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幼馴染  作者: よしくん
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第三話  「友達」

放課後・・・


「よしくん~大河くん~ちょっと待って!!」


帰ろうとする俺と大河を呼びとめる香澄。

香澄は俺のことを呼ぶ時は幼稚園の時から「よしくん」と呼んでいる今でもそれは変わってない。

幼稚園に入ったばかりの頃は記憶が確かなら「よしはるくん」と呼んでいたと思ったんだけどなぁ。


でもなんである時から「よしくん」って呼ばれるようになった?いつからだろう・・・思い出せない。

まぁ名前がよしはるですから、呼び名なんて普通に「よしはる」とかでいいと思うのだけど、


なんでだろう?呼びやすかったから、たまたまそうなったかな?

やっぱり思い出せない・・・まいっかそんなこと。


最近はちょっとこの呼び方が恥ずかしいと思ってはいたが、それでもそう呼ばれることに

ちょっと嬉しい気持ちもないわけではなかった。


笑顔で俺たちを呼びとめ、いつもの香澄だった。先週末の事件のことで香澄は怒っていないようす。

香澄は怒っているときは全く俺とは口をきいてくれない。

しかし今日は笑顔で話しかけてきた。機嫌がいい証拠だ。


「なんだよ~大河と一緒に帰って家でゲームやるんだよ」


「何言っているの!!ゲームばっかりやっていると馬鹿になっちゃうよ!!ちゃんと勉強しなきゃ!!」


「なに母親みたいなこと言ってるんだよ!お前は俺の親か!!

                       どうせ俺は馬鹿ですよ!帰ろうぜ!大河」


呼び止まられて、小言みたいなことを言われた俺はむかっときて、

大河に声をかけ教室の引き戸を開けようとしたら、香澄が再度呼びとめた。


「だから待ってって言っているでしょ」


「香澄~なんだよ」


「二人にお願いがあるの、転校生の五十嵐君に学校内案内してほしいの」


「えぇ・・・俺たちが・・・なんで俺達となんだよ」


「だってしょうがないでしょ、うちのクラスで帰宅部なのはあなたたち2人だけなんだから」


「マジかよ・・・めんどうくさいって!!」


「面倒くさい言わない!!お願いね!!あなたたちしかいないの」


そうすると大河が


「しょうがない俺らしかいないんだったら引き受けましょ」


「なんだよ大河~受けちゃうのかよ・・・まぁ仕方ないか・・・」


こういうときの大河はすぐ引き受けちゃんだよな。だから女子受けいいんだろうなぁ。

俺とは全然違うよな。

しかたない・・・早く説明して終わりにさせよう。


「ありがとう!よろしくね!!」


と言うと香澄が五十嵐を呼びに行った。

五十嵐と香澄が並んで近づいてきた。それを見ると、身長のバランスが取れてるなぁ。

俺もあれくらいの身長があれば・・・なんて考えていると香澄は話を進めた。


「私は吹奏楽部の練習あるから五十嵐君のことよろしくね」


そして取り残されたヤロー3人・・・


さてどうしたものか・・・案内って言ったってどこに行くよ。

体育館?プール?飼育小屋?職員室?音楽室?理科室?工作室?

