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一章二十八話 クシュナ二回目4

用語説明w


大剣1991

ジェットの推進力、超震動装置の切れ味、パイルバンカー機構、ドラゴンキラー特性を持つ大剣、更に蒼い強化紋章で硬度を高められる。真のスピリッツ化を成し遂げ、ラーズと霊的に接続している


データ

戦闘補助をこなすラーズの個人用AIで倉デバイスやドローンを制御。メイドソフトがインストールされ、主人の思考の把握が得意となった。戦闘用端末である外部稼働ユニットのデータ2と並行稼働している


リィ

霊属性である東洋型ドラゴンの式神。空中浮遊と霊体化、そして巻物の魔法を発動することが可能


竜牙兵

黒竜の牙に魔属性と竜の魔力を封入し、幽界から骸骨戦士を構成する爪と牙を武器とするアンデッド


「…ヴェーネルト商会の用心棒が何しに来た」


「お前に用はない、消えろ」


「へー、この部屋に用があったのか」


「…」



双剣野郎

クソ固い楕円形のゴーレムを連れた雇われ用心棒


はっきり言って強い



まさか、こいつもウロボロスの欠片を狙って…



ズドォッ…


「…何っ!?」



突然、アテナと錬金術師がいた部屋のドアが吹き飛ぶ


そして、液状化した何かが噴出した



ゴガッ…!


「ぐはっ!!」



突然の衝撃

脳が揺れる


錬金術師が、黒い波に乗って接近


金属性魔法で立方体を作り出した

尖った棘ではなく、面積を使った攻撃だ


ギリギリガードしたが、吹き飛ばされた



「どけぇぇっ!!」


錬金術師が窓へと走る



迎え撃つ二刀流野郎

だが、一気に波化した錬金術師



「しゃぁっ!」


二刀流野郎が剣を一閃



しかし、剣は素通り

まるですれ違うように、錬金術師は窓の外に飛び出した



ドガァッ!


「ぐはっ…!」



直後に、二刀流野郎が吹き飛ぶ


アテナが、薙刀で吹き飛ばしたのだ



「あ、おい!」


「そいつ、ちゃんと仕留めとくんやで!」


アテナも外に飛び出していく



「…」


「…」


後に残ったのは、俺と二刀流野郎だけだ



「間もなくクシュナ軍がやって来るぞ」


「ここまで騒げばな」

二刀流野郎が肩をすくめる


「場所を変えようぜ」


「…いいだろう。お前の目的がウロボロスだったとなると、話しは変わって来る」


「…」


二刀流野郎の視線に殺気が乗る

「前回は見逃してやったが、今回は逃がさん」


「こっちのセリフだ」


俺は、二刀流野郎の後について窓から飛び降りる



周囲には、破壊音が響いたアパートを見るための人だかり


俺達は、そこから高速移動

少しでも顔を見られないためだ


だが、正直助かった


あの錬金術師が使った立方体の金属性魔法…

あれが異様に効いている


頭がボーっとする

まるで、ボクシングでいいパンチを貰った時みたいだ


この移動時間で回復できるのは運がいい




少し離れた公園まで来ると、双剣野郎が立ち止まる


俺と二刀流野郎が向かい合った


「さぁ、やるか」


二刀流野郎がオーバーラップ空間からゴーレムを呼び出す


…あいつが厄介だ

小さい楕円型の金属質のゴーレム、とんでもない硬度で竜牙兵や俺の装具を一発でぶっ壊しやがった



「…お前、何者だ? どうやってウロボロスのことを知った?」


俺は、リィと竜牙兵、データ2を取り出す



「それはこっちのセリフだ。どこの組織だ」


「…」


お互い、所属組織の事なんて言うわけない

不毛な会話だ



「話を変えよう。お前、どうやってあの場所を見つけたんだ?」

俺は、双剣野郎の顔を見る


「簡単だ、近くのギャングに優しく聞いただけだ」


おいおい、同じ方法かよ

あの錬金術師、やっぱり目立ってたんだな

どこのマフィアも知ってるなんて



「さ、そろそろやるか。覚悟しな」


「ふん、たくさんの使役対象を連れて勘違いしてるようだから教えてやる。一匹へ注力することの偉大さをな」


双剣を構えた双剣野郎

一本は長く太くて刀身に穴が空いている、もう一本は短く魔玉がお埋め込まれていて杖の魔法強化機能を持つ


俺は、倉デバイスから大剣1991を取り出した



「…ごつい大剣だな」


「お前、少しだけ強いから使ってやる。喜べよ」



ギャリリリリン!


ボッ!



双剣の連続斬り


1991の柄の中ほどを持ち、ガードしながらいなす

同時に、ジェットブースターを使って振り切る


槍の動きの応用だ


あのゴーレムは、データ2と竜牙兵足止め

万が一壊されても復活が可能

奴の攻撃性能は危険だ



ボボボォッ!


リィが巻物を使って火属性範囲魔法(小)



双剣野郎の目の前に立つ火柱を下がって躱し、その直後に突っ込む

発動直後の熱が放散し、闘氣(オーラ)物理作用(バリア)で突破できる温度を見極めて突っ切った



ゴギャッ!


