表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

SAN値直葬

初めまして、アファ子と申します。

ちょっと、ストレス解消気味に書きなぐったものを載せてしまいました。

これからも続ける予定です。

あと、文章の練習も兼ねています。


お眼汚しになってしまったらゴメンなさい。



 時は奈良。

 まだまだ、この世界が…。現在で言うところの美人が醜女と呼ばれ、現在でブスと呼ばれる所が美しいと称される。

 ま、時の流れなんざ人の概念を変えるには十分すぎるからね。


 さて、そんな時代に未来から追放されたとある化物が居たそうだ。

 なんでもその化物。人間が作ったらしい。

 所謂スパイ用として創り出した影に潜む化物だったんだが、コレがまた材料に人間を混ぜたもんだから意思を持っちまったんだわ。

 んで、人間を怨み、食らった事で他にも混ぜられていた野生が目覚めちまってね。人間を食べる天敵になってしまったワケさ。

 遠い、遠い未来の人間は考えた。


〝この化物は危険だ。しかも、影だから殺すことが出来ない。どうすればいい?〟


 昼夜問わずに考えた結果が…。なんとも酷いもんだ。

 廃棄だったのさ。しかも、タダの廃棄じゃない。時空の彼方にポイッさ。これなら絶対に出て来れないからね。

 だがまあ、過去に飛ばされるなんざ考えてなかったワケで、化物…。


 いや、廃棄物1号。影の追跡者(shadow-stalker)は生き残った。まあ、それが幸いなのか、不幸なのか? 本人にさえ分からないんだろうけどね。

 人間としての意思を持ちながらも、獣として人間を捕食する化物になっちまったんだ。心が矛盾を抱えてぶっ壊れてしまうのが普通だろう?

 だけどさ、この化物を作った人間たちは色々と考えてたんだよ。

 絶対に心が壊れないような細工がしてあってね。この化物は絶対に心が壊れないし、死ぬ事も許されない。

 無論、不老不死ってワケじゃない。いや、不老ってのは可笑しいね。この化物には年齢なんて存在しないから、可笑しい。

 純粋な不死ってワケじゃないんだよ。

 人間が作ったもので、壊れないものなんてありゃしないさ。どんなに遠い未来だろうが、永遠機関と呼ばれる物が作り出される事なんざ無かった。

 だがね。人間は限り無くそれに近い、半永遠機関ってのを創り出したのさ。

 それが、この化物ってワケ。限り無く死に難い。殺したと思っても実は生きている。

 そんな可哀想な化物さ。


 なんだい?

 化物の見た目が知りたいって? いやいや、アンタ…。イイ性格してるよ。


 この化物には、下半身って物が存在しない。

 なんせ、影だからね。

 黒い沼みたいな影から、3mくらいの上半身を出した化物さ。


 あん? もっと詳しくだって?

 良いだろう。

 だけど、人間てな酷いね。醜悪な者ほど好奇心で見たがるし、知りたがる。

 見られたり、知られてりする側の事なんざ考えない。

 そうは、思わないって? くくくっ、それは、あんたが人間だからさ。


 話がソレちまったね。

 化物の見た目だろう? 簡単さ。粘土みたいな灰色をした皮膚。

 体中に這いずり回るケーブル、異常に長い腕…。

 そうだね。腕の長さは、大体4mってところだ。


 肩には拘束具だったんだろうね。鋼鉄の鉄板が付いてるんだけど、既に同化して肩そのものになっちまってるよ。いや、実に痛々しいね。

 顔もまた拘束具だったんだろうけど、同化しちまってる。

 何の装飾も無い仮面さ。口だけは開閉できるように開いてるけど…。

 あぁ? 分かり難いだ?


 まったく…。ちょっと待ってな。

 分かりやすい感じのものを探して来てやるから…。


 まったく、邪神の一柱である私がなんでこんな事を……。

 ぁーっと、ググレば分かりやすいか? コレなんてどうだ? いや、ちょっと違うな……。

 よし、コレだ。


 悪いね。

 少し待たせちまった。


 ま、あれだ。

 何の装飾も無いエヴァンゲリオン参号機の頭部みたいな感じだって考えりゃいいさ。

 分かったか?


 最近の人間は、ワガママばっかりだから遣り難い。

 ん? なんでもないさ。こっちのは話だ。


 さて、その化物にはちょっとした特技が有るのさ。

 混ぜられたモノの中に、面白い植物があってね。疑似餌を使って餌を獲るってヤツだ。知ってるかい? 知らないだろうね。

 この化物はね。取り込んだ人間を一人だけ自らと同化させる事で生かす事が出来るのさ。しかも、自分と同じ様に半永遠機関と化す事を強制しちまう。

 もちろん、疑似餌としての意味を失くせば、この化物の餌になっちまうだろうけどね。


 んでまあ、この化物に同化させられた人間は、意識が残ってるんだよ。

 悲鳴をあげるんだ。そして、他の人間に助けを求める。

 助かりたいからね。


 ま、同化してる時点で助かるワケもないんだけど、そんな事を疑似餌が知る必要性は無いから絶対に知らないわけさ。

 知ってたら非効率的だろう?

