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9話

 ロビンが複数人の貴族を連れて私の前に現れた。

 どうやら、私に対して何か恨みを募らせているらしく、私を強く睨みつけていた。


 ロビンの連れている貴族は五人。

 どれもロビンと仲の良い貴族で、ロビンと同様に私を敵視している様子だ。


「っ!」


 ぐるりと、ロビンを含む男性貴族に取り囲まれた。

 逃さないようにするつもりらしい。


 当然、怖い。

 私よりも強い力の男性に取り囲まれ、恐怖を覚えないはずがない。


 時刻は放課後だが、廊下にはまだ生徒はいる。

 この事件を聞きつけ、野次馬の生徒はどんどん増えていくだろう。


 私は誰かが助けを呼んでくれることを祈りながら、表面上はあくまでも強気にロビンと対峙した。


「何かご用でしょうか」

「用も何も、お前は何をしたのか分かっているのか!」

「はぁ……?」


 ロビンが意味の分からない言葉と共に怒鳴りつけてきた。

 まるで私が何か罪を犯しているかのような口ぶりだが、当然私は何も身に覚えはない。

 するとロビンの後ろの貴族たちは私を罵倒し始めた。


「しらばっくれる気か!」

「この貴族の恥さらしめ!」

「人を罠に嵌めるなんて、最低だぞ!」


 何を言われているのか分からなかった。

 そもそも私はロビンに対して婚約破棄の件以外何もしていない。


「私には何の話か分かりませんが……?」


 私がそう言うとロビンは呆れて首を振り、ため息をついた。


「はぁ……もういい。言い訳はよせメアリー。君がルイス王子に僕を側近から外すように言ったんだろう? 僕を陥れるために」


 冤罪だ。

 私はそんなことはしていないし、する必要がない。だって現在のロビンを見ればいつか側近から外されることは目に見えているからだ。


 私は空元気の余裕を見せながら反論する。


「側近を辞めさせられたのは、あなたの普段の行動の結果でしょう? それに恥と言いますが、取り巻きのあなた達も、一人の女性を複数人で恫喝して恥は無いんですか?」


 しかし、その空元気も限度を超えてしまった。

 私は嘲笑混じりに挑発する。

 ロビンと取り巻きたちは逆上した。


「この売女め! 王子に対して色目を使ったくせに我々を侮辱するか!」

「王子を誑かし、我々を侮辱した女には罰が必要だ!」

「そうだ! 今すぐに恐怖を体に刻み込んでやる!」


「なっ!?」


 貴族の一人が私の制服の襟を掴んだ。

 取り巻きたちの顔には醜い欲望が浮かんでいた。

 ロビンを見れば、取り囲まれた私に復讐が成功した、と歪んだ笑顔を浮かべていた。


「離してっ!」


 私は男の手を振り払おうとするが、力の差から振りほどけない。

 周囲の生徒もロビンが公爵家ということもあり、迂闊に手を出せないようだ。


 その時──


「何をしている!」


 ルイス王子という助けが入った。

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