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この雨の降りつづく夜の世界のかたすみで

作者: 秋葉竹



灰色の瞳のひとに

なりたいな

ひとの純白な夜のかたすみの

憎しみはほんとうのところ

涙が綺麗だと勘違いしている愚かさに似る

炎上する胸の奥から飛び散る汗と

同じ色しかしていない命の燃え滓なのに



この雨の降りつづく夜は

いったいいつになれば明けるのだろう

胸に飼っているもつれてしまったしがらみ

そんなものに操られて生きるのは

嫌だから嫌なんだ

眠れなければ眠れないままでいいよ

ひとり暮らしって

明けない雨の夜を泳いでいるみたいだなと

そしていつかエラ呼吸なんて

覚えてしまうんだあゝ人魚に逢いたい



おだやかな微笑みをいつも

浮かべていられるあのひと

みたいに光っていたいな

賑やかな災いが日々やって来る世界

悲しげな笑顔がグサリとちいさな胸を刺す

あのひとのすき透るみたいなカッコ良さは

まるで暴風に巻かれる甲虫の涙みたい

けんめいに逆らいつづけた白い罪びとの

悪に堕ちないための我慢の果ての涙みたい

逆らえない悲しみと背中合わせの罪

風は吹きいつだっていつまでだって

吹き

吹きつづけるから

吹きすさびつづけるから



あのひとが生きてくれているから

わたしも生きているのだと

心無い嘘ではない潔白を証明できる想い


この雨の降る

降りつづきまた降りつづける夜だから

夜は天国に行けなくてもいいかな

おだやかなまま死んだように眠りたいな

ほんとうに死んだように眠りたいだけ

叶ってこの

灰色の

希い


あゝ

灰色の瞳のひとになりたい







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