表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第7章 終わりの始まり
87/94

第63話・2 帝都脱出(2)

帝都からの脱出を図ります。

 大使館の人員全員のヴァン国への避難は少数ずつの帝都外への脱出から始まった。

 ますはドワーフ達から馬車1台に乗れる5人づつ組んで帝都の外へと移動していく。


 私は、レタに敵(魅了男のパーティー)探索の助言を求めた。

 「レタ、敵は何処に出没するかしら?」

 「偵察バグを複数ばらまいて見張るのがこの場合の最適だと思うであります」


 と言う事で、偵察バグを作ってはナミにこれはと思える場所(傭兵ギルド、帝都の門、軍の訓練場で広い所)などへばらまいてもらった。


 「帝都宮城の尚書省ウルリッヒ大臣室とその周りの部屋にも撒きたかったであります、でも無理でありましたです」とはレタです。

 「影が居るのは分かっていたでござる」ナミが言う通りですね。

 「守りにも影が居るぐらい不思議では無いですね」アイもうなずいています。


 その偵察バグの目と耳に大砲の射撃音と炸裂が映像と音で伝わって来たのは軍の演習場で、前に火球砲の試射を行った同じ場所です。


 ナミが今日は中継しています。

 (大砲の試射に成功したようだね、見た所大きな車輪が付いて発砲後の反動は車輪の後退で受けているようだね、先込では無く後ろからの装填は脅威よ by大姉)

 (砲弾も見えるよ炸裂弾だよ by妹)


 一挙に第1次世界大戦前ぐらいの進歩です。

 これで工場でベルトコンベアー式に作られたらヴァン国が終わりです。


 「レタ、この試射場を見張って、さらに大砲の試射をすると思うわ」

 二日後に訓練場にばらまいた偵察バグがドワーフのバルドを見つけました。


 どうやら大砲の試射に来たようです、彼が大砲の制作を行っているのでしょう。

 今日は5門の大砲を試射するようです、砲弾も荷車で運んできていますが、何発打つつもりでしょうか数が多いです。


 どうもバルドが何か気にしているようです、しきりに周りを見て警戒を強める様に言っています、偵察バグに気が付いているのか、直観のスキル持ちかも知れません。


 厳戒体制の中で試射は行われた、今回は大砲の数も5門と多く部隊運用と連射の試験をしているようです。


 レタにバルドの後を付ける様に頼むと、ナミが闇を纏って素早く移動していきました。

 試射の終わるのを待って後を付けるのでしょう、上手く敵(魅了男のパーティー)の居場所を突き止められると良いのですが。


 今回は私も出張ります、アクアラからセルボネ市への船中で作ったコートを元に冬用に裏に起毛した生地を使用したコートを着ています。

 冬用装備(同じコートを着ています)のレタとアイを引き連れて、私も直接偵察バグの通信から練兵場の画像を見て、まだ試射が続いているのを確認しながら、帝都を東へ練兵場へと移動します。


 試射が行われているのは、宮城に近い東方向にある東邦方面軍の訓練場になっている場所です、試射はまだ数刻は続くでしょうから、私達は焦らず帝都をのんびり見学でもしているように装いながら練兵所の近くの大きな交差点へ向かいます。


 ナミからの連絡で練兵場の周囲は東邦方面軍の管轄になっていて検問所が何か所か在り、そこを通らないと練兵場へ行けないそうです。


 私達はバルドが練兵場を出て何処へ行くのかが知りたいので、中迄入る積りはありません。

 途中で食事をしたり、街中をゆっくり楽しんで歩きました、2刻ぐらい経った頃、目的地が見えてきました。


 直ぐに大きな交差点に着きました、ここは南から橋を通って北へ来ると最初に出会う分岐の通りです、この広場の通りは南へは橋を渡っていけますし、皇帝城ミンスター宮殿へは西へ行けば貴族街からミンスター宮殿へ行く大通りに出ます、北は軍の練兵場などがあり、東は旧都の商店街になっています。


 ここでバルドが何処へ行くか凡そ分かるので、ここで待つことにします。

 私は南の橋へ行くのなら一番近い、広場の四つ角で南側の馬車が通る左端に、アイは西へ行く場合で西の左端、レタが東担当で東の左端に立って、バルドの馬車が何処へ行っても偵察バグを仕掛けられるように待機しています。


 ナミからの連絡がありバルドが馬車で移動を始めたらしい。


 取り敢えず私達は馬車を待って、その向かう方向で待ってる人が偵察バグを馬車に指で軽く弾くだけで、偵察バグは勝手に馬車に飛んで行ってくっつくので難しい事ではありません。


 と考えていたんです。

 バルドの直観か何かのスキルがこんなに凄いとは予想もしていなかった。


 私の目の前にバルドが立っています、ね睨め付ける様にして私を見ています。

 ポカンとした顔をしていたのでしょう、見上げる私の顔を見てバルドが言いました。

 「おい、お前カスミだな、いい所で合ったでよ、お前に手配書が出ているの知らんだろう。」

 (逃げろカスミ! by大姉)


 「俺が捕まえてやるぜよ。」

 と言いながら、私の腕をいきなり掴んで、後ろへとひねり上げてくる。


 「キャッ 痛い!痛い! 止めて痛い!」

 必死で痛みから逃れようとするが、バルドは容赦してくれない、凍り付いた冷たい地面に押さえつけてくる。

 この時、バルドが手を放して盾を構える。

 「バキャ」となにか折れたような音と共にナミが盾に両足を踏ん張って立っているような恰好をしている、地面に斜めなのですが。


 如何してこうなったのかは、分からないですが、私達が広場のバラバラの場所に別れたのが原因の一つだと思いますが、バルドが何故私を見つけて、しかも私にも分からない方法で目の前に居るのかが分かりません。

