第75話.コラボ配信を終えて
ここからみずなの父親に関してのことは警察からの調査が入るため、コラボ配信はどよめきの中幕を閉じた。
祐希も早々に家を後にし、誰にも見られないように僕の家に来る。
「祐希! 無事でなにより……」
「いやぁ、深空作のあの拘束道具ヤバかったわ。さすがに犯罪性のアレで警察に没収と今後の作成に対する厳重注意もらったけどな。あー、後あの盗聴器も」
「まぁあの2つはさすがにね……」
特にあの盗聴器。あんなの誰も気づかないから犯罪し放題だもん。
「あ、そうそう。祐希これ見て」
そう言って、僕はさっきまでしていた配信のコメント欄を見せる。
「ん? って、すごいな! いろんなVの人から感謝コメントきてるじゃねえか! それにこれ、やめさせられた人からも来てるぜ!」
「こうやって見ると彩良のやってたことって、やっぱりみんなすごく恐れてたんですね……。それにやめさせちゃった人たちに対してはほんとに申し訳ないです……」
そう言って彩良さんは今にも泣きそうな表情になる。
「責任感じる気持ちはとってもわかるけど、彩良さんは強制的にさせられてたんだから仕方ないよ。その証拠にほら」
僕はコメント欄を少しスクロールして見せる。
するとそこには、数え切れないほどのみずなに対するコメントが寄せられていた。
もちろん、良心的なコメントばかり。
「あっ……」
「ほら、普通のVTuberに戻って活動してほしいなんてのもあるぜ」
「で、でも……彩良がまた、この世界に帰るのは……」
「まぁ、たしかに批判的な人もいるだろうね。でもそれは彩良さんのこれからの行動で変えていけばいいだけの話。あとは彩良さんにまだVTuberを続けたい意思があるかだけだよ」
そう言葉をかけると、彩良さんは涙を拭い、すぐにまた涙がたまりながらもはっきりと言う。
「ま、まだ……VTuber……したい、です……!」
「よしよく言った! ということでどうぞー!」
彩良さんの言葉を聞いてすぐ、祐希が誰かを呼ぶ。と言っても僕も知ってるんだけどね。
寝室から現れたのは、みんなご存知うちの社長です。
「よく言ってくれた! 私も君の声といい口調といい、良いものをもって生まれてきたと思ったんだ。心のケアをした後に、うちで採用するかを決めようと思う」
「……え……?」
「それじゃ、あとは頼んまーす!」
そうしてまだ困惑状態の彩良さんは社長に連れられていった。これはあとから聞いた話なんだけど、無事採用が決まって4期生としてまた活動を始めるみたい。
──こうして脅威は去っていった。これからはもちろん、また楽しい配信活動だねっ!
長期的な失踪もはさみましたが、これにて2章完結です。
重めのお話はもう懲り懲りですね。書くのも難しいですし、読者も離れますし……。




