第36話.絶対に身バレしてはいけないアニカー
少し加筆しました。
僕達がそう決意したところで、みのが戻ってきた。
「よ〜っし、んじゃやるか〜」
「……本当にそんなにうまいんですか……?」
「まぁ、うん。やってみればわかるよ……」
世界1位だからって、一般的に見てうまいとは限らないと思うし、嘘じゃないよね。
「へぇ、みのはみーちゃんと同じカートなんだな」
「あ、え〜っと、スピードが早いので、結構強いのかなと思って」
「う〜ん、あれは走りにくいと思うけどなぁ」
「え、そうなの!? 私昔からずっとあれ使ってるんですけど……」
「パラメータがスピードだけに振られてるからなぁ」
「ちなみに、祐希くんたちは……って、やっぱり王道なんですね」
「ま、結局はこれが一番いいってことよ!」
「ってことよ!」
別に、自己流カートのほうが走りやすいとかね、そんなことないからね。だからまぁ、うん。嘘じゃないよね。
それにしても、みーちゃんと同じカートかぁ……。実際に使ってる人初めて見たなぁ……。
あれ、絶対使いづらいと思うんだけど。
「ま、とりあえずやってみようぜ!」
当然、その結果は。
「こういうことなんだわ」
「うぅ……」
「あはは……」
祐希が1位で、僕が2位。そして、みのが10位。
ただ、このレースをして気づいたことが。多分祐希も気づいてると思うけど。
「多分これ、みののプレイスタイルにあってないよね」
「俺もそう思う」
「え?」
世界ランカー、舐めてもらったら困るな〜。まぁ、みのはそのこと知らないんだけども。
「一回さ、俺らやんないからプレイ見せてくんね?」
「は、はぁ……」
ということで、コーチング企画スタート。
「ふむ……」
「なるほどねぇ」
そうして、1度みののプレイを見た僕と祐希は、熟考していた。
「凪よ、やっぱりみのの──が──だよな」
「そうだねぇ。だから、──を──にするとか?」
「それから、──も──にするのがいいかもな」
「あ〜、たしかにね。でも──じゃない?」
「えっ……ん……え?」
世界ランカーの話についてこられるわけもなく、みの撃沈。
そうしてるうちにも話は進んでいき、僅か2分後。
「よしっ、みの、試しにこれでやってみてくんない?」
「多分走りやすいと思うけど……」
「え、もうできたの!?」
タメ口ありがとうございます!
じゃなくて、このコンセプトを考えたのが僕達だから、当然合わないわけがなく。
みの──1位。
もちろん、僕達は参加してないオンラインマッチ。参加したらちょっと、ね……。
「やった……! 1位だ……!」
「カートはどうだったかな?」
「今までの比じゃないくらい使いやすい……」
「それはよかった!」
「んじゃ、もう一回一緒にやってみるか」
当然というべきなのか。
「頑張ったよ? 頑張ったよね……? なんで……」
1位、祐希、2位、僕、3位、みの。
「まぁ、もっと練習しろってこと」
「そういえば、みのも敬語じゃなくなってきたね」
「あ、ほんとだ……。特に気にしてなかったけど……」
「つまりは、仲が深まってきたってことだろ」
「「うん!」」
sideみの
(ほんとにあの二人何者なの……? いくらなんでもうますぎる気がするんだけど……)




