事もほどほどにということです。」

なんだそれ。

「あーはいはい。ほどほどに頑張っていきまーす。」

そういいながら俺は手をひらひら振りながら去っていく。

さすがに田中さんのよくわからない説教で今までの不安をすべてぬぐい切れたわけじゃない。

それだけど何となくだが前よりも楽になった気がする。

確かに残り数日で魔術を会得するのは限りなく難しいだろう。

しかしまともに練習したのはたった2日程度なのだ。

残りは5日程度ある。

何とかなるだろう。多分。

とか無理やり前向き思考で歩いていたら見覚えのあるボロアパートが目に入る。


9/22   PM11:55    203号室

部屋に入る。やはり大家さんはいなかった。天井がないので照明もない。闇の中で目覚まし時計の文字盤が蛍光塗料で薄く見える。

現在時刻は夜の11時55分。

ずいぶんと長い間外にいたものだ。

そんなことを思いながら懐中電灯を探すために手探りで進む。

全然前が見えないためそろりそろりと進む。

机の上にある懐中電灯をつかむのと同時に部屋中が明るくなる。

いや、部屋中だけではない。

部屋の外も一気に明るくなる。

世界は煌々とした赤色に染め上げられる。

そして突如として爆風が襲う。

音が大き過ぎて音が力として爆風とともにやってきたのだった。

もともと天井がなかった203号室の壁は爆風によって崩れた。

そして世界が赤くなった原因が見えやすくなった。


       燃えていた。

       


オフリッド中央魔術センターが業火を纏っていた。


目覚まし時計を見ると11時58分。



また一日が始まる。


主人公は魔術を会得できるんでしょうか。

というよりそもそも模擬戦するんでしょうか。魔術センターなんか燃えちゃってますけど。

あそこ集合でしょ?大丈夫なん?


なんて心の声を漏らすのはここら辺に。


お読みいただきありがとうございました。


結構文字数だけを重ねるけどもまともに話は進まずそろそろぶちぎれそうだと思います。

そろそろここらへんで事件を一つ、二つ…………

 

そういえば…………中二病ズ以外の住民も出さなければ…………


なんて反省会みたいなノリになってしまいましたがもしよければ次回もお読みください。


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