職員用の駐車場?などと考えていると


大河が五十嵐に話し始めた。


「俺は山本大河、こいつは早瀬由悠よろしくな!!」


自己紹介を始めていて俺も慌てて「よろしく」というと五十嵐も「こちらこそよろしく」と言ってきた。


大河は話を続けて


「さてどこに行く、五十嵐君は学校の中でわからない場所ある?」


「そうだなぁ・・・とその前に・・・五十嵐君だと堅苦しいから下のたけしでいいよ。」


「呼び捨てでいいから」


あれ??なんか最初のイメージと違ってもっとと怒りっぽい感じかと思っていたけど、

そんなこと全然ないな。それどことかやたらとフレンドリーじゃないか

昼休み、怒鳴ったのはいったい何???などと頭の中で考えていると・・・


「それじゃ、俺のことも大河って下の名前で呼んでくれ!!」


「お前も由悠でいいよな!」とおれに同意を求めてきた。

なんか俺の蚊帳の外で話し決まってないか・・・まぁたいしたことないしいっか。


「それでいいよ」と答える


そうすると五十嵐が「大河、由悠よろしく」と再度言ってきた。


そして大河と俺はタイミングよく?わるく?ハモリながら

「「剛よろしく!!」」と言った。

「そんなこと、なにハモッてんだよ」3人で笑った。


ここで3人が友達になったような気がした。


学校内の案内もそこそこに3人で俺の家で遊ぶことになった。

遊んでいる最中にちょっと気になったので聞いてみた。


「なあ剛はさ、昼休み時間に質問攻めにあって怒鳴ったじゃん。

           確かにあれだけしつこく質問されると俺もヤダけどなんで?」


「あれは実はなぁ・・・ものすげートイレに行きたくて我慢してたんだ。あいつらトイレに

    行く暇もくれないもんだから我慢できなくなって怒鳴っちまった。一生の不覚・・・だよ」


「おかげちょっとの間だけど、誰も俺に寄り付かなくなっちまった・・・

                 今にして思えば、ちょっと早まった行動だったかもなぁ」


「実は俺の親父の仕事の関係でしょっちゅう転校を繰り返してるから初めてのやつでも

         仲良くなるのはけっこう得意なんだよ。でも今回は失敗したよ・・・はははっは」


この話を聞いて、こいつの性格は人懐っこいけど短気だなと思っていると

さらに剛は話を続けた。


「でも1日目にして早くも友達が2人もできたし結果オーライかな!はははっは」


「それにあの香澄ちゃんだっけ、かわいいじゃん。その隣になれてよかったよ」


「楽しい学校生活送れそうだ!!はははっは!!」


こいつよく笑うやつだな。なかなか楽しいやつジャン。短気には気をつければ楽しそうだ。

大河がそこで口を挟む。


「香澄ちゃんか、香澄ちゃんはそいつの幼馴染なんだぜ。

           一緒にお風呂とかも入っているほどの仲だぜ」


「!!」



俺は慌てた。大河が恐ろしいことを言ったものだから、それを否定するために俺は


「大河なにを口走っている!!そんな言い方したら誤解するだろ!!」


「それは幼稚園の頃の話だろ!!今も入っているような、勘違いするような言い方するなよ!」


剛がそれを聞くと俺の両肩を抑えて俺の両目をじっと見て聞いてきた。


「なに!!本当か!!ということは、将来を誓い合った仲とかそういうやつか」


「かぁ~あんなかわいい子が将来お前の嫁さんになるよかいいよなぁ。

                        あんなにかわいい子と羨ましいぜ!!」


といいながら俺の両肩に乗っけていた手をどけたと思うと、俺の背中を豪快に叩いた。


「痛っ!!なにずんだよ。そ・そんなんじゃないって!!」


「ただ親同士が仲良かったから小さい頃から一緒だっただけだよ。

                      大体、香澄となんかあるわけないじゃん。あの暴力女」


そう、こないだの平手打ち事件のことを思い出し思わず言ってしまった。さらに付け加えて言った


「ただの幼馴染だよ。腐れ縁ってやつだよ!!恋愛感情まったく無し!!」


「暴力女はないだろう。香澄ちゃんはやさしいし、いい子だよ。

          だいたい暴力女って言ったってあれは事故だとはいえ由悠のせいじゃん」


心を見透かされた感じがした・・・昨日の叩かれたことを恨んでの発言ということを・・・

大河にはかなわない・・・


「大事にしないと遠くに行っちゃうかもよ」


