#prologue
#Prologue
エアコンが効いてひんやりした部屋。
窓はなく、部屋の外の音は一切聞こえない。
3人で使うにはかなり広い気がするけど。
まぁしょうがない。
ピアノを2台も入れてあるのだから。
瀬倉は慣れた様子でピアノの蓋やら譜面台やらを出し始め、
廣津は瀬倉から受け取ったカメラを3脚にセットする。
あ、あの辺のアンプとか邪魔そうだなぁー…。
「瀬倉、アンプとかいらないやつ端寄せようか?暇だし」
「暇って…。うん、お願い」
「りょーかい」
これが瀬倉美彌。
もちろん「りょーかい」の前の呆れてる子の方ね。
僕は「瀬倉」と読んでいる。
清宮高校1年3組、出席番号21番。
え、名前?
あ、これでみやと読む。
歳は15。確か…。
誕生日は…、まだ来てない。年齢的に、多分。
「なあ、瀬倉。お前誕生日いつ?」
「は?2月16日だけど…。それがどうかしたの?」
「いや、ありがと」
2月16日だそうです。
血液型は…、わかんないけどなんとなくAB型かな?
「あー、瀬倉。お前何型?」
「は?さっきからどうしたの風間?」
「いいから!」
「O型…。」
「・・・。そう、ありがと・・・」
「・・・?」
まだB型とかあっただろうに、なぜ日本で約4割を占めるシェア第2位の血液型…。
クソ、やっぱり血液型性格診断なんて間違ってるじゃないか!!
で、O型だそうです。
あ、僕は「風間」と呼ばれている。
えー、では気を取り直して。
得意教科は歴史と音楽。とはいっても、それらが飛び抜けているという意味で基本的に頭がいい。
全体的には上の…、上です。
髪は茶色のセミロング。
光のあたり方で明るさが変わるので、ひとまず単純に茶色ということにしておく。
目は焦げ茶。
背は169cm。女子にしてはかなり高め。
体重は…、知らない。が、間違っても太ってはいない。
胸は…、板なわけでもないしボールな訳じゃない。と、思う。
顔は…、まあ普通かな?中の上くらい?
「風間?なにかとても失礼なこと考えてない?」
「いえ、とんでもございません!」
なんでこいつこんなに感いいんだよ…。
視力は…、知らないけど基本的にボケっとしてる時はメガネ。
「・・・。まぁ、いいや。その辺のやつ全部隅に寄せるから手伝って」
「わかった。廣津ー、お前も手伝えー」
「へいへい、ちょっと待ってー。瀬倉、これはどこにおけばいい?」
「そこの机の下とかでお願い」
「おっけー」
ちょっと遅れたけど、これが依田廣津。
僕は「廣津」と読んでいる(5行前参照)。
清m…、え?なんて読むかって?
これで「よだ」と読…、あ、名前か。これで「ひろつ」と読む。
では改めて。
清宮高校1年3組、出席番号16番。
歳は16。
誕生日は10月4日…。
「おい廣津、お前10月4日誕生日だよな?」
「うん、というかお前覚えてないとかひどくない!?」
「いや、覚えてたから!!ほんとに!」
あー、よかったー。
へ?もちろん、覚えてたよ。覚えてたとも。ほんとだよ・・・。
血液型はB型。だよな…?
「なあ廣津、血液g「B型」・・・だよな!」
もちろん覚えて(以下略。
得意教科はと物理と英語。
得意というよりは好きな教科ばっかり勉強するので他の教科と得意教科の差が尋常じゃない。
とはいっても、他の教科もテストでは平均くらいは取る。
全体的には中の上。
髪は黒と茶色。まあ、焦げ茶。
目は黒。
背は175cmと高め。
体重は66kgだったかな?
顔はむかつくけど中の上くらい。
視力は0.6でメガネだったりコンタクトだったり裸眼だったり。
いや、裸眼は寝る時と起きた時だけだけどね。危ないし!
