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第14話 捧げられてもね…??



「私の王子様……」


いえ、ただの魔人です。


ほんと誰?こんなピンク色の髪の子知り合いにいたっけ?えーっと魔力の色は…なにこれ?赤と黒が混ざり合った感じでマグマみたいにドロドロしてるんだけど!怖いよ!?


ステータスも見とくか。


名前:アリア・マーシェル

種族:魔人

性別:女

年齢:20

Level:31

HP:3500/3500

MP:1700/1700

スキル:<火魔法LV4><水魔法LV3><魔力操作LV4><魔力感知LV3><詠唱破棄LV3><隠蔽LV4>

称号:(賢者の卵)


ああ、この子コカトリス戦で会った、不遇(・・)な称号持ってる魔人の子か。


いやだってね…


「賢者の卵」:賢者になり得る資質を持っている。が、卵のうちは無力である。この称号は保持者にも隠蔽されている。


ひどいね〜。いや確かにドラゴンが強いからといってその卵が強いかと言われるとそうじゃないのは分かるけどさ…


今は魔人になったからか、そこまで弱くはないけど今まで大変だったんじゃないかな?


あと隠蔽されてるのもタチが悪い。これ俺が見れるのは鑑定のレベルが高いからかな?


まあそれはいいとして、何でこの子は俺のこと覚えてるの?服装違うし、バレないと思ったんだけど…


どうしようか…とりあえず無視だな。


「あの、この採集の依頼をお願いしたいんですが。」

「えっ無視ですか?アリアちゃんがあなたに用があるみたいですよ?」


「人違いです。」


そうであってほしい。


「アリアちゃん、どうしたの?ハヤトちゃ…ハヤトさんになんか用事?」


だから俺は男だって!つうか名前、完全男だろ!


「エリーさん!この方が私が前に言った一緒にパーティを組む予定の人ですよ!…前よりかっこよくなってる…ハヤトくんって言うんだ…いい名前…絶対に忘れない…。」


は?そんな予定はないよ?後半はつぶやきだけど聞こえてるよ?


「そうだったんだ!アリアちゃん、必死で探してたもんね!見つかってよかったね!じゃあ早速パーティ登録しちゃおうか!」


え?待って俺の意思とかは?


「はい!お願いします。リーダーはもちろん、ハヤトくんで…パーティ名は…灰色の髪で私の輝く希望だから…グレースターで!」


いやいやいや。なんか白星と黒星の間みたいで、勝ったのか負けたのかはっきりしないよ!?いいのそれで!?


「了解!グレースターね。ハヤトさんはFランクでアリアちゃんがDランクだから、パーティとしてはEランクだよ!」


おう、登録されてしまった…


「ありがとうございます!これから頑張りますね!」


そんな予定はない(2回目)。ちょっとアリアさん?何で腕に抱きついてるんですか?柔らかいものが当たってますよ?


「やっと会えた…もう絶対に離れないよ…」


怖い、怖いよ。


「じゃっじゃあ、昼時なんで、どっか食べに行きましょうか。」

「ほんと!?嬉しい。行こう!」


えぇー、テンション高えー。どうしよう、ついていけない気がする。


というわけで、ちょっと歩いたところにある定食屋に入った。


正面からよく見ると、何でこの子を覚えてなかったのか分かった。前はかけてたメガネがないし、雰囲気も全然違う。この世界にコンタクトってないよね?


それにしても、一応事情は聞いておくか。注文したものを食べながら、聞くタイミングを伺う。それにしてもこの子さっきからずっとニコニコしてるんだけど。なんか怖い。


「あのー…」

「あっ、改めまして私、アリアっていいます。先日はありがとうございました!あなたのおかげで命も助かったし、心も救われたんです!どうか恩返しのためにそばにいさせてください!ずーっと…」


いや、そんなことは知らんのだが。というか、


「人違いですよ。俺はただのFランクの冒険者ですよ?」

「いえ、あなたで間違いありません!魔力の匂いが似ています!それに、背格好も声も髪の色も同じですから!」


うーん。そこまで確信があるなら誤魔化せないかー。


「そうですか。気持ちは嬉しいですが、俺は誰かと一緒に行動するつもりはないんですよ…」

「大丈夫です!すでに私はあなたのものですから!」


意味わからん。


「ハヤトくんは、全くいらないけど自分のものである物って持ってますよね?」

「まあ、ありますね。鍋とか。」


料理しようと思ったけど、めんどくさくて結局しなかったんだよね。


「その鍋が、勝手に火をつけて料理をしてくれるようなものです!私が勝手にお世話するだけですから!」


なにその鍋、怖いって。もう!めんどくさいよ!