「ちっ…!?」



炎の向こうから双剣野郎が振ったのは、双剣では無かった

十字架のような剣…、尖った切っ先が叩きつけられた



バリバリバリ――――ッ!


「ぐおぉぉぉっ!?」



雷属性範囲魔法(中)

魔法陣から広範囲に電撃が巻き散らかされる


あの十字架、杖でもあるのか!



「何だ、その靴は。当たったと思ったんだがな」


「ホバーブーツって言うんだ。面白いだろ」


内心、冷や汗をかいている

エアジェットが無かったら、範囲外に飛び出せなかった



双剣野郎が、十字架の横棒を掴む

すると、なんと抜けた


それは、双剣の短い方の剣


あの十字架は、双剣を合体させた形

あれ、合体する武器だったのか…!



「…合体させると、魔法の強化機能が上がるのか」


「よく分かったな。柄が伸びる分、魔法は強くなる。そして、十字架型になるため、一発の打撃力も上がるぜ」


奴の合体剣は、通常は双剣の形

小回りが利き、短い方の剣で魔法も気軽に強化できる


そして、合体させて十字架型の剣にすることで、大振りではあるが強力な一撃

そして、長い柄による杖としての機能の強化を実現させているのだ



「おらぁっ!」


俺は、一気に上空へと飛ぶ



そして、上空で旋回していた奴のゴーレム

トロップフンに一直線



ジェットをオン

パイルバンカー機構を発射



ボゥッ… ズッガァァァァァァァン!


「なっ…!?」



今度は双剣野郎が驚愕


フル機構突きの凄まじい衝撃が、奴のゴーレムを遥か彼方まで吹き飛ばしたからだ



「な、なんだ、その大剣…。変形機構だと!?」


「…相変わらず、とんでもない硬さだな。お前のゴーレムは」


フル機構攻撃でぶっ壊せないとは…



「トロップフンは壊せん」


「戻ってくるまでに、お前を仕留めるだけだ」



データ2とリィは、奴の動きを見ながら要所で攻撃を入れる

接近戦は、あくまで俺だ


騎士相手だと、使役対象は簡単に殺される

補助と割り切らなければ危ない



ガキキン!


ボッ!


ブンッ!


シャッ…!



攻撃がお互いに空を切る



「死ね…!」


「…っ!!」



突然、奴の周囲の気温が急激に下がった



吹雪が吹き出す


これは、冷属性範囲魔法(大)だ



俺は、ハンドグレネードを転がしながら、小型杖を振る



ビョォォォーーーーーーーーン!


ドッガァァァァァン!


カシャシャシャシャキーーーーーーーーーーン


引き寄せの魔石の効果で、一気に離れる俺

同時に爆発が双剣野郎を襲う


直後に冷気が大気を凍らせた



「お前、魔法使いだったのか」

俺は、着地した体勢で重心を下げる


「魔法も得意なだけだ」



一瞬で双剣を組合わせて十字架型に

その直後に、溜めていたであろう魔力を使って範囲魔法(大)を発動した


こいつ、強い…!


そして、懸念事項がもう一つ

こいつの魔法が上手いくせに身体能力も高い


…ただの闘氣(オーラ)使いじゃない

()()()()()()()()()()



「…お前、まさかエスパータイプか」


「…っ!?」


驚く双剣野郎



エスパータイプとは、変異体の一種

変異体には三種類のタイプが存在する


俺はドラゴンタイプ

背中の触手を使い、テレキネシスで空を飛べる人体の拡張タイプ

五感が鋭いのも特徴だ


そして、双剣野郎はエスパータイプ

感覚器が鋭いが、一番の特徴は脳力

サイキックが得意で、同時に魔法も強い

テレパスは、新たな感覚器と言えるほどの能力だ


最後はギガントタイプ

筋力を強化しており、骨格の頑強さも別格

身体能力が格段に上がり、闘氣(オーラ)を纏えば、不沈艦のタンクとなる



「そうか、さっきのトロップフンへの攻撃…。お前も変異体か」


「ドラゴンタイプだ」


上空のゴーレムを吹き飛ばした一撃

あれは、背中の触手に精力(じんりょく)を込め、サイキックのエネルギーを推進力へと変えた


ホバーブーツと飛空能力

引き寄せの魔法弾や流星錘を引っかける急旋回


高速立体機動は、俺が最も得意とする戦闘スタイルだ



「こんなところでB+ランクと会えるとはな」

双剣野郎が構える


「変異体は、そう簡単には生まれない。お前、やっぱり、ただの用心棒じゃねーな」


「お互い様だ。変異体のコソ泥なんていないだろ」



変異体は最高峰の技術

失敗も多く成功率も低い


完成変異体と呼ばれる、バランスよく変異ができた個体を作り出すのは、潤沢な資金のある組織にしか不可能だ



「聞きたいことができた。ギリギリ生かして連れて帰りたい。死ぬなよ」


「お前こそ」



人が近づいてくる気配がする


決着をつける


勝負所だ



打ち負けた方が負ける



集中


武の呼吸


生き残るための最適解を探り出す



俺と双剣野郎は、間合いを測りながら見合った





双剣野郎 一章十三話 クシュナ6



合体武器vs変形武器、ファイッ!

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