第11話 VS魔人…??
しばらく移動して人がいないことを確認した後、コカトリスの死体を取り出す。
2つの目をくり抜いて、片方を自分の右目に合成する。
鏡で見ると、若干色が青色っぽくなっている。
あれ?前見た時よりイケメンになってる気がする。というかこんなに中性的な顔だったっけ?女に見えないこともない気が…
まあいっか。ステータスを確認しますか。
名前:ハヤト・ゼンジョー
種族:魔人
性別:男
年齢:19
Level:42
HP:4600/5100
MP:900/900
スキル:<剣術LV7><気配察知LV4><身体強化LV3><毒無効><鑑定LVMax><隠蔽LVMax><アイテムボックス><異世界言語>
ユニークスキル:<合成><最適化><右腕の一撃><石化の魔眼>
称号:異世界に迷い込んだ者、創造神の祈り、オーガキラー
<石化の魔眼>:MPを消費して、対象を石化させる。魔力が高いとレジストされることがある。
ちゃんとゲットできてるね。片目でだけでも大丈夫みたいだから、もう1つは予備に取っておこう。
よーっし。目的も達成したし、出発しようかな。次の目的地はどうしよう。賑やかそうだし、やっぱり王都かな〜
歩き出そうとすると、ふと後方からすごい勢いで近づいてくる気配を感じた。
なんだろう?
近くまできて姿が見えると、人型なことは分かった。フードをかぶっていてよくは分からない。
よく見ようと待っていると、その人型のなにかはあろうことか、突っ込んできて殴りかかってきた。
えっ、ちょっ、どゆこと!?
反応できず、もろに腹に食らってしまう。相当強く、かなり吹っ飛ばされた。
のもつかの間、相手はさらに距離を詰めると、武器で斬りかかってくる。
何が何だか分からないが、なんとか体勢を整えて剣で応戦する。
剣技も卓越しているようで、こちらは<剣術LV7>のはずなのに、ついていくのが精一杯だ。
しばらく打ち合っていると、相手は急に攻撃をやめて距離を取った。
「やっぱりな。お前、魔人だな。それも、制御できてるやつだ。」
そういって、フードを外すと燃えるような赤い髪の男?が顔を出した。男にしては小柄だけどな。
とりあえず鑑定しとくか。あれ?弾かれた?
「お前今、鑑定使っただろ。分かるんだよ俺には。この目があるからなぁ。こりゃあ久々に当たりだぜ!お前の能力は何なんだろうなぁ!おい!」
えーバレてるー、ってそれよりも
「能力?」
「まさか、魔人のくせにそんなことも知らないのか?いいぜ、冥土の土産に教えてやるよ。」
えっ魔人界の常識なの!?頼んでもないのに教えてくれるって!やったね!
「魔人は自分の力を完全に制御するとそれぞれ特化した能力を得るんだぜ?ちなみに俺は[暴食]の魔人だ。際限なく魔力を喰らい尽くし進化を続ける、最強の魔人……になる予定だ。今は無理でも魔王軍にいる[嫉妬]や、[憤怒]は俺が絶対に殺す。そのためにお前を俺の糧にする。」
なるほど、なるほど。なんかさらっと重要な情報を言ってる気がする。
「同じ種族なのにか?」
「はぁ?何言ってんだお前。同族意識なんかあるわけないだろ。魔人は経験値がうまいいんだよ。それに、俺にとって魔人は全員敵だ。」
ですよね〜。自分でも何言ってんだって思ったよ!
「殺す前に聞いとくぜ。お前なまえは?」
武士かよ!ここは一応偽名で…
「ゼンだ。」
「ゼンか。俺は……ベルだ!」
と言っていきなり巨大な魔力の塊のようなものを放ってきた。こいつ魔力を喰らい尽くすとかいってたな。じゃあ魔法系か?
とりあえず、右腕で払って打ち消す。魔封じの包帯なかったら詰んでたわ。でもこの威力はやばい。包帯がもたない。
勝ち目は薄いけど、接近戦に持ち込むしかない!
