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第18話 販売は順調…??



宿に戻ると、アリアはすでに部屋で待っていた。


まあ、そうだよね。頼んだのは買い物だし。


「お帰りなさい。なんだか妻って感じが…いえ、なんでもありません。言われた通り雑貨屋を回って空き瓶を買い集めておきました!こんなにたくさん何に使うんですか?」


相変わらずだな。


「ポーションを入れようと思ってね。」

「えっ、ハヤトくん。ポーションを作れるんですか?とういことは錬成が?」


アリアには俺の<合成>と<最適化>については詳しく説明していない。


ただ、彼女の魔人の力を最適化させたから、何かそういう能力があるんだろう、ってぐらいはわかってると思うけど。


この先何があるかわからないから、味方でもできる限り情報は漏らさないでいくつもりだ。


「いや、錬成じゃないけど似たようなスキルでね。買うと高いし作れるなら作った方がいいよね。」



そう。この世界のポーションはけっこうな高級品である。


具体的には相場が、


下級ポーションが銀貨10枚 (=約10万円)

中級ポーションが銀貨50枚

上級ポーションが金貨5枚(=約500万円)


うん。高すぎ。


理由は簡単で、作れる人が少ないから。作るには<錬成>というスキルが必要なんだそうだ。


アリアによると、魔法学園でも適正検査が行われ、適正があるとわかると生徒は大喜びするらしい。まあお金は大事だよね…


それに、ポーションを満足に買えるのは収入的にBランク以上くらいの冒険者だけになるけど、高ランクの魔物との戦いにはポーションが必要だから、店が高めに値段を設定しても必ず売れる。


王都では販売には許可がいるそうだ。利益の3割が国にもっていかれる。


つまり、簡単には売れないわけだ。


ん?なんで途中から売る話になっているかって?


だって……


売るから。お金はあった方がいいもんね。


でも、国の許可なんて取らないよ。


冒険者ギルドで売るから。冒険者ギルドは各国のいろんな街にある、国から独立した機関だからね。その中で個人的に売る分には特に問題はないはず。


「というわけで、明日1日はポーション作りに使うよ。」

「分かりました!どこで作りますか?」


「宿屋の庭を借りよう。」

「じゃあ明日の朝、確認しておきますね。明日はずっと2人きりですか…嬉しいです!」


知ってる、知ってる。


「あっそういえば、今日森で嫉妬の魔人に会ったよ。王都付近でなんか企んでるみたいだから気をつけようね。なんか会ったらすぐ王都から出るからそのつもりで。じゃあおやすみ。」