ちなみに今はコンタクト。
僕とは中学からの付き合いになるので僕のことは「稜」と呼んでいる。
「あ、瀬倉。これどこ?」
「そこの机の横ー」
で、ものすごく遅れましたがこれが僕。
「りょーかい」とかその2行前の台詞とかが僕。
風間稜。
まぁ今まで二人に呼ばれてたのを合わせれば予想付くよね…。
これでかざまりょうと読む。
あ、読めますよね・・・、すみません。
清宮高校1年3組、出席番号8番。
歳は16。
誕生日は6月22日。
血液型はA型。
得意教科は数学と生物。
というか、それ以外は結構クズ。
全体的には中の中の下くらい。
髪は黒。
目の色も黒。
背は171cm。標準。
体重は62kg。
太り過ぎでも痩せ過ぎでもない平均ピッタリ。
「なんかさっきまでよくわからないけど個人情報聞き続けてきた
うるさい奴がいきなり黙ったけど…、依田、こいつ大丈夫…?」
「さあ…?おーい稜?」
「・・・」
顔は良くもなく悪くもなく…、多分。
目はそこまで悪くない1.4。これも普通。
「まあいいか。瀬倉、カメラどこに置けばいい?」
「えっとね、ピアノの横に椅子持ってきて。で、その上に置こう」
「はいよー」
「カメラか…。」
そういえば…。
僕がピアノ弾く時カメラつくのなんて今まであったかな…。
「稜ー、そっちもって?」
「風間?話聞いてる?」
「・・・・・・」
コンクール以来だよな…。
やばい、意識しだしたら緊張してきた。
「おい、稜?」
「ちょっと、風間?」
「・・・・・・・・・」
ていうか、瀬倉と弾くの初めてだしな…。
絶対合わせるの難しそう…。
「おい、お前大丈夫か…?」
「ねえ、風間。聞こえてる?」
「・・・・・・・・・・・・」
というより何よりも僕、連弾自体初めてじゃん。
最初は出来なくても当たり前じゃん、うん。
「おい、ピアノバカ。返事しろや」
「補聴器の調子でも悪い?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
大体なんで僕に声かけちゃったかなぁ。
僕半年くらい全然ピアノ弾いてなかったのn…「「か・ざ・ま・りょ・う!」」
「うわっ?!びっくりした。いきなり大きい声ださないでよ、二人して」
「いや、俺らずっと呼んでたんだけどね?」
「え?」
「全然風間反応しないんだもん」
「すんません…」
「いや、聞こえてるなら大丈夫そうだね」
「もしかして、補聴器調子悪い?」
瀬倉は彼女自身の耳に手を当てながら言う。
「そんなことはないと思うけど…」
一応聞こえる音に注意してみるけど、やっぱりいつもと変わらない。
「大丈夫、いつもどおり」
「そ?ならいいけど」
あ。いい忘れていたけど僕は半年くらい前に聴力が下がりまくりまして。
今では補聴器でどうにか生活している。
いや、どうにかって言うほど苦労はしてないんだけどね?
「じゃあ準備続けるよ、風間。その辺の移動は?」
床にに置いてあるアンプやスピーカーを指でさしながら言う。ちょっと呆れ顔で。
「あー、んとねー、まだ、かな?」
全然進んでなくてすみません…。
「なんだそれ…。おい稜、そっちもって」
「これでいいか、廣津」
「ん、大丈夫。じゃあ移動するぞ、1、2の3!」
そんなこといいながらアンプを動かし始める。
「よっし、カメラも準備オッケー。風間、そっちのカメラも映るか確認してみて」
「はいよー」
「瀬倉ー、荷物の移動こんなもんでいいか?」
「大丈夫ー」
「はー、アンプ重!てか稜、お前ぼーっとしすぎだろ」
「あ、悪い悪い。瀬倉、カメラ映ってるよー」
しょうがないだろう、音聞こえづらいし。
「稜!お前悪いっていった2秒後にぼーっとすんなよ」
「あ、ごめん」
とか何とか言って、やっとのことでアンプやらスピーカーやらを動かし終える。
もちろん、僕が何回呼ばれても反応しなくて二人に心配されたのは言うまでもない。
「で、瀬倉。俺はこの後何をすれば?」
廣津が瀬倉に聞く。
そりゃそうだ。こいつはピアノは鍵盤の位置がわかるくらいのものだし。
「そうか、依田は録画録音まで暇だもんね。どうしようかなー」
「ひとまず、僕等に飲み物買ってきて」
「・・・。それをもし俺がやったとして、その後は?」
「僕等にお菓子買ってきて」
「・・・・・・。で、その後は?」
「エアコン調整とか?」
「…んな」
「なに?」
「ふっっざけんなぁぁぁぁぁぁぁー!!」
「うわウルさ!」
「いや、これは依田に一理あるとおもうけど?風間」
ずっと静観してた瀬倉がようやく口を開いた。
のはいいけど、俺間違った??
