表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ゴキブリの気持ち

作者: 夢探し

今朝ゴキブリがでた。嫌な1日の始まりだ。殺虫剤を滝のように浴びて、足をバタつかせて地の底に落下する瞬間が、切り取られている。不憫だ。産まれた時はこんな風に死ぬとは思わなかろう。俺が憎いか。俺が人間だ。そう呟いて、俺は部屋の隅を覗き込んでいた。


自分より何十倍も大きな巨体がこの世界では幅をきかせている。自分たちはその巨体の影の中を生きる他ない。自分と一緒に産まれた兄弟は目の前で巨体の餌食になった。でも、奴らが不思議なのは、殺すだけなのだ。何もしない。ただ、殺すだけだ。


朝が来た。巨体の目を盗んで動かなければならない。いつも通りの脇道を抜ける、よし奴はいない。ここは安全地帯。そう思った矢先、目の前が真っ暗になりった。奴だ。脇道に戻らねば。ああ奴が追ってくる。ああこの体に降りかかる物はなんだ。あの時の兄弟と同じだ。ああ、自分も殺される。お前か。俺を殺して楽しいか。お前を殺してやりたい。お前が憎い。ああお前に飛びかかってやりたい、この白い滝の合間を縫って。これは名もなき叫びだ。反逆ののろしだ。今に見ていろ。ほらそこで自分の子供があの時の兄弟を見ている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