エピローグ
ロビンの公爵家には莫大な慰謝料の支払いが課せられた。
加えて王子を傷つけた人間を輩出した家として汚名を背負うこととなり、伯爵家へと家格も落とされることとなる。
ロビンが処刑された後、メアリーを襲おうとした男子生徒たちは、裁判により禁錮三十年の刑となった。
加えてメアリーに対する慰謝料が重なり、跡継ぎがいなくなり、潰れてしまった家もあった。
残った貴族の家も、貴族にあるまじき女性に対する行いを生涯に渡り批判され続けた。
その結果、牢獄から解放された後も罪を犯した男子生徒たちは家族や親戚中から責められ、地下牢に閉じ込められたり家を放逐されたりと、まだ牢獄にいた方がマシな扱いを受けた。
デイジーはロビンによって意識が無くなるまで殴られたことにより後遺症を負い、ベッドから立ち上がることが出来なくなった。
平民の暮らしではそのような状態で生き延びるのは難しく、デイジーは数年後に死亡した。
貴族に手を出したことを後悔しながら天井を見続けるだけの最期だった。
対照的に、メアリーの伯爵家は慰謝料により抱えていた商会を発展させ、公爵家へと上り詰めた。
またメアリーの父は商会を発展させた腕から宰相の地位へと就く。
これはロビンの公爵家と交代するかたちだった。
メアリーの父はその後も宰相として様々な改革を行い、民衆から絶大な人気を得た。
「あれから、色んなことがありましたね」
王宮の一室で、メアリーはルイスへと語りかけた。
「ああ、様々な障害があった。けど、メアリーがいたから乗り越えることができた」
「私もルイス様がいたから乗り越えることができました」
ルイスとメアリーは微笑みあう。
ルイスと婚約してしばらくの間、メアリーは伯爵家の娘が王子と婚約したことで、周囲からはあまり良い目を向けられていなかった。
しかしメアリーは自分の力で悪評を跳ね除けた。
生徒会で仕事を誰よりもこなし、気品も兼ね備えていたメアリーには誰も文句をつけることができなかったのだ。
そして父親が公爵になったことにより、ますますメアリーを王妃にすることに文句を言う人物はいなくなった。
「今ではこうしてお腹に新しい命も授かりました」
メアリーは愛のこもった瞳で膨らんだお腹を優しく撫でる。
メアリーのお腹の中には新しい命が宿っていた。
ルイスとメアリーの子供だ。
「君とその子を守るために全力を尽くすよ」
ルイスは胸に手を当て、誓う。
「はい」
メアリーは笑顔で頷いた。
そして、二人はいつまでも幸せに暮らした。
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