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ダンジョンの目的


「あー、生徒の御守りも大変だったな」


 サナと二人きりでダンジョンに入って早々、俺は愚痴った。


「そうですね。私も何もしませんでしたけど正直面倒でした。はあ、あなたが一人でやってくれればこんな面倒をせずに済みましたのに」


 サナはなんだかんだ言って俺と似た考え方を持つ。仕事は面倒だし、生徒はガキだ。まあ、普段やってる仕事が面倒なのだから仕事が面倒だと思うのは仕方のないことだろう。

 ダンジョンには一度辿り着いた場所までテレポートしてくれるような便利な機能はなく、俺達は二人で暗い洞窟を歩いている。


「にしても、このダンジョンはどうなってるんだ? あまりにも楽過ぎるだろ」


「生徒を預かる学院のダンジョンですからね。生徒がぽんぽん死ぬようなダンジョンなはずないじゃないですか」


「それはそうだけど、ここまで難易度ゼロみたいなダンジョンがあったなんて知らなかったぞ。というかこれほんとにダンジョンか?」


 ただの街道と言われても納得する。これなら樹海を歩いた方が何倍も危険だ。


「奥の方にはそれなりに強い魔物もいるらしいですけどね。でも、その魔物達が戦略的に動いたりしないようなので撤退が簡単だとか。そうそう、奥にはドラゴンがいるらしいですよ。それがいるせいで先に進めてないそうです」


 ドラゴンか。……ドラゴン!? それは、確かに無理だな。あいつらを敵に回すのは命がいくらあっても足りん。

 割と強い俺でもドラゴンには勝てない。そもそもドラゴンは勝つ負けるの概念を超越している。壁と殴り合っているようなものだ。


 そのドラゴンがダンジョンにいるとなると、怠いことになってるな。


「少し調べてみるか」


 遺跡に入り、俺は魔法陣を地面に描いた。


「良いんですか? ダンジョンマスターに会っても。このダンジョンがどうなるか知りませんよ?」


 俺が描いた魔法陣はダンジョンの核、つまりはダンジョンマスターに会うためのものだ。ダンジョンの目的から逆算して、それらしい立ち位置にいる者を検索し、そこに転移する。


「サナ、一応確認だけど、このダンジョンの目的はわかってるか?」


 俺は今しがたダンジョンの目的に気付いた。ドラゴンがいるとなればある程度しぼることができる。ただそのある程度は面倒ごとのオンパレードだが、まあ、今は考えないことにしよう。


「ダンジョンの目的ですか? 大体は……」


 サナは少し自信が無いようだが、所詮おれもそのぐらいにしかわかってない。


「俺はダンジョンの目的は何かを隠すことだと思ってるが、どうだ? 重要な何かがあって、それを隠匿してる。それもドラゴンが隠してるとなると相当なもんだな」


「ええ、私もそんな感じですね。もう少し追加するなら、多分あなた関連ですよ」


 俺関連のこと? 一体なんだ?


「わからないんですか? 多分ここって、あなたが悪魔を封印した場所ですよ」


 ここが? 確かに、言われてみれば、そうだったかもしれん。


 そう、俺は昔に、同胞の悪魔たちを裏切ってダンジョンの奥深くに封印したことがあるのだ。


「つまり、このダンジョンに隠されているのは俺が昔に封印した悪魔たちか……。でも何でそう思うんだ?」


「んー、ドラゴンが協力してるとなるとそれぐらいしか浮かびませんからね。あとは、学院長があなたを呼んだ理由にも結び付きますし。もう悪魔を封印してから長いこと経ってるので、封印が弱まってるとでも思ったんじゃないですか?」


 俺は納得した。いや、正確には納得はしていないのだが、サナが言うので信じたの方が正しい。

 一応理屈は通っている。

 ドラゴンは悪魔と天使がガーガーともめているのを嫌っていた。悪魔の封印が解除されるとドラゴンは都合が悪いのだ。あいつらは調停とか安寧とかを重んじる。喧嘩などもってのほかなのだ。


 サナのいうことの信憑性は高い。


「行って見るか」


 どちらにせよ、確認してみればすべてわかる。久しぶりに同胞にも会いたいし。


「はあ、まあいいですけど。私も久しぶりに会ってみたいですし」


 俺とサナは魔法陣に乗った。

 かつての仲間と会うために。


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