結章
時間は過ぎ半年後、卒業式の日。
潤 「高校生活も終わってしまった……。嫌だなあ、大学行くの」
秋 「まだ言ってる。いい加減覚悟決めなさいよ」
汐 「そうだぞ。その竹女も一緒なんだから我慢しろ」
秋 「今竹女って言った? どういう意味?」
綾 「そうそう。まっ、私や汐くんと離れたくないって言うならわからなくもないけどね」
秋 「待って、竹女ってなに?」
汐 「心配しなくてもたまには会ってやるよ。のろけ話以外なら聞いてやる」
秋 「おい竹女を説明しろ」
潤 「別れ話はしないだろうから安心してくれ」
秋 「私の質問に答えろー!!」
汐 「さっきからうるさいな。答えてやるよ、竹を割った様に頭がパッカーンな女のことだ。アンダスタン?」
秋 「ほう……いい度胸ね……」
汐 「……ってさっき潤が」
潤 「ストップ冤罪!!」
秋 「じゃあ、話はまたあとでじっくり聞かせてもらうわね」
潤 「俺にじゃないよね!? ね!?」
有 「卒業、おめでとうございます。相変わらず仲が良さそうで、なによりですね」
袖より一人の男が歩いてくる。
四人はその顔を見て顔を見合わせている。
潤 「お前……透……?」
有 「残念、その質問は予想してましたが、答えはノーです。正解はその弟の鵜崎 有と言うのが正解ですね」
秋 「弟、いたんだ……」
有 「まあ、兄さんの口から僕みたいな凡人の言葉が出ることはなかったでしょうね。話すことなんて、ないでしょうから」
綾 「汐くん、これが半年前の答えでいいんだよね?」
汐 「ああ、そっちは正解だったみたいだぜ。半年前は世話になったな」
有 「別に、兄さんの言うとおりにしただけですよ。かなり嫌でしたけど」
潤 「なんだよ汐、有くんの存在を前から知ってたのか?」
汐 「知ってたと言うよりかは、そう考えるのが自然だと思ったまでだ。で、弟君、俺達に何の用だ?」
有 「お礼を言いに来ました。兄と僕の最後の勝負に勝たせていただいた貴方たちに」
秋 「勝負……?」
有 「あの人が病院に運ばれてから渡された手紙があったんです。『潤と秋が今の状況を解消出来たらお前の勝ちだ。出来なきゃお前の負け、これが最後の勝負だ』って書いてあるものが」
汐 「それでずっと俺達を見張ってて、あんなメールまで寄越してくれたって訳か」
有 「ええ。兄さんの名前を使ってメールするのは兄さん自信が許可してくれましたから。責めるなら空の上でも責めてください」
潤 「別にそのことでどうこう言うつもりはないよ。俺達にとっては……結果オーライだったわけだし」
有 「でしょうね。だから、お礼ですよ。貴方たちが解決してくれたおかげで、僕は自分に自信が持てました。こんな人たちでも出来たんだから僕も変われる、そうね」
秋 「こんな人言うな」
有 「ずっと完璧な兄さんを追い越してやろうと思ってたんです。けど、その目標がいなくなってどうすればいいかわからなくて……。それで、あなた達をずっと見ていた。
それで気づけた。追い越そうとするんじゃなくて、兄さんには出来ない、僕にしか出来ない完璧じゃないことをすればいいんだって」
汐 「確かにあのやり方はだいぶスマートじゃあなかったな」
有 「それでいいんです。失敗して、衝突して、それでみんなの思う空が描ければ、それでいいんです。多分、それが兄さんが出来なかったことだから」
綾 「君は大物になりそうだねえ。将来が楽しみだ」
有 「ありがとうございます。じゃあまた。辛いことがあって、上を見たときに思い出してください」
潤 「礼を言うのはこっちの方だよ。ありがとう」
有、そのまま舞台を去る。
汐 「さて、これで全部解決した。俺が高校でやり残したこともないな」
綾 「ですなあ。私も満足だ。じゃあ、あとは、満足してないお二人さんで」
汐 「3月いっぱいはホテルはまだ入っちゃダメだからな」
潤 「は、入らねえよ!」
汐 「じゃあまた連絡寄越せよ」
綾 「報告も楽しみにしてるねー!」
汐、綾、舞台を去る。
潤 「俺をなんだと思ってんだ……」
秋 「思春期の男子は猿並だからねえ」
潤 「お前までそういうこと言う?」
秋 「まっ、それは置いといて……。で、いい加減聞きたいんだけど」
潤 「なにを? ……って言うのは無粋だよなあ」
秋 「それが無きゃ高校生活に幕を下ろせないでしょ」
潤 「改めてそう言われると恥ずかしいもんだなあ……。よし、覚悟決めた」
秋 「よっ、男らしいぞ」
潤 「秋。俺、お前と……」
潤 「友達を、卒業したい」
秋 「……はあ。相変わらず煙に巻いたような言い方だね」
秋 「まあ、合格」
秋が舞台そでへと走る。
その後ろを追いかけようとする潤。
しかし何かに気付いて踏み止まる。
後ろを振り向き優しく笑い空へと手を伸ばす。
幕。