「分かりました。じゃあ、(仕方ないんで)あなたが一緒にいることはまあいいです。でも、私はたとえあなたが困っていたとしても、自分のことを優先するのでそれは覚えておいてくださいね?」


これだけ言えば離れてくれるかな?


「もちろんです!でも、私はあなたに全てを捧げます。どんな時だって一緒にいます!愛を注ぎ続けます!」


……もういいや、ほっとこ。


一応魔人だし、そばに置いとく方が安全か…とかポジティブに考えてみる。


「じゃあ、その隠蔽のレベルだともしかしたら魔人だってバレるかもしれないから…」

「やっぱり、ハヤトくん鑑定使えるんですね!すごいです!」


いや、話は最後まで聞こうね。


「だから、このブレスレットをつけてね。隠蔽の効果があるから。」


ベルからゲットした隠蔽のブレスレットにちょっと他のものを合成して色を赤っぽくしたやつを渡した。


「うわぁ!きれいですね!ありがとうございます。ハヤトくんからのプレゼント…大切にしなきゃ…絶対はずさない…」


…うん。まあいっか。


「じゃあ、俺は採集依頼を受けてくるから。」


ついてこないでね?


「分かりました!ハヤトくんはもう宿取りました?」

「いや、まだだけど?」


「じゃあ私が取っておきますね!任せてください!」

「ああ、うん。」


ついてこないならいっか。


それから、俺は冒険者ギルドに戻った。エリーさんじゃない受付にいこう。あの人はめんどくさい。


「ちょっとー。ハヤトさーん。私のところで受けてくださいよー。」


ほら。


「アリアちゃんと話せましたか?あの子毎日冒険者ギルドに来て、探してたんですよ!私も探そうか?って聞いたんですけど、自分で探すからって頑なで。」


そうですか。お疲れ様です。


「これから2人で頑張ってくださいね!」

「はい。」


気が重いです。


「今度こそ、採集依頼をお願いします。」

「はーい。こんなにいっぺんに受けて大丈夫ですか?」


「もう全部取って来たんで大丈夫ですよ。」

「そうでしたか。では、早速提出しますか?」

「お願いします。」


お馴染みのヤック草とヤッバ草に加えて、タッカ草とか、ジャマー草とか…


「おっ多いですね…」


まあ、そりゃね。


「全部で銀貨20枚になります。採集依頼だけでこれってすごいですね!それから、規定の回数の依頼をこなしたのでEランクに上がりました!」


えっ上がっちゃったの?


「普通の人よりランクアップが早いとかないですよね?」

「…?何を心配してるか分かりませんが、普通の早さだと思いますよ?」


いや、だって史上最速ランクアップ!とかだったら目立ってしょうがないじゃん。まだEだから大丈夫だとは思うけどさ!


「よかったです。では、今日はこれで。」

「はい。お疲れ様でした!」


ふぅー。もう帰ろう。あっそういえばアリアさんと待ち合わせとかしてなかったな。どこの宿取ったんだろう。


ギルドを出ると、アリアさんがいた。仕事早いね。


「無事終わりましたか?宿はしっかり取れましたよ!とりあえず一週間にしときました!案内しますね。」


はいはい。どうもー。


「ここです。」


うん。普通の宿だね。


「ここの部屋です。」


大きなベッドが一つあるね。あれ?既に荷物が置いてあるよ?


「ここ1人部屋だよね?」

「いえ、2人部屋です。」


任せなきゃよかった。ミスったわ。


「同じ部屋が良かったんです!ダメでしたか?」


そんな泣きそうな顔して言われてもなぁ。


「取っちゃったものはしょうがないよ。」

「ありがとうございます!」


それから、


宿で夕食を食べて(食べさせようとするのを全力で断って)、


お湯とタオルで体を拭いて(これもやるというのを全力で阻止して)、


ベッドに入った。もちろん何もしないよ?


なんかどっと疲れたんだけど。


こんな調子で明日から大丈夫かな?不安だな。







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