 (考えるのは後で、今は逃げて! by妹)


 でも今はバルドがら離れるのが一番です。

 アイが逃げる私の側へ来てくれて、バルドから私を隠すように前に立ちます。

 ナミがバルドへ刀をたたきつけています。

 バルドは左手の盾で刀を防ぎながら、右手で腹に刺さったクナイを抜こうとしています。

 先ほどの折れたような音が、鎧を食い破ったヒヒイロカネのクナイの立てた音なのでしょう。

 周りの人たちが「喧嘩だ!巻き込まれるな。」「武装してるぞ、近寄るな!」

 「衛兵を呼べ!」などと叫んでいる。


 やっと頭が回りだした私は、アイの後ろでレタに指示を出す。

 『速攻です、バルドを動けなくしてください』

 そして、絞ったイオン粒子線をしゃがみ込みながら用意する。


 アイが火炎の魔術を後ろから撃ちますが、バルドは簡単に避けてしまう、感と言うか直観のスキルだろうけど厄介で強いですバルドは。


 アイが火の防御壁を私とアイ、バルドとナミを囲むように出しました、レタの指示でしょう。

 バルドの乗っていた馬車隊から何人か武装した兵士が降りてきています、彼等を近づけないようにしたのでしょう。

 レタが火の防御壁の外で馬車の兵士達へ魔術で攻撃しているのが見えます。


 ナミが見た目をサーベル風にした忍刀でバルドと切り結んでいますが、腹を刺されているのにナミと互角以上に渡り合っています、アイの火炎魔術の援護がなければナミでも危ないでしょう。

 バルドが持っているのはナミのくないです、彼の得物の槍は馬車に置いてきたのでしょう。

 この場にもしバルドが槍を持っていたらと思うと、簡単に蹂躙される未来が予想されてゾッとします。


 しばらく切り結んでいたナミが離れようとした時、バルドがアイに突進してきました。

 火の防御壁を止めさせるつもりの様です、アイが落とし穴の魔術をバルドの足元に出します。

 アイの落とし穴を避けたタイミングでナミが黒い霧をバルドの顔に纏いつかせることに成功しました。

 迷宮で狼のリーダーに使ったことがあるあれです。

 バルドが棒立ちになっています。

 一瞬ですが、それはバルドが見せたスキでした。


 しゃがみ込んだ私から一筋の細い線がバルドの頭を通って空へ伸びていきます。

 遠く遠雷が鳴る音がして、それがバルドの最後でした。


 私達は直後に南の橋へ向かって逃げ出しました。

 空間把握にバルドの体が地面に倒れるのを確認しています、偵察バグも何匹か撒いています。


 バルドが乗っていた馬車の車列から降りてきた兵士は火の防護壁や、レタの風や土の魔術に翻弄されて私達に近づく事が出来ないでいました。

 私達が逃げて火の防護壁が消えた事でバルドの側までいけるようになった何人かが駆け付けます。

 バルドを助け起こす人、私達を追ってくる人、何処かへ走って行く人などバラバラですが秩序だって行動しているようです。


 橋を走り抜け、馬車が先ほどの騒動で止まっている隙間を縫って西側へと渡ります。

 アイに背負われてレタ、アイ、ナミと列を作って走ります。

 重くならないように、軽く飛空を行使します。


 追っては3人程で、重い鎧を着て走っている様で、大きく差が開いています。

 追ってを撒くために川沿いから道路を渡り、街中に入ります。

 路地から路地へと走り抜け、アイの背中から後ろを見ても追っての姿が見えなくなりました。

 その先には前回隠れていた広場の木立が在ります。


 追ってを巻いて前に使っていた人気の無い広場の木立の密集した中に家(神域の部屋)を出し、みんなが入るとやっと一息付けました。


 食堂でみんなと話す内に先ほどの出来事の始まりは如何だったのか分かって来ました。

 先ず、交差点の東、南、西の配置に着いたレタ、私、アイ、ナミはバルドの乗った馬車を後ろから付けてきます。


 馬車は北から交差点に入って来て、西へ曲がります。

 西へ曲がる時、私と距離が一番近くなった瞬間にバルドが馬車のドアを開けて飛び出してきて私の前に飛び降りたのです。


 私は偵察バグを持って空間把握で馬車が近づくのを把握していたので馬車の方は見ていなかったのです。

 でもバルドの動きの早さに全然気が付きませんでした。

 ですから目の前にバルドがいきなり現れたかのように見えたのです。


 恐らくバルドは直観のスキルと鑑定のスキル持ちだったのでしょう。

 馬車から私を見て直観が働き、私に鑑定を掛けたのでしょう。

 私を見つけて一人なのを誤解して一人っきりだとでも思ったのでしょう。

 捕まえるつもりで飛び降りたのだと思います。


 バルドは死にました、敵ではありましたが強い敵でした。

 殺した私がするのも烏滸がましいですが、冥福を祈ります。


大使館員から少しづつ脱出していきます。

この間、カスミには試練が訪れましたね。

死闘ではカスミの神力に頼るしか勝利の方法が在りませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