お前ちょっと魔王ぶっ倒してこい
思いっきり中二な話が書きたいと思ってる。
「よくぞ参った!勇者よ。そなたに頼みがあるのじゃ」
俺はなぜか王様の目の前に立たされ、お前は勇者だと言われている。なぜこうなったのかは知らない。突然軍の兵士がわんさか家に押し掛けてきて、俺をここまで連れてきた。
「はい」
とりあえず目の前にあるボード、「はい」「いえす」と書かれている。質問にはこれで答えろと兵士に言われた。喋っちゃいけないってさ。それにしても選択肢が無い。一択じゃないか。絶対王政もいいとこだ。
「うむ、いい返事じゃ。では、そなたには魔王を倒してもらいたい。伝説の勇者であれば余裕であろう」
「いえす」
ひどい。逃げだしたい。でも兵士に囲まれてるからできない。ひどい。なんてひどい。
「素晴らしい!では魔王討伐の準備をさせよ!あ、勇者君。魔王は全部で10体いるぞ!!大変だな!」
「……!!」
ふざけんな!って言いたくなった。でも言ったら殺されそう。剣構えてる奴いるし。こわい。
「いえす」
「まずは仲間を集めよ。専門の酒場があるぞ。どこかで聞いたような話だな!それと仲間は3人までだ。おぬしを合わせて4人じゃな!」
おかしい。魔王倒すんだから軍隊貸してくれても良いじゃないのよ。なんで4人なんだ。四万人くらい欲しいだろう。
「はい」
「では行くが良い。勇者よ。そなたが無事魔王を討伐できるよう、ワシはここで祈っておるぞ!がんばれー」
兵士が俺を抱えて謁見の間から出て行く。そして城門の外に乱暴に投げ出された。
「じゃあがんばれよー!」
「期待してるぜ!」
「死ぬなよー?」
兵士達が笑顔でそう言った。城門が閉まる。よし、帰ろう。そう思って酒場とは反対の自宅へ向かおうと一歩踏み出した瞬間
ザクッ!
足元に矢が飛んできた。
「よう!どこ行くんだい?酒場はあっちだぜ?」
兵士が城壁の隙間から顔を覗かせて言う。
「あ、ああ悪いな!酒場なんて行ったこと無いからさ!場所わかんなかったんだ!ありがとうありがとう!」
「おう!足元には気をつけてなー!」
兵士はぶんぶんと手を振って俺を送った。
マジかよ。ほんとに俺魔王討伐に行かなきゃいけないのか?なんで一体こんなことに?はぁ?
これから始まるのは、ひとりの災難な男の話。勇者に仕立て上げられた男の話。今はまだ、そんなものでしかない。