「え、俺?」
「あのね、依田は関係ないのに手伝ってくれてるの。なのにどうしてパシるかなぁ…」
「だって依田だし…」
「いや、稜?理由になってないと思うんだけど?」
不機嫌さ満開で廣津が会話に突っ込んでくる。
「まぁいいや、で、結局俺は何をすればいいの?」
多分まぁよくないであろうテンションで廣津がもう一度瀬倉に聞く。
「カメラの録画開始ボタンを押す」
「その他は?」
「…。カメラの録画停止ボタンを押す」
「で、その他は?」
「えっと、録音機の調整とか…」
「僕等に飲み物買ってきたりとか」
「あ!録画がちゃんと出来てるかの確認とか」
「僕等にお菓子買ってきたりとか」
「…、はぁ。要するに俺は何でも屋か…」
「そうだ廣津!要するにお前はパシリだ!」
「「風間!!/稜!!」」
そんな言い合いをしていると、いきなり部屋のドアが開いてスタジオの店員がひょこっと顔を出す。
「あ、美彌ちゃん。今日はお客さん少ないと思うから自由に使っていからねー」
「ありがとう、黒瀬さん。連弾は初めてだからどうなるかわからないし、助かります。」
「どうなるもなにも一発で決まるわけ無いだろ、瀬倉」
「風間は少し黙ってて」
そう言いながら足、というか脛に強烈な痛みが…。
「蹴るな!これからピアノ弾く人を!」
「ペダル使わなきゃいいじゃん」
「そういう問題じゃないだろう…」
「それじゃ、そろそろ始めるので。ありがとうございました、黒瀬さん」
「はーい、頑張ってね。SHINYAちゃん!」
「その呼び方はやめてください…」
「えー、いいじゃん。ネットの有名人(笑)」
「(笑)をいれないで下さい、(笑)を…」
「じゃあねー、少年たちも頑張って!」
「「あ、どうも…」」
機械をいじる音がする。
そりゃそうだ。
廣津がビデオカメラの準備をしている。
「じゃあ、始めようか。 録音は満足いくまで続けるけど目標としては一発で。いい、風間?」
「うん、大丈夫」
「じゃあえーっと、15分後だから…。まあ、だいたい10時47分に連弾開始で。
依田、録画よろしくね」
「任せてって。頑張れよ稜。瀬倉の足引っ張るなよ~」
「頑張るけど…。廣津、絶対音出すなよ。音出したら台無しだからな、録音」
「わかってるって。じゃあ、スイッチ押すよ。」
廣津が機械に触れた瞬間、ピッっという電子音がする。
それに合わせて、僕も録音機のスイッチを入れる。
始まりの合図だ_。
音がなくなる。
彼女と目が合う。
彼女が頷く。
僕も頷く。
彼女が指でトン、トンっと漆黒の譜面台を叩く。
彼女が一定のリズムを刻む。
僕が頷く。
彼女が息を吐く。
僕も息を吐く。
彼女が息を吸う。
僕も息を吸う。
彼女の手が上がる。
僕の手も上がる。
僕等の意識がモノクロの世界へと飛び込む。
音が鳴り響く_。
読んでくれた方いるのかどうかわかりませんが、
もしいらっしゃったらありがとうございます!
きっと、タイトルの「ピアニスト」の要素しかないじゃん!
と思われたことでしょう。
出てきます!ちゃんと。
話の流れは決まっていますが…、いつになるかな・・・「代行」
ひとまず、駄文失礼いたしました!
もしよろしければ次の話でもよろしくお願いします!