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序章一話 見習い騎士1

用語説明w


ペア:太陽系第三惑星であり、惑星ウルと惑星ギアが作る二連星

ウル:ギアと二連星をつくっている惑星

ギア:ウルと二連星をつくっている相方の惑星

龍神皇国:惑星ウルにある大国


陸戦銃

正式名称はシグノイア純正陸戦銃、アサルトライフルと砲の二連装、使い勝手のいい名銃


太陽系第三惑星


この惑星は、便宜上ペアと呼ばれている

便宜上とは、ペアという名前の惑星ではない


ペアとは、二つの惑星が重力で釣り合いながら公転する二連星だ


ペアの二つの惑星の名をウルとギアという



今日はいい天気だ


惑星ギアが青空に映える



ここは惑星ウルにある大国、龍神皇国

その国内にある立入り制限地区の一つだ


立入り制限地区とは、魔素濃度が高い地区

モンスターが活性化し強力な個体が出現することから、人類が支配権を放棄せざるを得ない

入れば命の保証がない、そんなエリアだ


やって来た理由は、モンスター討伐の実戦的な訓練のため


俺達は龍神皇国騎士団に所属する騎士

その見習いである訓練生なのだ



俺の名前はラーズ

ラーズ・オーティルという


龍神皇国騎士団の見習い騎士の一人だ




「全員、闘氣(オーラ)を発動!」


「…っ!!」



突然、教官が怒鳴る


俺達は、慌てて闘氣(オーラ)を纏う

だが、何人かの訓練生が闘氣(オーラ)の発動に戸惑った



「ちっ…、発動くらいさっさとやれよ」


エドガーが舌打ち

その周囲の奴らがニヤニヤしている



闘氣(オーラ)の発動に手間取ったのは、全員が外様騎士と呼ばれている者達だ



闘氣(オーラ)


氣力と精力(じんりょく)の合力である、闘力を使った技能

物理特性(バリア)と身体強化特性を持ち、人体の性能を飛躍的にアップさせる


騎士の最低条件とは、この闘氣(オーラ)を使える事

それだけ、この能力は有用であり、モンスターと対峙するために必須の能力だ



騎士は、三大元応力である闘力、魔力、輪力の技能を使う

具体的には、闘氣(オーラ)と魔法、特技(スキル)のことだ


魔法とは、霊力と精力(じんりょく)の合力である魔力を使った技能

特技(スキル)とは、霊力と氣力の合力である輪力を使った技能


この霊力、精力(じんりょく)、氣力のことを三大基本作用力と呼ぶ


霊力とは、魂と霊体を引き付ける力

精力(じんりょく)とは、魂と精神を引き付ける力

氣力とは、魂と肉体を引き付ける力


魔導法学における人体とは、この三大基本作用力と三大元応力、中心の魂で表すことができる


挿絵(By みてみん)





「この先でトロルを発見。戦闘を開始する」


「しゃぁっ! やっとだぜ」


肩にバトルアックスを担いで嬉しがるエドガー

その反面、俺の周囲の見習い騎士達は不安そうだ



「ここは立入り制限地区、魔素が濃くモンスターは強く成長する。Dランク相当と考えろ」


教官が俺達に声をかけて横に逸れる


その先に、トロルの姿が見えた

後は勝手にやれということだろう



「てめーらはそこで見てろ!」


エドガー達が走り出す

身体強化されており、凄まじい速さだ


「…」


「どうした? お前たちは行かないのか」

教官が尋ねる


この人はリュベン教官

俺達の指導教官だ


「…トロルくらいなら大丈夫でしょう。本当は、パーティでの動きを訓練するべきだと思いますが」


俺は、答えながら近づいて行く

何かあった時のフォローのためだ



スバァッ!


