いじめられっこの強さ
昔からいじめっこって訳ではなかった。ただ、いじめっこと一緒にいたからまわりからはいじめっこととらえられても仕方ないとは思う。
「宗二、今日お前の番だぞ。よろしくな」
「あぁ、分かってる」
毎日、ローテーションでいじめ役は変わる。集団でやるのもたち悪いがローテーションでやるのもいかがなものかと、思いながらもついついやってしまう。それほどまでに昔からの友達で今のリーダー格、魁との仲は深く、そして、とてつもなく強いものなのだ。魁も高2になってまでやることなのかと考え直してほしいものだ。
いつも、やる机に落書きというものはダメだな。さすがにキレられる。普通に上履きでも隠すか?黒板に書くか。すぐ、消せるように。
いつもの標的、智恵がトイレやらどっかしらに行ったときにやらねば。スピード勝負!
と、思ったら今いないじゃん。やるしかない。俺の手は俺が心にも思ってないようなことをただひたすら書いている。ただの作業になっている。ひょっとしたら、こう思ってるんじゃないかと、考え直させられる。
俺が作業をしていると、ガラガラとなかなか大きな音をたてて戸が開けられた。やべぇ、教師だ。と、思ったがそこには智恵がいた。智恵は落書きを静かに消すと何事もなかったかのように席についた。クラス中がただただ呆然とした。
俺は、すぐに書き直した。しかし、智恵の作り出した静寂に俺はすぐに押し潰された。何事もなかったかのように俺は自分の作業のあとを消した。空しくなったのだ。こっちがいくら真剣になっても智恵は相手もしてくれない。そう思うと、智恵の一人で戦う強さについつい惹かれてしまった・・・