それに対して俺は、大河に見透かされた気持ちをごまかすかのように


「た・たしかに暴力女は言いすぎかもしれないけど・・・別に遠くに行ったって俺には関係ないよ」


「あんな奴いなく・・たっ・・・て・・・」


と途中で言葉が止まってしまった・・・なんぜか急に胸のあたりが苦しくなる・・・

ほんとにいなくなっていいのか・・・香澄が・・・

いやいや香澄はただの幼馴染で居るのが当たり前の存在だっただけ、

居なくなったからって何も変わらない。


そう変わらないのだ・・・なのにこの胸の痛みは・・・


頭のもやもやは・・・あーわかんねえー


「ん?どうした?由悠、途中で話が止まってるぞ。なんだ、急に自分の気持ちに気がついちゃったか」


俺はすぐに


「ち・ち・ちげーよ!!ただ・・・」


「ただなんだよ」


と冗談ぽく俺にかえしてきた大河・・・

でも俺にはその先の言葉か思い浮かばない。

ただ・・・なんて俺は言おうとしたのだろう・・・・自分でもわからない・・・


なんかモヤモヤした気持ちが分からず言葉に詰まってしまった。

この感じを大河と剛に悟られないように必死に取り繕うように


「なんでもないよ。香澄はただの幼馴染それだけだよ!!あぁもうこの話はやめにしよう」


なんとか話題を変えようとするも・・・

剛にあっさり戻される。


「おれさぁ、香澄ちゃんに一目ぼれしたかも・・・」


俺と大河はびっくりして「「えぇ~まじかよ!!」」と声をそろえて言ってしまった。

剛はつづけた。


「由悠は、香澄ちゃんと付き合って無いんだよな」


俺はためらいつつうなずいた。


「大河は?」


「おれは別に好きな子がいる」


大河が言った子は香澄の同じ吹奏楽部にいる隣のクラスの磯山彩香いそやまあやかだ。

何度となく大河から聞かされている。入学して間もないころ大河もその子に一目ぼれして

それからずっと片思いなのだ。結構モテルくせに一途に片思いしているのだよなぁ。


ほかの子に告白されても好きな人がいるからって断っちゃうところはすごいと思う。

俺なんて告白なんてあれたこと一度もないよ・・・


そんなこと考えていると剛は拳を握りしめて決意を固めて


「なら問題なしだな!!おれ!!香澄ちゃんアタックする!!」


すると大河が俺を見て


「由悠いいのか?」


と言われてれ・・・ドキッとした。ただこのドキッとした気持ちがなんだかはわからない


大河はさっきから俺に何でこんなこときくんだ?

慌てて、俺が「なにが?」というと大河は


「剛が香澄ちゃんにアタックしてもだよ」


「問題ないよ、俺も応援するよ」


そう答えるしかなかったけど・・・大河はどうしてそうまで俺に気を使うのだろう???

とにかく香澄とは何にもない!!無いのだから!!心に言い聞かせる!!

ん?なんでわざわざ言い聞かせているんだ・・・俺・・・


「応援してくれるか!!心強い!!由悠、大河応援よろしく!!」


「う・うん」


「まぁ由悠がいいって言うなら全面的に協力しちゃうよ」


「なんたって俺も一目ぼれの先輩だからな」


「なに!?お前も一目ぼれなのか!!仲間だ!!」


がっちり握手をして、2人で一目ぼれについてあれこれ語り合っていた。

そしておもむろに剛は俺に聞いてきた。


「由悠は好きな子とかいないのか?」


「いないよ。」と言っておきながらまた胸のあたりがちくっとした。


俺、本格的に壊れちまったか・・・


なんか変な病気じゃなか・・・なんなのだろう・・・この痛みは・・・


そんな悩みを知らない剛は両方の拳を握りしめて気合を入れて


「ようし!!燃えてきた!!俄然がんばっちゃうぞ!!

           さぁ彼女いない暦=俺の生きてる年齢に終止符を打つぞ!!」


と、剛は気持ちを高めるかのように大きな声で言った。


そして、気が付けば外から防災無線の

「よいこの皆さんはもうお家にかえりましょ~」と放送が聞こえてきたそれを聞くと大河が


「さて今日はこれくらいにして帰るか」


「そうだな、香澄ちゃん告白作戦会議は明日以降にってことで!!」


「「じゃーなー」」


そういって玄関で見送り2人は帰って行った。

玄関から部屋に戻り、


「はぁ~~~~~~~」


なぜか体の中の空気がすべて出るのじゃないかと

思うくらい大きなため息が出てきた。


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