「…えっ?嫉妬の魔人!?待ってください!そんな有名な危険人物に会ったんですか!?…ちょっと!本当に寝ないでくださいよ!ねぇ!どういうことですか?」


あー聞こえない聞こえない。


こうなるから言いたくはなかったけど一応警戒のためには言っとかないとね。


そのあと俺は何も答えずに寝た。



次の日、朝からひたすらポーションを作る。


薬草やらなんやらを合成して、すりつぶして粉状にして、魔力を通した水に溶かしてもう一度合成する。


あら簡単。


でも、水に魔力を通す工程が俺にはできなかったのでアリアにやってもらった。


作れるとか言っといて恥ずかしい。


どうも俺は魔力を外に放出するのが苦手らしい。


身体の中なら移動できるんだけど。


使う薬草の種類や量を調節しながら、今まで貯めに貯めた素材が火をふくぜ!!ということで下級から上級までのポーションを大量に作成した。


「ポーション(下級)」:HPを500回復する。

「ポーション(中級)」:HPを1000回復する。

「ポーション(上級)」:HPを5000回復する。


さすが上級。すごい性能だね。


ここで、一つ疑問が浮かんだ。


怪我とHPってどんな関係なんだろう。


怪我をしたらHPは減るけどじゃあ仮に腕を失ったとして、HPを回復しただけで腕が元に戻るかというとそうでもない。


HPが満タンでも首を落とされたら一気にゼロになる。


結局、HPというのは生命力の数値ってことなのかな?あれば元気だよ、みたいな。


ポーションを飲んで欠損は無理としてもある程度の怪我が治るのは自然治癒力を一時的に高めるからということなんだろうか。


……まあ細かいことはいいか。



とりあえず、出来上がったポーションはサンプルとして下級のものを冒険者にいくつか渡して反応を見ようかな。


そこらへんのことはエリーさんに相談しにいくか。


「じゃあ冒険者ギルドに行って、エリーさんを仕事終わりの食事にでも誘いにいこうか。」

「はい。行きましょう!」


ギルドに行くと中で何かあったようだ。


「どうかしたんですか?」

「あぁ、今冒険者同士の喧嘩があってな。1人が大怪我をしたところだ。普段は切れるような奴じゃなかったんだが。」


とそばにいた人が教えてくれた。まあ荒っぽいやつくらいいるよね。


まだ勤務中のエリーさんのところへ行く。


「ちょっと話があるんですがいいですか?」

「なんですか?」


ポーションをギルド内で売りたいという話をする。


「特に問題はなさそうですね。ただ、話が広まると文句を言ってくる人もいるかもしれないですがそこは自分で何とかしてくださいね!」

「それはもちろんです。では早速明日から売り始めることにしますね。」


こうして、酒場の一角を借りて個人で販売する許可を得ることができた。



翌日。朝からギルドに行ってポーション販売の準備をする。気になるお値段は、


下級ポーション:銀貨2枚

中級ポーション:銀貨10枚

上級ポーション:金貨1枚


そう。相場の5分の1の値段である。


なんと安いことか!!ゲームでこんなイベントがあったら絶対買うよね!ゲームと違って在庫に限りはあるけどさ!


まあ、最初のうちは本物か疑う人がいて、あまり売れないかもしれないけど、効果が保証されればこの値段なら間違いなく売れるだろう。


だから、どのポーションもお一人様2本とすることにしよう。多くの人に継続して買ってほしいからね。


さあ、稼ぐぞ!






その結果。


飛ぶように売れる。


初めはやはり警戒していたけれど、たまたま怪我をしていた冒険者がいて、下級ポーションをその場でかけたらたちまち治ったため、効果が実証され売れ始めた。


そこからは話が広まるのは早く、時間が過ぎるにつれて聞きつけた冒険者たちが先を争って買っていく。


アリアにアシスタントをお願いして、お客をさばくけどもうてんてこ舞い。


結局、今日だけで金貨3枚ほどを稼ぐことができた。日本でいえば約300万だよ!テンション上がるね!!



明日からもがっぽり稼ぐぞ!


「このままいけば2人で住む家も買えそうですね!大きさはこのくらいで、間取りは…それから庭があって…」


買いません。


長旅をするための資金にします。


当然です。


それから順調に3日ほど販売を続けていると、、、


「おい。貴様がここでポーションを売っているやつだな。今すぐ、私に貴様が持っているポーションを全て献上しろ。いいか、全てだぞ。私のことは知っているよな?断ればどうなるか分かっているだろうな?」


と、太ったおじさんが屈強な戦士風の男を連れてやってきた。


いや誰だよ。


「この人はたしか…名前は忘れましたが伯爵だった気がします。」


とアリアが耳打ちしてくれた。


名前を忘れるくらいなら大したことないな。


「それはもちろん。準備がありますので外で待っていていただけますか?」

「ふん。早くしろよ。」


彼は出て行ってくれた。割と素直だね(笑)。


「はい!お騒がせしましたー。販売を再開します!」


あれ、周りがざわついている。


「あの…外に待たせたままでいいんですか?」

「えっ、だってポーション渡す気なんてないし。」


何を言ってるのアリアさん?


待っててほしいとは言ったけど行くとは言ってないよ?


「そうですよ!あの人は結構執念深いので後で問題になりますよ!?」


とエリーさん。


そんなこと言われてもなあ。なんかしてきたら迷わず逃げるか、やるかだし。


販売自体は王都じゃなくてもいいから。


「なんとかなります。気にしないでいいですよ。」


ということで、気を取り直して売り続ける。




はい。銀貨4枚になります。


銀貨12枚ですね。


効き目ですか?自信はありますよ!


すみません。1人2本までなんです…



「おいおい、あれってまさか…」

「あぁ、間違いない。」

「きゃーー!剣聖レイン様よ!」


なんだか騒がしいなあ。


なんでこんなに安いのかって?秘密です。


結婚してくれ?男なんで無理です。


それでもいいから?銀貨4枚です速やかにおかえりください。


食事だけでも?かえれ。


「君。もしよければ騎士団に入らないか?」


はいはい。うちは1人2本まで……あれ?


「君ならすぐに上位まで上り詰めるだろう。どうだろうか?」


ん?


声の方に顔をやると、金髪で割と中性的な爽やかイケメンがいた。


えーっと……どなた?







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