二話 マウロイ
俺たちがマウロイに辿り着いたとき、既に日は落ちていた。道中山賊に襲われたこと以外、大したことも無かった。本当はもう一方の刀も試してみたかったし、パーティーの実力も見たかったが仕方がない。修羅場は少ない方が良い。
ここマウロイは、冒険者の国とも呼ばれるほどに人の出入りの激しい国だ。同時に交易も盛んで、この国に無い物はないとまで言われている。
メンバーを見ると、マイケルは落ち着いてはいるのだが、ロザリンドはキョロキョロと周りを見ている。たぶんイケメンでも探しているのだろう。落ち着き無く、帽子をより深く被っている。ハルはもうどっかに行ってしまった。国に入った途端に見失った。酒場か賭場にいるだろうから心配はあまりしていない。
とりあえず宿屋に向かおうとすると、柄の悪い連中に絡まれた。
「ようにいちゃん!良い女連れてるじゃねぇか?」
良い女?ロザリンドのことか。こいつロリコンだな。
「おう!かわいいだろ?でもこいつ面食いだからお前みたいな奴相手にしてもらえねぇぜ?」
「あ?んだとゴラァ?人が親切に旅人もてなそうってのによ?なんだその態度?」
「誰がもてなせって言ったよ?え?」
なんか俺も柄悪く見えるかなぁなんて思った。
「んだとゴラァ!てめぇら構わねぇ!やっちまえ!!」
「あらら、悪役の定番みたいな台詞言いやがって」
後ろから殴りかかって来る奴にはとりあえず肘打で迎撃。うまく眉間に命中し、相手は気絶。
「マイケル!ロザリンドを守りながら迎撃だ!」
「おう!」
マイケルが脱いだ。なぜ脱いだ。脱いだ服を相手に投げつけ目眩ましにした。そしてそのまま突っ込んで3人まとめて倒した。マイケル強い。俺は戦闘二回目だし無理しないでマイケルに任せよう。
ナイフが脇をかすめる。
「おっと!」
さっき絡んできた奴らのリーダーだろうか?雰囲気が他の奴らとはまるで違う。何というか、鋭いオーラを放っている。
「はずしちゃったか、惜しい惜しい。もう少しだったのに」
「なんだお前?」
後ろから棍棒を持った男が殴りかかってきた。それを難なく交わし、よろめいた背中に蹴りを入れる。男は豪快に壁に頭をぶつけた。痛そう。
「あぁ、それなんだがな、お前らの仲間って言う奴がよ、賭場でアホみたいに勝って店潰しそうになってよ、んで、潰そうと思ったら逃げられてな、追いかけてきたら俺の部下共がお前らとやり合ってたって訳よ。強そうだったんで不意打ちして殺そうと思ったんだがな、失敗しちゃったよ」
マジかよハルすげえな!
「賭場で勝ちまくったら潰されるなんてやな所だな」
「うるせぇ。イカサマしてやがったんだぜ?」
「イカサマは見破れない奴が悪いんだよ」
ハルが歩いてくる。
「あ!てめぇ!」
リーダーの男はナイフを握りしめ、ハルに向かって突進する。
「ハル!」
ハルはとっさにナイフを取り出し応戦する動きを見せる。
「ファイア!」
小さな火の玉が飛んできて、リーダーの男に命中する。ハルとの距離は二メートルほど。男の服は焼けてなくなった。ロザリンドの魔法だろう。
「アッチ!アッチ!アッチ!クソ!何だってんだ!!ちきしょう!」
男は素っ裸のまま逃げ去った。
「あんた、止めなかったらあの男殺してたでしょ?」
ロザリンドが言った。
「あぁ、だって敵じゃないか。仲間を殺そうとしたんだ。殺すつもりで向かっていった。それは自分も殺されても良いっていう意思表示だろう?なんの問題があるんだ」
ロザリンドは呆れた顔をする。
「はぁ、しっかりしてよ勇者様。そんなに簡単に殺したら勇者のイメージってどうなの?」
「イメージなんて気にする必要ないだろ?」
「イメージ良かったらさ、勇者って名乗っただけで良くしてもらえるかもしれないでしょ?考えなさいよ」
「あ、そっか。分かった。気をつける」
「ところでハル。イカサマで賭場荒らしまくったってホントかい?」
「うん!ポーカーで店潰れるくらい勝ったよ!でも換金しようとしたらイカサマだって騒がれて、ナイフ突き出された。怖かったわ」
あんな短時間で店潰れるくらい勝ったのか。店が小さいのかハルがすごいのか。
「ナイフ突き出されたって、良く無事だったな。怪我はしてないのか?」
「ううん、大丈夫だよ。なんだって私は無敵だから!!」
ああそう。無敵ですか。かわいいですね。
ちなみにマイケルはまだ戦っている。多人数相手に圧倒的に押してるので、マイケルもかなり強いんだろう。俺たちはマイケルを置いて宿屋に向かった。
こういうの書いたこと無いから大変だった。ある程度の事は見逃してくれ!!