閑話.お兄さんとの出会い
もう……耐えられないよ……。
彩良──笹原彩良は、お父さんに買い物に行かされた後、家に戻りたくなくて、近くの公園のブランコに座っていた。
はぁ……どうせ家に帰っても、また叩かれるんだろうなぁ……。
そういえば、スーパー行ったときに人の多さで日曜日ってわかったけど、この公園には人が全然いないなぁ……。
まぁでも、そっちのほうが安心して泣けるし、いいんだけど。
「こんばんは、お嬢さん。泣いている顔は似合わないぜ? もし俺でもよかったら、話聞くぞ?」
……え、彩良? これ、彩良のことを呼んでくれてるの……?
今はフード被って下向いて泣いてて、話しかけづらいと思うんだけど、この公園は他に誰もいなかったよね……?
けど……どうせ彩良の傷だらけの顔見たら、気持ち悪がられるもん……。
「ぐすっ……大丈夫です……。気にしなくていいです……」
彩良は顔を上げずに答える。
大丈夫、だから……。彩良なんかのためにあなたの時間を使わなくていいから……。
「あぁ、そっか。大丈夫じゃないんだな」
な、なんで、大丈夫だって言ってるのに……。
「……ほんとに、大丈夫なんです……」
「知ってるか? 自分の苦しみとかは人にぶつけたほうがスッキリするもんなんだぜ?」
……っ! どうしてこの人は、彩良を見捨てないの……?
どうせ誰も、彩良の実体験なんか信じてくれない……けど……。
「……ほ、ほんとに、聞いてくれるんですか……?」
彩良なんかの話を……。
彩良は顔を上げて、その人に話しかける。
ほんとに、優しそうな顔で彩良を見てくれていた。
この人なら彩良を助けてくれるのかな……?




