いじめっこからいじめられっこへ
昔からいじめられっこって訳ではなかった。むしろ、いじめっこだった。
「智恵さん、昼休みにこのプリント職員室まで運んできて」
「はい、分かりました」
裏のある笑顔で答える中2の私。そんなことも、忘れて昼休みになっていた。
「ハハハ、なにそれ、ウケんだけど」
この頃の私は非常に裏表があり、教師には媚を売り普段はこんな風にうるさかった。
「智恵ちゃん、先生に頼まれたプリント職員室に持ってかなくていいの?」
この子は友紀。私のパシリ(勝手にそうしたんだけれど)の子。
「そういや、そうだったわね。でも、めんどくさいわ。あんた、持ってってよ。私、友達とお喋りして忙しいから。あんたと違って友達がいるから」
「でも、先生に頼まれたのは智恵ちゃんだし・・・」
「いいのよ、私は体調悪いってことにしとけば」
「でも、やっぱり自分で持ってく方がいいよ」
「いい加減にしなさい!」
バンッ!と机を両手で叩きながら、私は叫んだ。ついつい、キレてしまったのだ。見下している友紀に反抗されたから。
「あんたが持ってけば話はすむのよ」
「分かったよ、智恵ちゃん、私が持ってくね」
笑顔で言う友紀にそのときは罪悪感を感じなかった。いまは考えるだけで罪悪感を感じてしまう。
「最初からそうすれば、よかったのよ」
この時、もうすでにクラス中は静まりかえっていた。その日の帰り。
「智恵さん、体調は大丈夫?友達とお喋りしたら
なおったのかな?」
「はい、大丈夫です」
私には皮肉にしか、聞こえなかった。友紀が先生に本当のことを言ったんだと思うといてもたってもいられず私は放課後友紀を呼び出した。
「あんた、先生に本当のこと言ったでしょ?」
「言ってないよ。私は智恵ちゃんが体調悪いから代わりに来たって言ったよ」
「嘘つかないでよ。じゃなきゃ、なんで先生にあんなこと言われなきゃいけないのよ」
「それは、たまたま・・・」
「たまたま?そんなわけないじゃない。はやく、謝りなさい。土下座しなさい」
友紀は同様しながらも私に土下座した。私はその頭を踏みつけた。そのあと、用意していたマヨネーズを頭にぶっかけた。
「これにこりたら、私に歯向かわないことね」
そう、捨て台詞をはき私は帰った。
翌日、衝撃を受けた。友紀が学校にいない。それどころか、もうこの世にいないという先生からの連絡に。私は初めてここまで後悔した。もう、なにをしても償えないと思うと涙が出そうで出なかった。友紀が天国で泣いてるかのように空から大粒の雨が降っていた。私のせいで泣いてるんだ。そう思ったところで、何もできない。自分の虚しさだけが残っていった。
まさか、自殺するとは思ってなかった…
その後、私は転校した。が、変な時期だったのとSNSやらそういったようなネットの関係で私がなぜ転校したのかばれていった。一生、孤独に生きていく。それが、友紀にたいしての償いである、そう思うと自然と辛くはなかった。
これが、私のいじめられている理由である。