「うおぉぉっ!」


「らぁぁっ!」



トロルの持つこん棒ごと、エドガーがバトルアックスで叩き切る

他の訓練生が、トロルの胸と膝を攻撃


無力化しながら、止めを刺す



「凄ぇパワーだ…」


横にいたアフリイェが言う

俺と同じ外様騎士だ



「お前たちは周囲を固めろ。ゴブリン、ワイルドボア、キラーエイプなどが接近中だ」


「…トロルがいるのに、ですか?」

俺は教官に聞き返す


モンスターには生態系が存在する

要は、弱肉強食


人間を特別に狙うわけではなく、自分よりも弱い相手を喰う

トロルがいれば、それよりも食物連鎖で下位のモンスターは近づいて来ないのが普通だ



「近くで大型モンスターの討伐が行われている。触発されたのだろう」


「…」


俺は、肩にかけていた銃を構える


これはシグノイア純正陸戦銃という

俺が過去にいた軍の採用銃で、世界でも評価の高い名銃だ



タンッ


森から飛び出してきた狼型のモンスター、ノムルウルフに発砲



「うわっ、来た!」


「落ち着け。闘氣(オーラ)を纏って対処しろ」



アフリイェ達が動く


ゴリラ型のキラーエイプを片手斧で切り裂く

騎士は強い、F~Dランクのモンスターなら余裕を持って対処できる


これが一般兵なら、一個小隊三十人以上の武装兵士が必要となり、数人が死傷する可能性があるのだ



「おい、ラーズ。お前、いつまで銃なんて使ってるんだ?」

「これだから外様はバカなんだ」


エドガー達が笑う


「放っておけよ。好きで使ってるんだ」



騎士のメインウェポンは近接武器

剣や槍、斧などだ


その理由は、闘氣(オーラ)の特性による


闘氣(オーラ)の特性は包むこと

身体の周囲を纏う闘氣(オーラ)で、身に付けている防具や武器まで包めるようになる


これによって、武器や防具の硬化、物理作用(バリア)による保能力を持ち、切っても血や油が付かず刃こぼれもしない

硬度が上がることによる切れ味の超絶強化という恩恵までもが得られるのだ


しかし、闘氣(オーラ)は身体から離れると霧散するため、身体から触れた物を包むことは難しい

そのため、銃などの遠距離攻撃武器に闘氣(オーラ)の恩恵を乗せることはできない


これが、騎士が近接武器を選ぶ理由だ



「さぁ、目的地に到着だ」


「…!」



モンスターを蹴散らして進んだ先には、とんでもない光景が広がっていた



巨大なドラゴンが地に伏して事切れている

あれは、大気を操るクラウドドラゴンか


その前には、女性騎士が二人、静かに佇んでいる



一人は、長い金髪の龍人女性

陶器のような肌と整った顔立ち、真っ青な、左右で濃さの違う瞳

女神のような美しさだ



「セ、セフィリア…ドルグネル……」


エドガーが呟く



「セフィリア様、遅くなりました」


「ご苦労様です。私のわがままのため…ありがとうございます」


セフィリアと呼ばれた女性がリュベン教官と挨拶



「あれが、白宝双剣と紅龍の怒り…」


エドガー達が見つめる、セフィリアの真紅に輝く鎧と純白の双剣

騎士達の憧れる国宝級の装備だ



「あ…」


近づいてくるセフィリアに、緊張する訓練生たち



だが、セフィリアは微笑みながら、一直線に俺の所にやって来た


「なっ…」


だよな、そうなるよな

エドガー達の視線が俺に突き刺さる



「騎士団の訓練はどう?」


「…何とかやってるよ。どうしてここに?」


「ラーズたちの実習があるって聞いたから、近くの現場を探したのよ。会えるかなって」


「騎士団長が簡単に会いに来ちゃダメだって」


「町で、変なことしていない? ギャングの不審死があったらしいのだけど」


「………ごめん、知らない」


俺は、目を逸らす

でも、小声で謝る


どうせ、全て分かった上で聞いてるんだから


「訓練期間が終わるまでは大人しくしていなさい」


「はい」


諭すような言い方

俺は素直に頷く


そんな様子を、セフィリアの隣にいた黒髪の、目が閉じているように細い女性騎士が見つめていた



「グオォォォーーーーーーーッ!」


「…っ!!」



振り返ると、クラウドドラゴンが血を滴らせながら体を起こそうともがいている

まだ生きていたのか


俺が前に出ようとすると、スッ…と肩に手をかけられる


セフィリアが俺を止めた


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