第61話.公園で泣いてる少女はだいたい主要キャラになる
〜〜〜青山祐希視点〜〜〜
「じゃあな〜」
「なにか分かったらすぐ伝えます」
「うん、2人とも気をつけて帰ってね〜」
凪と挨拶をして、俺は優菜と一緒にマンションを出る。……横に並んでるのは気づかなかったことにしておく。
それにしても、思った以上に手がかりがないんだよなぁ……。
でも、これ以上父親について無理に調べようとしたら危ない気もする。俺だけならまだしも、3期生全員を危ない目にあわせるなんてことはできないからな。
なら3人には悪いが、ここは俺1人でも──。
「……祐希さん? どうかしましたか?」
「ん、いや? なんで?」
「いつもの変態さんの顔じゃなくて、真剣な表情で眉を寄せてて……その、ちょっとだけ怖かったというか……」
おっと、顔に出てたか。いくら同期とはいえ、高校男子と中学女子なんだから気をつけとくか。
「これからどうやってみずな助けようか悩んでただけだ。すまんな、まぁ心配すんな」
俺はそう優菜に返していつも通りみたいに笑う。そうすると、優菜は首を縦に振って再び前を向く。
けどやっぱ、同期を心配させるのも良くないよなぁ。
どうしたものか。
マンションを出ると、優菜が予め呼んでおいたタクシーが停まっていた。
優菜は俺に頭だけ下げてタクシーに乗り込む。俺はタクシーが見えなくなるまで、マンションの前で手を振り続ける。
完全に見えなくなったところで腕時計を見ると、あと3分で5時になるところだった。
やっべー、5時には帰るって言ってしまったわ。
まぁ、凪と俺の家の間にある公園走って突っ切れば間に合うか。
そう考えて、俺は公園に入ったところで走り出す。と、ほぼ同時に立ち止まる。
公園の中にあるブランコに乗ってる女の子が、フードを被りながら下を向いて泣いていたからだ。
俺はこれを見た瞬間に思う。これ、ラノベで見る『公園で泣いてる少女を助けたら、実はお嬢様だった件』みたいなパターンのやつだろ。
といっても、結局見捨てることはできないので話しかける。
「こんばんは、お嬢さん。泣いている顔は似合わないぜ? もし俺でもよかったら、話聞くぞ?」
雰囲気的に優菜とかりーちゃんとかより幼い感じがする。おそらく中1くらいかな。
「ぐすっ……大丈夫です……。気にしなくていいです……」
女の子は下を向いたまま答える。
「あぁ、そっか。大丈夫じゃないんだな」
「……ほんとに、大丈夫なんです……」
「知ってるか? 自分の苦しみとかは人にぶつけたほうがスッキリするもんなんだぜ?」
「……ほ、ほんとに、聞いてくれるんですか……?」
そういって女の子はやっと顔を見せてくれる。
まず始めに、すごい可愛いな、と思った。だけど、すぐに俺は顔をしかめる。
傷だらけだな、と次に思う。誰がどう見てもDVだろうと予想がつく。
「……結構訳ありっぽいな」
「ほんとに……彩良の話を……聞いてくれますか……?」
どうやら女の子は彩良、というらしい。




