沈黙する船
今回はロボがあまり出てこない話です。説明回になってます。
どれだけ休んだだろか。ようやく疲れの取れた俺は静かに起き上がり辺りを見渡す。寝床には丁度いいが狭い部屋だ。
見渡しても特に何も無いし、静かなものだ。
取り敢えず今日の方針を決める。午前中は船外の調査。午後からは船内探索とした。
そうと決まれば即行動。ARをアーマーモードに切り替え着込む。そして船に入ってきた時の大穴から下を覗き込む。
地表までは5、6メートルはありそうだ。ARのGコン(重力コントロールユニット)を利かせながら、ゆっくりと地表に降り立つ。実際には地表スレスレで浮遊している感じだ。
この惑星ARUは地表の8割は海。陸上は大半森で覆われているが地面は殆どが湿地帯で歩くとスポンジ状の大地から水が滲み出てくる。この星でしっかりとした大地はドームの中くらいだろう。また、大気は地球に比べると酸素濃度が高い窒素7割、酸素3割って感じだ。死ぬことは無いがドームから出る時はマスクを付けて酸素量を調整している。
軽く船外を見回ったが特に外敵は無かった。当面の安全なのも分かったので少し船から離れた所から船体を観察してみる。外観は船体の殆どが森に飲まれている状態で、センサーで透過してみると船は全長120メートル、幅20メートル、高さは20メートルと言ったところか。
船体の半分いや2/3は地中に沈んでいる。船は10度くらい傾いている為、船首が森から少しはみ出て見えている。
それにしてもドームから300キロも離れた所にあるこんな小さな目標に良く辿り着けたものだなと改めて思う。
船には武装設置点は4箇所あるが、いづれの装備も既に外されている。金目の物は全て奪取されてたらしい。
船体の穴は複数あるが修理された形跡の穴もあった特に天井に当たる部位の多くの穴は修繕されている。
他にも周辺に以前使われていた居ただろうキャンプ跡などもあり、時々は人に使われた形跡もある。
その辺りは内部の調査をすれば色々と見えてくるかも知れない。
寝床に使った部屋のある大穴に戻ってきた。人が通れるサイズのハッチは複数あるが大型の機器が出入りする扉は地中に埋まっているようだ。もっとも船の動力も止まっているので大型の扉を開閉する手段は少ないかも知れない。
メインの動力は止まっているがサブや非常用の電源が生きているかも知れない。
個室の扉が開閉するのだ。他にも床面を水平に感じるなど人工的な重力制御が働いていそうだ。
ARをライドモードに変えてちょっとした広間に乗り捨てて船内探索に向かった。
まずは船内図が欲しいと思った。外から見て大まかな構造情報は得ることが出来たが、この船以外に大きい。
部屋数も100室以上は有りそうだ。ま、船首に向かえば操舵室があるだろうと思い移動を開始する。
艦橋に着くと思った通り情報端末もある。おまけに数体のロイドが転がっている。どちらも壊れてはいないようだ。一時的にパワーが落ちているだけのようだ。ARから予備のエネルギーパックを外し艦橋に持ち込む。端末に電力を流し込むと一部の機能が生き返り始めた。