 協力してるんだったら話は別だけど……。


 それでだ。

 話は戻るワケだが、この化物は追放された。そして、奈良時代へと流れ着いたワケ。

 だが、餌を獲るための疑似餌が無い。

 そこで、未来の概念を持ち合わせる化物は、美人だと思って一人の女を取り込んだのさ。よくよく見りゃ、ボロ布みたいな着物とも思えない着物を纏って、やせ細ったボロ雑巾みたいな身体だったんだけどね。

 確かに、未来…。いや、現在においては美人だったよ。アイドルなんて目じゃないね。すこぶる美人だった。

 でもまあ、この過去じゃブスだ。ゴミだ。生きる価値も無い。そんな女だったんだけどね。


「……。ぁ」


 化物に取り込まれる前に女が発した言葉はコレだけ。たったコレだけさ。

 もちろん、突然だったというのもあるだろうけど、恐怖を煽る為に化物はある程度、女を脅したはずだった。

 時間にしたら5分くらいかね。

 女もとりあえずは、5分くらい逃げ回ったんだよ。だけど、喰われる瞬間、諦めたんじゃなくて、化物を受け入れちまったのさ。


 化物としても以外だった。取り込んだ瞬間。取り込んだんじゃなくて、受け入れられたんだって感じたんだからね。

 そして、化物は迷ったのさ。女の意識を表に浮かべる前に迷い抜いた。

 まあ、化物にも人間としての意思が合ったのがいいところさ。いや、意思って寄りは知識に近い感じではあるんだけどね。

 化物は女の意識を表に浮べ、問うたワケさ。


「女。お前はなぜ、俺を受け入れた?」


 女にとっちゃ意外な一言だったワケだったが、臆せずに答えた女の度胸は凄いモンがある。


「私は、みんなから忌み嫌われていました。こんな醜い顔に生まれたから…。髪の毛だってほら、灰色でしょ? 瞳だって紅いんです。だら私は呪われた子だって言われて、村では人間としてすら扱われませんでした。食べ物も満足に与えてもらえませんでした。だから、アナタが私を食べようとした時に思ったんです。この妖怪はお腹を空かせてるんだって、私でもこの妖怪のお腹を満たしてあげる事が出来るんだって……。そう、思ったんです」


 化物を静かにソレを聞いていたよ。

 そしてね。眼も無いのに泣き始めた。それはそれは、醜い泣き声だったよ。人間なんざ丸呑みに出来ちまう巨大な口を大きく開けて、顔と同化しちまった拘束具の隙間から雨みたいに涙をボロボロと流してね。


「お前は……。なんて悲しい。なんて、俺と同じなんだ。お前さえ良ければ、俺と一緒に来ないか? いや、既に同化しているが、嫌ならば殺し、輪廻の輪に戻してやろう。俺という牢獄から出してやろう。だが、同じ絶望を。同じ思いを持つお前が欲しい。俺と共に生きないか?」


 化物はなんとね。

 告白したんだよ。愛の告白さ。結婚を申し出たんだよ。まあ、人間と違って離婚なんざ出来やしない結婚だけどさ。

 女にとっても意外だった。

 自分みたいに醜女を必要としてくれる存在が、妖怪だけれども居たんだって思ったんだろうね。

 涙を流しながら微笑んでいたよ。


「はい、私なんかで好ければ……」


 そうして、化物と女は一つになったのさ。

 完全に、完璧に、絶対に、神ですら引き裂く事のできない比翼の鳥に……。

 いや、違うね。比翼の化物になっちまったのさ。


「私の名前は、しちです。もうこの世にはいませんが、唯一私を庇ってくれた母が付けてくれたな名前です。旦那様のお名前は?」


「……。俺に名は無い。だが、お前から名を貰おう。俺とお前は別々の個だが、一つでもある。互いに男女として機能し、お前は子を宿す事も出来るだろうが、一つなのだ。故に俺はお前と同じ七の意味を持つ、セプテムと名乗る」


「旦那様の名前は、セプテム……。たとえ、私が旦那様に食べられる時が来たとしても、絶対に忘れません」


 化物と女は、契ったのさ。

 永遠に別れない為にね。ま、女は子を宿す事は無かったけれど……。

 いやはや、まるでヨグ=ソトスとシュブ=ニグラスみたいじゃないか。参ったねこりゃ…。

 さて、この異形なる夫婦をどの世界にぶち込んでやろうか。


 どうせ、この並行世界は終わりさ。この世界の文明は育てない。

 だってほら、七が存在しちまってるだろ? みんな、みんな仲良く食われてお終いさ。


 そして、みんな食われたところで、私が七を別の世界に送るだけの簡単なお仕事をこなせば、物語の歯車は動き出す。

 さあ、舞台裏の雑用ども!! 幕をあげる準備をしろ!!

 閉館の時間は近いぞ!!

 終わりを運ぶ、七の舞台だ!!

 哀れな、哀れな、面白くて、おかしい、可哀想で、可愛そうな、可笑しな夫婦の物語が始まる時間だよ!!




最後まで読んで頂き有難う御座いました。

普段とはかなり違う書き方をしたので、ちょっとだけスッキリしました。

この語りの人は、この話で役目は終了です。

もう出てきません。

いえ、この人の口調…。ちょっと、私には合わなくて><



感想・何か適当なコメントを残していただけると嬉しいです。

それでは、おやすみなさい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