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一章三十話 クシュナ二回目6

用語説明w


アテナ

黒髪ノーマンの女性。薙刀を使う騎士であり、閉じているような糸目が特徴。セフィリア個人に忠誠を誓った隠密騎士。Bランクだが、格上のB+ランクを倒し切る腕を持つ薙刀使い。そして、シリアルキラー気質


ミィ

魚人女性、ラーズの騎士学園の同期であり、龍神皇国騎士団経済対策団のエース。戦闘能力はそこまで高くないが、経済的な観点で物事を考える。海の力を宿したオーシャンスライムのスーラが使役対象


チャンさん

情報屋の獣人のおっさん。大崩壊で家族を亡くし、教団への復讐のために動いている。情報収集、戦闘員のフォローと、縁の下の力持ち


フィーナ

漆黒の髪と赤い目のノーマン女性。漆黒の戦姫と呼ばれ、仙人として覚醒、宇宙戦艦宵闇の城をオーバーラップ、更に複合遁術を習得した大魔導士。クレハナの王族出身ながら、ラーズの幼馴染な嫁さん


俺は竜族の呪印を発動

額に紋章が浮かび上がる


身体能力が向上

更に、闘氣(オーラ)を貫通することが出来る、闘氣(オーラ)と同質の闘力と魔力を纏うことが出来る


しかし、理性が闘争本能に侵食され、バーサーカースイッチとなってしまうリスクが付きまとう



双剣野郎はトランスを発動

黄色い光を全身から発している



トランス


肉体を流れる氣脈の力を体内に満たした状態のこと

身体能力が飛躍的に向上し、脳も活性化するため認知能力も加速する

トランス状態になると体内で氣脈が発光、その光が肌から透けるため、体全体が光て見える

氣力を直接消費するため、エネルギー消費が激しいのが欠点



お互いに、身体能力を引き上げる能力

身体能力が上がれば、通常攻撃や近接攻撃の特技(スキル)の威力が爆発的に上がる


高ランク同士の戦いでは、身体能力の爆上げは必須、あって当然の世界

これに加えて、搦手や高威力攻撃などが生きるのだ



ブオォォォッ!


飛行能力とホバーブーツの併用

高速立体機動



螺旋状に三回、角度を変えてからのフル機構攻撃


ジェットとパイルバンカー、闘氣(オーラ)とサイキックボムを一つにして叩き込む



双剣野郎は、また剣を合体

大きい方の剣の刀身に短い方の剣を差し込んで一本の十字架とする


杖の魔法強化機能と、一撃の大きさを重視した先端に重心を置くハンマータイプの武器へと変貌


…一撃勝負っことだ



「…っ!!」


十字架を躱す



1991を突く


二刀流野郎の肩を穿つ



パキッ…


「ぐぁぁぁぁっ………!!」



俺の左腕が凍てつきひび割れる

咄嗟にガードした、冷属性投射魔法だ



強力な魔法の威力


だが、今は高速戦闘中


冷気で腕が壊れる前にチェックメイトだ!




ゴゥッ… ズッガァァァァァァン!




