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二章三十話 神龍ランク

用語説明w


アテナ

黒髪ノーマンの女性。薙刀を使う騎士であり、閉じているような糸目が特徴。セフィリア個人に忠誠を誓った隠密騎士であり黄渦竜と呼ばれる。Bランクだが、格上のB+ランクを倒し切る腕を持つ薙刀使い。そして、シリアルキラー気質、魔法と特技(スキル)の合わせ技の極致、奥義を習得している


ダナンジャ

龍人男性、循環器系が強く、興奮すると血管が浮かび上がる超人体質。チーム・バイオスフィアの一人で赤山竜と呼ばれ、長巻という武器を使う武人。紋章を授与され、真髄という特技(スキル)闘氣(オーラ)の合成技の極致を習得している


ピンク

竜人女性、燃えるような赤髪が印象的な、カイザードラゴンの血を引く貴族の令嬢。業火竜と呼ばれる期待の新人騎士で、火属性との親和性を持つ。ラーズからMEBを借りている


「ラーズ、暇やー」


「うっせーな」


「いけずやわ」


俺は、立って構えを取る


その状態で闘氣(オーラ)を纏い、制御



特定部位に闘力を集中

そして、戻す


闘氣(オーラ)を集中させれば、その部分が分厚く…、つまり強くなる

しかし、その他の部分は薄くなり弱くなる


双剣野郎は、この集中の操作が上手かった


フェイントを入れて攻撃をぶち込もうとしても、その部位を察知して闘氣(オーラ)を分厚くする

そして、直後には集中を解除して均質化させている


打たれ弱い部位を極力無くす

戦いの基本を徹底しているのだ



「いいぞ、ラーズ。もう少し解除速度を意識しろ。集中は速いが、解除後の均質化はまだ遅いな」


「はい…」


リュベン教官が闘氣(オーラ)を見てくれる

分かりやすく、粘強く教えてくれるのは本当にありがたい


実戦よりも、教えることに特化している

まさに教官だ


実戦力だけじゃない

こういう人も、組織には必要なのだ




ズドォッ!


バキッ


ドガァッ



向こうから、激しい衝撃音が響いてくる


ピンクとダナンジャが絶賛組手中だ



「素晴らしい竜の力だ、ピンク」


「はぁぁっ!」



ピンクの必殺技、炎のブレスを纏う斬撃

皇竜剣


モンスターが蒸発しかねない炎が迫るが、ダナンジャは落ち着いて得物である長巻を構えた



ズドォォッ


「かっ…はっ…」



突き上げる石の杭がピンクを上空へと吹き飛ばす


ダナンジャの、土属性の真髄

固体を生成する土属性を最高効率で発動する、特技(スキル)闘氣(オーラ)の合わせ技の極み


正確な、自由度の高い固体の生成

硬度までもが自由自在


土属性の魔法を極めた魔法使いと同等のことを、発動の速い特技(スキル)で実現しやがる



ズドッッ……


「……!」



石の六角柱が、またピンクの腹に直撃


ピンクは闘氣(オーラ)を纏っていたはずだが、その威力、何より予想外のタイミングでの直撃で突き破られた



蹲るピンク

勝負ありだ



「うー…」


「ピンク、大丈夫か」


「う、うん…。ダナンジャさん、強すぎる…」


「…そうだな」



ダナンジャは嫌いだ

一般兵を下に見てるから


だが、強い



「ピンク、トランス・アドバンスは使わんの?」

アテナが言う


トランス・アドバンスとは、変身能力

ピンクの竜化能力だ


「使っても、ダナンジャさんには…」


「それなら、うちとやろ。 トランス1対トランス4」


「えー! 無理ですよ、アテナさん強すぎるもん」


「見てたら、うずいて来たんよ。な?」


「それより、アテナさん。私にトランス教えてください」


「トランス1?」


「はい。私も、アテナさんみたいに戦いたんです」


「うーん、別にええけど…」


アテナがピンクに言いくるめられた



トランスは、人を超えるという意味

トランス1は、身体に氣力などの自力のエネルギーを満たす技能

トランス2は、俺の竜族の呪印のように、外部エネルギーで強化するタイプ

トランス3は、1と2の併用

そして、トランス4は選ばれし、竜化能力などの変身能力で、トランス・アドバンスと呼ばれる



「ダナンジャ、次は俺と頼む」


「分かった」


「ちょっ、なにしてるぅぅぅぅぅん!?」


「は?」


アテナが、何か言ってる


「次はうちやって!」


「アテナは、ピンクにトランスを教えるんだろ」


「そ、そんなん、後で…」


「ピンクがせっかく教えてって言ってるのに。酷い先輩騎士だ」


「そうだぞ、アテナ。有望な後輩騎士だ、しっかり指導をしてやれ」


「あ、あんたが言うなぁ!」


「アテナ、俺にも後で教えてくれ。トランス」


「そ、それより試合…」


「このバトルジャンキーめ、少し我慢を覚えろ」



俺は、ダナンジャと向かい合って構える


「…また、その木の棒か」


「弱いとでも言うつもりか? 余計なお世話だ」


「いや、いい判断だ」


「…」



ダナンジャは武の呼吸を身に着けている

実戦での効率というものが分かっている



ブォッ!