距離を詰めて幻鬼剣で斬りかかる。
「魔力が拡散したな。それがお前の能力か?」
必死で攻撃してるのに喋る余裕があるんですかそうですか。
「だんまりか。まあいいぜ。剣の勝負に付き合ってやるよ!!」
相手の刀をこちらの剣で捌く。そう。なぜかこいつ刀を持っている。しかも見るからに禍々しくてヤバイ。
「魔刀[エターナルペイン]」:魔剣の1つ。斬りつけた相手に堪え難い痛みを与える。痛みは呪いとなって消えない。レア度9。
効果が極悪だわ。刀はかっこいいけども。って一度でもくらっちゃいけないやつじゃん。
仕方なく、防御の回数を増やすと、完全に後手に回ってしまって、こちらの攻撃の手数は減る。
それでも受けきれなくて、左腕に軽くかすってしまう。
「今、掠ったな?」
その言葉を聞いたとほぼ同時に、全身に悪寒が走り、左腕にものすごい痛みが走る。傷口に溶岩でも流し込まれているかのようだ。
「いってぇぇぇええええ!!」
「せいぜい苦しめ。これから、地獄に行く方がマシだと思えるくらいの痛みを与えてやる。お前は死ぬ時に喜びながら死ねるんだ。慈悲深い武器だろう?」
それは暴論だよ!人のこと言えない武器持ってるけど!
ってあれ?突っ込めるくらい余裕あるんだけど。もうあんまり痛くないぞ。あっ完全に痛くなくなった。
ステータスに<精神保護>のスキルが付いていた。しかもこれユニークスキルだわ。<最適化>さんありがとう。
「んな!?お前、何をした!痛覚遮断のスキルで誤魔化せるほどの痛みじゃないはずだぞ!」
うちの<最適化>さんは本当に優秀です。
「ちっ。不気味なやつだな。まあいい。俺の勝ち目は変わらない。」
これは骨が折れそうだ。
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結論から言って、全然骨だけでは済まなかった。
左腕は斬り落とされるし、右足もほとんど動かない。全身ボロボロだ。
なにより、今、俺はベルに髪を掴まれ頭を持ち上げられている。
「たいしたことなかったなぁ!おい!結局、能力は分からなかったがまあいい。このままお前の魔力を喰らい尽くす。知ってるか?MPってのは人が、生命の危険なく使える魔力の量のことなんだぜ?それ以上強引に奪われたらどうなるんだろうなぁ。ぜひ自分の身体で確かめてみてくれよ。」
ベルの右手が光りだす。
やばい。ほんとに死ぬ。ああ、こんなとこで死ぬのか。やだなぁ。
「なに!?魔力が奪えない!?なぜだ!」
はい、残念でした〜。いやー危なかった。危なかった。こんなところでクイーンタラテクトの糸を髪に合成したのが効いてくるとは思わなかった。
なけなしの力を振り絞って混乱するベルの右腕を斬り落とす。
「なんだと!?」
そしてMPを全てつぎ込み石化の魔眼を発動して、ベルの片足を石化させ、逃さない。
最後に落とした右腕の断面に幻鬼剣を思いっきり突き刺す!!
「くぅっっ!!……お、お母さん…。」
はい。意識を飛ばせました。家族に会えたんでしょうか。最後は幸せそうでしたね!
危なかった。一歩間違えたら確実に死んでたわ。
落としたベルの右腕に付いていたブレスレットを鑑定すると、
「隠蔽のブレスレット」:ステータスを隠蔽する。レア度8。
と出たので、今はベルを鑑定できるようだ。
名前:ベル
種族:魔人[暴食]
性別:女
年齢:17
Level:70
HP:7000/12000
MP:6500/7500
スキル:<剣術LV8><身体強化LV5><火魔法LV7><無魔法LV7><魔力操作LV6><魔力感知LV7><縮地LV3>
ユニークスキル:<魔力視の魔眼><魔力喰らい>
称号:暴食の魔人、邪神の応援
女じゃん!そう思うと寝顔が可愛いかもしれない。
そっかー、女の子かー………まあ関係ないが。
ベルの首を刎ねる。
やっと肩の荷が下りたよ〜