第6話 どうしよっか…??
気を取り直して次に行こう。先に宿を取っておこうかな。
「ごめんくださーい!」
「はいよ!」
ドアを開けると恰幅のいいおばちゃんが出てきた。
「一泊いくらですか?」
「夕飯付きで大銅貨1枚、なしだと銅貨7枚だよ!」
「分かりました。じゃあとりあえず食事付き一週間でお願いします。」
俺は銀貨1枚を渡した。すると
「毎度あり!鍵はこれだよ。失くさないように気をつけな!」
といって大銅貨3枚をおつりでくれた。ということは、銀貨1枚=大銅貨10枚かな?
さて、宿も取ったし次は図書館に行こう。
図書館は閑散としていた。全然流行ってないみたい。まあ入場料高いしな。銀貨1枚も取られた。
そういえば、さっきから平然と色々とお金払ってるけど、どこで手に入れたかって?
もちろん、盗んでなんかないよ。そんなこと(必要に駆られなければ)やらないよ!
たまたま森で、冒険者の亡骸らしきものを見つけて一緒に落ちてた袋に銀貨4枚が入ってたのさ!
というわけで全財産は残り僅かです。明日から稼がなくては。
司書のお姉さんから注意事項を聞いたあと、俺は念入りに情報収集をはじめた。
本を読んでると時間が経つのが早いな。いつの間にか3時間も経ってた。
さて、この世界のことが色々とわかってきたな…
まず、硬貨に関しては、
銅貨10枚=大銅貨1枚(=約1000円)
大銅貨10枚=銀貨1枚(=約10000円)
銀貨100枚=金貨1枚
金貨100枚=白金貨1枚
となっている。
次に、大陸に関しては、現時点で確認されてるのが2つあってノーム大陸と魔大陸と呼ばれているらしい。
ノーム大陸は、魔族以外の種族が住む大陸で、
中央に北から
人族至上主義のヒューム聖国、
様々な種族が入り混じって暮らすフォース王国、今いるこの街もこの王国の街の一つ。
そして、初代勇者が建国した、ジュペール共和国。
北西にエルフが治めるフルール王国、
南西にドワーフが治めるワッフル王国、
南東に獣人族が治めるバース王国、
そして北東には魔族領の飛び地、クリューがある。
魔大陸はクリューから海を渡ってさらに北東に進んだところにあるらしい。クリューは魔族のノーム大陸進出の第一歩といったところのようだ。
魔族とその他の種族は対立している、ように書いてあるが色々調べると、どうもヒューム聖国が、一方的に敵視しているらしく、魔大陸の侵略を狙っているようだ。
ちなみに勇者召喚を行なっているのもこの国だ。ということは召喚された勇者はきっとこき使われてるんだろうな。かわいそうに。
まあ、そんなことはどうだっていいんだよ。
問題は俺の種族である「魔人」のことである。
調べてみると、、、
「魔人」:なんらかの方法・原因で、魔物の血肉を体に取り込んだ者、もしくは自身の体の限界以上に魔力を蓄えて存在が変質した者。見かけは人族または、その他の種族と変わらないこともあるが、力が抑えられず暴走したケースが多数確認されているため、ノーム大陸の各国では見つけ次第討伐することを推奨している。懸賞金がかけられている場合もある。
ふむ。俺が暴走しないのは確実に<最適化>のおかげだな。うん。
ってそうじゃなくてこれ、やばいよね?はっきり言ってどこにも居場所ないってことだよね??
……バレなきゃいいか。
この後俺は、雑貨屋にダッシュで行って、包帯をたくさん買って右腕をぐるぐる巻きにした。
これでそうそうバレないはず。たぶん。きっと。頼むから。
次に、俺は武具屋に行って安い革の鎧を買った。本当に安いやつ。大銅貨2枚くらい。
そんなんでいいのかって思うかもしれないけど、<合成>と<最適化>を思い出してほしい。
その2つを使えば、ただの革鎧(レア度1)だって……
「鬼鎧」:オーガの皮膚を用いて作られた鎧。頑丈で軽い。レア度4。
となるわけだ。そこらへんの鍛冶屋なんかよりいい仕事してるはず。だって「最適化」だもんな。鍛冶屋にいるであろう偏屈なドワーフには一生会わないかもしれん。
今日はこんなところかな。
俺は宿に戻って夕飯を食べてベッドに転がった。粗末な藁のベッドだけど木の上よりはよっぽど寝心地がいい。
考え事をする間も無く、俺は眠りに落ちた。