ダナンジャの長巻での突き



長い距離から削って来る

近接武器は、間合いで強さが決まると言っても過言ではない


長巻の方が強い

ヒノキの棒の方が短い


単純に、俺の方が不利だ



ゴッ!


俺は、流星錘を投擲



巻取り式の流星錘アームを打ち出す

紐が邪魔にならない便利アイテムだ


牽制が入ることで、一気に間合いへと入りやすくなる



ガキィッ!


距離を潰して、長巻を受け止める



つばぜり合いに持ち噛んだ

ここは俺の距離だぜ!



ドゴッ!


「ぐはっ…!」



つばぜり合いからの押し

このタイミングで、長巻が石を纏う


神髄、威力が上乗せされた土属性の特技(スキル)、ストーンアックス


こ、こんな小技でも、速度と威力を出せるのかよ!



風属性の特技(スキル)、風の羽衣で速度を強化

連撃に繋げて打ち返す



「つまらん。もっと、魔法や特技(スキル)を覚えろ」


ダナンジャが、フルスイングのストーンアックス

高質量の石の塊が長巻の先に顕現、ハンマーのように俺に迫る



ゴッ…!



ダッキングで躱しざまの、ヒノキの棒での突き


このカウンターのタイミング、至高の一撃への手がかりだ



「あ…」


ダナンジャは、突きを貰いながらも長巻を勢いのまま二撃目へ



その速度に、今度は俺が動けない



ゴガァッ!!



吹き飛ばされる

土属性の強力な一撃



俺は、大の字になって天を仰いだ




・・・・・・




「ラーズ、そろそろ魔法や特技(スキル)覚えなあかんと違う? 属性攻撃って、強いから無かったら不利やで」


「分かってるんだけどな…」


闘氣(オーラ)も中途半端

武器術もまだまだ


それに加えて、魔法に特技(スキル)って…


あぁ、やることが多すぎる

時間が足りない



「みんな、お疲れ様」


「あ、セフィ姉ー!」


ピンクが駆け寄る



「セフィリア様。どうされましたか?」

ダナンジャがかしこまる


「あなた達の様子を見に来ただけよ。頑張ってるわね」


「いえ、まだまだでございます。特に、ラーズ…」


「何だよ?」


闘氣(オーラ)も魔法も、特技(スキル)も未熟。武器術も…」


「ほっとけ。すぐに追いついてやる」


「いつまで一般兵の気分でいるつもりだ。お前は、セフィリア様の隠密騎士になったのだぞ?」


「分かってる。俺は、俺のやり方でやる」


「その程度のやり方で…」


「だから、うるせーって。何なんだよ、セフィ姉にばかりかしずきやがって」


「セフィリア様は神龍へと至る者。当然だ」


「し、神龍?」


何それ?



「ダナンジャは、神龍を神として信仰している。明確な宗教ではないんだけど、便宜上、神龍教と呼ばれるものよ」


「神龍教…」



ドラゴンを評価する上で、二つのランクが定義されている


まずは成長度の六ランク

幼竜→子竜→成竜→角竜→老竜→古竜


そして、能力の六ランク

牙竜→属性竜→知能竜→竜王→神竜→極竜


成長度については、ドラゴンは基本的に長寿であり、成長度が上がることによって同じ種類のドラゴンでも危険度が上がる


老竜(エルダードラゴン)はAランクの象徴であり、ここまで生きたドラゴンはかなりの強さを持つ

古竜(エンシェントドラゴン)などは、現れたら人類は関わり合いを避けるしかない



そして、能力ランクは、力の開花状況

同じ成長度のドラゴンでも能力の開花具合が変わってくる


特に竜王ランク以上は魔王と呼ばれる人類の敵対勢力となり得る危険度となり、神龍ランク以上は伝説級のドラゴン、本当の希少種だ



「神龍とは、宝珠を得たドラゴンであり、龍の神。我ら龍神皇国の騎士は、信仰を持って当然だ」


「まぁ、神龍ランクがすげーのは分かるけどさ」


「分かっていない。セフィリア様が師事する金龍は、この世の者とは思えない美しさ。その金の鬣と同じ色の髪をを持つセフィリア様は、我にとっての神だ」


「ダナンジャ、ストップ。この後、Sランクの騎士が見られるチャンスだから誘いに来たのよ。一緒にどうかしら?」


「もちろんです」

「見たーい」

「うちも行く」


セフィ姉が、スイッチが入ったダナンジャを止めてくれる



Sランクの騎士

セフィ姉がAランク

俺達はBランク


上には上…、世界は広いぜ…




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