迷いの森の船
メカが大好きでたまりません。ロボットなら大小構わず愛せます。
殆ど自己満足を満たす為に書く物語になりそうです。
大きく広げた風呂敷も収集可能かまだ分かりません。
初期の作品になりますので暖かい目でみて頂けると幸いです。
他人の自由が怖い。
ここは惑星AQU。弱ければ他人の自由に殺される。
数ヶ月前の事だった。我々はこれまで統治を維持していた機構を失ったのだ。
”地球”と言う名の星を。。
真の自由を手にいれる為に母なる星を撃ち滅ぼしてしまったのである。
最初は自由を手に入れた高揚感で騒いでいた。身近な武器を取っては天に掲げ祝砲代わりに打ち上げ喜んでいた。
だが騒動はやがて暴動に変わる。人は思うがままに行動し女は襲われ、価値ある施設や商店は破壊され金品と食料などの物資は奪われる。普段なら早期に治安機構が介入し鎮圧されて人々も冷静さを取り戻せるのだろうが今はその機能が無い。自らの手で捨てたのだから。。
開拓の進んだ大都市が点在する惑星では地球に変わる統括機構、政府や自治領もあるのだろう。しかし惑星開発初期当たる、このAQUにはそんなものは無い。食料を始めとする生活物資も惑星間の補給に頼っているくらいだ。
自治などとても及ばない。。
ただ俺の居た街(ドーム状の保護エリア)はまだ恵まれていた。逃げ出す時にこのAR(エアーライダーと呼ばれるバイク型の乗り物)やライトアーマー(装甲宇宙服)も持ち出せたのだから。
まずは安全を確保する為一人になりたかった。
そして俺は逃げる今なお銃声の鳴り響く街から。
<数時間前>
情報の伝達は遅くなったモノのこの惑星AQUに連合勝利の報はも届いている。
連日連夜、小規模ながら各所で勝利の宴が開催されている。人々は酒に、勝利に酔いしれていた。
誰も明日の事など考えもせずサボタージュを決め込み働きもしない。ただただ個人の自由を楽しんでいる。
今は何からも束縛される事はない。中央から指令も指示も無くなったのだから。
「祝砲ダァァァー」誰かが勝手にハンガー(武器庫)から銃火器や兵装を持ち出し天に向かって乱射する。
馬鹿な大人達がそれに続く。俺も俺もと武器を取り空に向かって撃ちまくる。
酒も入っていた為かその光景は結構綺麗で楽しそうにみえた。
そう言えばここって天井あるけど大丈夫なのかと時折考えもしたが宇宙戦艦の外壁並みの強度もあるらしいしイイか。事実その点は大丈夫そうだった。
そうこう思案しているうちに事態が動き始める。
「止めないか君たち」強化保護服を身に纏った青年がたちはばかり静止をかける。
「うっせい、バカ」大人達の一人が銃口を向ける。青年の前に数体のガードロイド立ち盾になる。
初めは閃光の一つ受けるだけだったが、ガードロイドは瞬く間に的にされ撃ちのめされる。
「に、逃げろ!」宴はこれを持って解散となった。冷静さを取り戻した人から逃げ始める。
流石にこれはやばいなと思う俺。
人が少なくなった会場に一人の伝令兵が入ってくる。
「配給が、配給が止まるらしい」この情報で次の矛先が決まったらしい。
大人たちがゾロゾロと移動し始める。
俺も隙をみて移動を始める。大変な事になりそうだと呟き、出来立ての屍を乗り越えて会場を出た。。
まずは装備だな。この貧弱な身体では3分と耐える自信がない。
確かパン屋の近くに鎧系の倉庫が並んでいたな。
おぼろげな記憶を捻り出す。
パン屋の側まで来るともう抗戦が始まっていた。
「来るなら来やがれ」聞き覚えのあるパン屋のオヤジの声が銃声に紛れて流れてくる。
オヤジは何処から引っ張り出したか分からないが、小型の機動兵装である装甲騎兵を駆り自分の城であるパン屋を死守している。
隣の肉屋も共闘し色違いの騎兵を駆り黙々と攻防を繰り返している。
これなら少しは時間が稼げそうだ。
俺はパン屋を後にし倉庫に潜り込む。倉庫は既に先客たちに荒らされて居たがまだ十分な数のライトアーマーが収納されている。取り敢えず自分のサイズに合うライトアーマーを身につけ急ぎここを去る事にした。
しかしこれ程の騒ぎになっても誰も諌めてはくれない。
俺はこの街から暫く離れる事を決め、ドームの出入り口を目指す。
途中、幸運にも放置されたと言うより主人を失ったARを得た。
元の主人に軽く手を合わせてARを譲り受ける。
そしてドームの出口を目指し急ぎ走り去る。
ドーム出口を抜けると先は翠の森が広がっている。特に道も無くARかクラフトなどの飛行系のデバイスでも無ければ辛い旅路になっていただろう。
少し安堵したのか走りながら街での出来事を振り返る。
中は生き地獄だったと思う。人々は訳も分からず闘い互いに殺し合う。みな何かを守る為に戦っていたのだ。家族を守る為に、居場所を守る為に、そして自身を守る為に。。
そして点々と転がる屍の数々。大半は人々の盾となり散ったロボットやロイドの機械たち、次いで鎧を身に纏ったホムンクルスなどの人工生命体。果ては様々な兵装の使用を許された人が駆る大小の兵器の残骸。残骸の中には恐らくミンチになった人の骸が残っているのだろう。。
俺はそんな光景を見るのが嫌で何かを守る事を放棄して逃げ出したのだ。
街から離れるにつれ少しずつだけど心が軽くなった気もする。
取り敢えず北へ行こうか。俺は呟く。
以前、北の森にそこそこ大きな宇宙戦艦の残骸が残っていると聞いた事がある。
行く当てのない俺は森を彷徨いながら宇宙船に辿り着こうとARを駆った。
雨風くらいは凌ぐ場所が欲しい。そんな事を思いながら。。
そしてたどり着く巨大な何かに。
後から思えば、この広い森で良くも辿り着けたと思う。
只今はひたすら眠い。ほぼ一日中走り続け身体は疲れ切っている。
船の残骸とはうまく言ったものだ至る所に大小の穴が空いておりARに乗った状態でも船に侵入する事が可能だった。
中に入ると幸い幾つかの個室もあるようだ。俺は手頃な空間を見つけ潜り込む。
探索は明日にしよう。。こうして早々に眠りにつくのだった。
それにしても散文だなと思います。
反省はするけど目げづに続き書かないと。。