第八話 「発熱」
金曜日・・・結局朝はちゃんと目覚めたが学校に行かず部屋に籠っていた。
そして考えてみた・・・でも・・・なかなか冷静にならない・・・
あぁーーーーもう!!もやもやして冷静になれない・・・
ふと時計を見るとお昼をちょっと過ぎていた。
母親はいい加減あきれたのか学校に行けとかそんなことを
言わずにほっておかれた。
すっかりモヤモヤして気持ちをどうにかしたくて
こんなときは頭冷やすの一番と思い風呂場に向かった。
風呂場で冷水を頭から思いっきりかけてみた。
おぉー冷たい・・・
でもこれで少しは頭冷えるかな・・・
そんなことを考えながらしばらく頭に冷水をかけ続けた・・・
いいかげんかけ続けていたら体がすっかり冷え切ってしまい・・・
寒くて耐えられない!!これくらいにしよう・・・
バスタオルで冷え切った体を拭き、これで少しは冷静になれるぞ!!
考えながら部屋に戻った。
相変わらず体が冷え切っていたので部屋の暖房を強くし
そして改めて冷え切った体を暖房に近づけ考えた。
この胸の痛みって・・・よくよく考えてみると・・・
香澄のことと連動しているような気がする・・・
待てよ・・・そういえば以前・・・
夕飯時に妹の春花が恋わずらいの話していたよな。
「なんかいつもぼーっとして相手のこと考えると胸が痛くなった、
苦しくなったりするんだって」っていってたな。
それって・・・もしかして・・・
香澄に叩かれたときだって、剛が一目ぼれしたって聞いた時も、
香澄に好きな奴がいるかって聞きに行った時も、お別れ会の話の時も
考えれば考えるほどそれはすべて香澄が関係している。
もしかして・・・俺は・・・
香澄のこと・・・す・・・き・・・なのか・・・
そう思ったとたん・・・また胸がぎゅーっと痛くなった・・・・
やっぱり・・・そうだ・・・香澄のことを考えると・・・
胸が苦しくなる。
これが恋わずらいか・・・きっとそうだ
でも・・・
今更どうすんだよ・・・
俺が香澄の事、好きだったなんて・・・・
何でいまさら気が付いちゃったんだよ・・・
剛のこと応援するっていちゃったよ・・・
告白しちゃえととかいっちゃったよ・・・
香澄にはお前好きな人いるのかと、応援するとかいっちゃたよ。
どうしよう・・・どうしよう・・・
結局考えがまとまらないまま・・・気がついたら眠っていた。
目が覚めたのは、夕方だった。
外から傾いた日差しが部屋の中に差し込んでいた。
ふとその日差しを見ながら・・・
このまま俺も太陽のようにどこかに消えたい・・・
そう考えながら建物の中に落ちていく太陽を見つめていた。
日差しがなくなると体が寒く感じた。
とっても寒い・・・
ん?
なんだ・・・背中がぞくぞくする・・・
頭も痛いぞ・・・
日が落ちたせいじゃないぞ。
やべぇ・・・さっきこの寒い中、冷水浴びて
そのまま寝ちゃったから風邪引いた???
おでこに手を当てると熱い・・・熱もありそうだ。
仕方ないとりあえず熱を測るかな・・・・
重い体を引きずりリビングへ行き、熱を測る・・・
38.2度・・・うわーマジに熱ででているよ・・・
熱があるとわかると急に体がいうことをきかなくなってきた。
とりあえず、氷で冷やして寝るかな・・・と思い
冷凍庫からアイス枕を取り出して部屋に戻った。
アイス枕をベッドにおき重い体を横たえた。
なにやってるのだろう・・・俺・・・
ホント馬鹿だなぁ・・・
と自傷しつつ、気持ちも体もどん底に落ちていった。
唯一頭の下の置いたアイス枕の冷気のおかげで頭は比較的冷静さを取り戻していた。
そんな時、突然に俺の部屋のドアを誰かが叩いた。
それと同時にこちらの返事を待たず、勢いよく扉が開いた。
「お兄ちゃんお客さんだよ!!」
妹の春花だった。そして遠慮もせずに俺の部屋に入ってきた。
俺の顔を見るなり・・・
「お兄ちゃん!!どうしたの!!顔真っ赤だよ。」
春花は俺が学校をサボっているのを知っていたから
本当に体調の悪そうにしている俺を見て言ったのだろう。
春花が心配そうにこっちを見ているが、とにかく一人になりたかったので
「なんか風邪引いちゃったみたいだ。大丈夫だから寝かしておいてくれ」
「うわぁ・・・こえガラガラ・・・お兄ちゃん大丈夫?」
心配してくれるのはうれしかったけど
早く春花に出て行ってもらいたかったので言ったのだけど
わかってないみたいだった・・・
さらに春花の後ろから・・・
「・・・大丈夫?」
聞きなれた声が聞こえた・・・