二刀流野郎が吹き飛ぶ



「くっ…」


左腕が完全に凍りついた

冷気が浸透し、このままだと壊死する



ガラガラ…


吹き飛んだ先のトイレの壁が崩れ、二刀流野郎が立ち上がった



フル機構攻撃が決まった


…だが、仕留めきれなかった



直前に、奴のゴーレムが割り込みやがった

どうやって作ったのかは不明だが、死ぬほど硬い


オリハルコンかアダマンタイトか…

とりあえず、またフル機構攻撃を受け止め切りやがった


それでも、吹き飛ばしてやった

それなりにダメージは入っているだろう


入っていてくれ



「…時間切れだ」


俺は双剣野郎に言う

こっそりと左腕に回復薬のアンプルを射ちながら



「わざわざ、立つのを待っててくれたのか?」


「使役対象たちの回収だよ」


リィを勾玉に

龍我兵を黒竜の牙に

データ2を倉デバイスにしまう



周囲に人が集まってきている

逃げる時間だ


「せっかく片腕を殺してやったのに、残念だぜ」

双剣使いが俺の左腕を見る


…ムカつくが、左腕が動かねぇ

このまま続けたら不利だ


「…肩の傷と、ゴーレムをぶつけてやった内臓へのダメージ。 もう少し時間があれば仕留められるんだけどな」


「抜かせよ。片腕でできるか」


「手負い野郎、次は仕留める」



俺と双剣使いは、その場を後にした




・・・・・・




「また、やられてるやんか。弱々さんやな」


「うるせーな。そっちこそどうなんだよ」


俺は、アテナに回復魔法をかけてもらう


外部バッテリーを取り付けて、ナノマシンシステムで発熱

浸透した冷気を中和してきた


だが、予想以上に凍傷が酷い

あいつの投射魔法は、魔力がガッツリ込めた高威力だ


警戒が必要だ



「…うちもやられた。あのウロボロス、薙刀が効かないんやもん」


「それじゃあ、すたこら逃げてきた、と」


「はぁ? ラーズと違って、うちらはちゃんと情報を取ってきたで。ミィさんが大活躍やった」



靄のように広がり、周囲の全てを喰らうウロボロスの欠片を使った細胞の波

騎士でさえ、闘氣(オーラ)を吸われてしまう


そして、錬金術師本人の実力も高い

現状、対抗策が見い出せていない



しかし、その対抗策の一つを、なんとミィが持っていた

使役対象、ミィが飼っているスライム、スーラだ



ズモモモモモ……


錬金術師の身体が変化した黒い靄

その中で、スーラが一気に膨れ上がる



スーラはオーシャンスライム


海の力を持ち、とんでもない量の水分を内包

それなのに、身体は重くない

つまり、どこかにその質量を封印しているということだ


スーラは、量子論的な何かを持つ、やべースライムなのだ


そして、その特徴は…、大食いだ

なんでも取り込み、吸収消化する


ウロボロスの欠片と一緒の特性

スーラがウロボロスの靄を取り込み、靄がスーラの液体を溶かす


そんな、千日手のような状態に陥ったのだ



「…あんた、意識はあるの?」


ミィが錬金術師に尋ねる


「な、何なんだ、その出鱈目なスライムは…!」


靄の奥で、錬金術師がスーラを睨みつける


「それはあんたも同じでしょ。私がずっと育ててきた、可愛い相棒よ」


「お前たちの目的は何だ!? なぜ私を突け狙う!」


「ウロボロスの欠片に決まっているでしょ。それと、ナイツオブラウンドね」


「…!!」


錬金術師がまた動揺



「私、探してたのよ。何年も前から」


「何だと?」


「もう十年以上も前の話だけど、惑星ギアのブリトン…、そこで、あんたらナイツオブラウンドの仲間に世話になってね。絶対にぶっ潰すって決めてたんだ」


「…」



「き、貴様らぁぁぁぁ!」


スーラの陰から起き上がったのは、クシュナ軍の騎士だった



「スーラのおかげで命拾いしたわね」

「スライム様様。ちゃんと感謝しいな」


ミィとアテナが声をかける


「ふざけるなぁ! もうすぐ軍増援が来る! お前ら全員……!」



ズドッ!


錬金術師が、靄と共に大ジャンプ



「逃がすわけないやろ!」


「アテナ、ストップ! これ以上はクシュナ軍が来る。あいつだけぶっ飛ばして」


ミィが、クシュナ軍の騎士を指す



「抵抗するな! おとなしく…」


ゴギャッ!



ふらつくクシュナ軍の騎士

ウロボロスに闘力を吸われて疲労困憊だ


そこに、容赦のない一撃

アテナが、薙刀の峯側でぶん殴る



「はぁ…、逃がしたわ…」


「作戦を練りましょ。正面からじゃ手が出せないよ」


アテナとミィは、さっさと逃げだした




・・・・・・




龍神皇国 中央区



「それじゃ、お疲れ」


「チャンさん、いつも送ってもらって悪いね」


「荒事担当が変な気を使うな。ちゃんと休めよ」


「…ありがとう」



車の後ろでは、ミィとアテナが爆睡している


秘匿ミッションの後は死ぬほど疲れる

俺達戦闘員が実力を発揮できるのは、チャンさんみたいに下働きや雑用、情報収集があってこそだ



俺は、フィーナの待つマンションへと向かう


「…」


三十階建てのマンション

いわゆるタワマンだ


その二十階のテラスで、誰かが手を振っている


このお高いマンションは、フィーナが騎士の給料でローンを組んで買った

いろいろあって、すでにローンの返済は終わっている


さすが、高給取りの騎士だ


俺は、手を振り返してマンションに入って行った




「フィーナ、よく俺が帰って来たのが分かったな」


「待ってたんだよ。そろそろ帰って来るかなって」


「あ、何か買って来ればよかったな」


「いいよ。突然の遠征だったんでしょ?」


フィーナは、騎士だったこともあり、俺の遠征には理解がある


騎士は、各地に出現するモンスターの討伐に駆り出される

そのため、遠征は日常茶飯事

国民のために、必要な仕事

すぐに行かなければ、犠牲者が出てしまうのだ



「ご飯にする?」


「うーん」


「先にシャワー?」


「おしい」


「どういうこと?」


「一緒に入ろ」


「もー…、仕方ないね」



俺が服を脱ぎ始めた時点で察したくせに、驚いた顔をするフィーナ

女子として必要な儀式だ


「…ちょっと」


「いいだろ、別に」


いろいろ元気になる

それを横目で見てくるフィーナ


いそいそと風呂場へと向かう




「…」


疲れた

だが、今日も帰って来れた


俺は、フィーナの生尻を撫でる



「うぅ…」


「フィーナ、寝てていいよ」


「ダメ…、ローストビーフ……作ったんだから……」


「やばい、急に腹減ってきた」


「だから、先にご飯って言ったのに…」


「俺は、フィーナに抱き着かれたから…イテテテ!」


フィーナに睨まれ、乳首をつねられる



フィーナが、用意してくれていたご飯を温め直してくれる


俺達は、ようやく食事にありついたのだった




トランスとは、黄色い光を放って身体能力を引き上げる氣力の技が有名ですが、それだけではありません

基本的には、身体能力を引き上げる闘氣(オーラ)以外の技能を示し、身体能力を強化する特技(スキル)や魔法も広義の意味ではトランスの一種です


ですが、一般的にトランスと言えば、双剣野郎が使った、氣力によって爆発的に身体能力を引き上げる技能のことを指します

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あのゴーレムは『あの技』を思い出さないと厳しいのだろうか...?
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