第72話.コラボ配信 3
:いやいや、実際に会えるもんじゃねえだろw
:零くん、日本は広いんだよ?
:ってか、まだ証拠あんのかよ
:断罪する準備はできてからのこの配信か
:父親敬語なくなってるの草
「はっ、コメントにもあるじゃねえか。さすがに会えたってのは嘘だな? 俺を紛らわすための」
「もしそうだったとしても、敬語なくなってる辺り、成功ということになりますけどね。まぁでも、さすがに信じてもらえませんか……」
「ってことは、やっぱ嘘なのかぁ? うわー、嘘つかれて傷ついたわ。名誉毀損で訴えても──」
「いやいや、誰が嘘って言ったんですか?」
:おっと? マジで会ってる系のやつか?!
:というか、証拠とか喚いてる時点で犯人確定なの草
:2人ともだけど、本人なしで騒ぎすぎるのは良くないと思う
「それもそうですね」
「リスナーは来ると思うか? ただの1人の人間でしかないこいつの言い分に」
:来てほしいが……
:正直なところ怪しいよな
:お前も1人の人間に過ぎないけどな
「正直に言うとたしかにリアルで来てくれ、とは言ってませんよ」
「言ってないんじゃなくて、言えないの間違いだろ?」
「いえ、《《選択してくれ》》と言いました」
「選択……?」
「そう、選択です。今までの生活を望むか、助けを求めるかのです。本当に何もやってないのなら、そちらに行くのでは? みずなさん本人には僕のスマホを渡してますから、この配信も今見てます。さぁ、みずなさん。選択の時です」
:最後は本人の意思に合わせるってことか
:だけど、これで父親サイドについたら名誉毀損罪じゃねえのか?
:大きい賭けだな
:1VTuberがすることじゃないんだよなぁ
これが、最後──。
実際にあんだけ悲しんででも、あの親のもとに帰る可能性がないとは言い切れない。そんなのを僕の一存で決めていいわけがない。
だから、最後はみずなに──彩良さんに託す……!
────そして、インターホンが鳴り響く。
「…………はッ! 残念だったなぁ、《《零さん》》よォ!!!」
僕に聞こえたのは、《《配信越しに》》だった。




