第62話・2 (閑話)アルベルトの計略(2)
カスミ達を襲撃した時の準備から段取りなどの裏話です。
ヴァン国の火球砲部隊がドミナント要塞を出てロマ街道を北西へ進み始めた頃、俺たちは20kmほど北西のロマ街道から10kmは外れた丘の上まで来た。
俺たちが乗ってる自動車は馬車を改造したものだが、街道を40km/時程の速さで移動してきた、もちろんカスミ達に出会わないように迂回路も通ったがね。
ここで、後を追わせて帝都から引き連れてきた帝国親衛隊の騎馬隊50人程を待たせていたので、合流する。
要塞からここまで俺たちを運んだ自動車を草や枯れ木で隠す。
車から引っ張り出して組み立てた偵察機の遠隔操縦はエインに任せる。
エインは上手く偵察機を離陸させたようだ、ロリっ子の馬車隊の偵察に行かせる。
リリイはここに来る途中で街道沿いの野営場として決められている広場の近くで車から下した、狙撃の出来そうな場所を見つけてロリっ子の従者を全て殺せと言い付けてある。
後で迎えに行かないとな、親衛隊と連携する攻撃訓練は帝都で何度か行ってきた。
襲撃の打ち合わせもあるが、夜は寒いからな。
エインからロリっ子の馬車隊を見つけたと言って来たので、見に行く。
遠隔操縦している場所で、鷹の目を付与した水晶球から投影された画像に、上空から見た火球砲の馬車隊が列を作って移動している姿が見えた。
ここまで高く飛んでいるとリリイやノルンでも鳥と区別がつかないそうだ空間把握は便利だが索敵には向かないな。
襲うのは今夜遅く、ほとんどが寝たころがいいな。
騎馬隊にも今夜遅くに襲撃することを告げて、今は休ませることにする。
エインも時々俺やバルドが操縦を交代してやって休ませる。
キャンプの石で囲った炉に網を引いて干し肉をあぶって食べていると、ノルンがその豊満な胸を俺の肩に乗っけてくる、振り返ってノルンに今焼いている肉を渡すと、ノルンが肉を受け取りながら俺の横にすり寄って座る。
「ねえ、アルベルト、あのカスミって子どうするつもりなの?」
もうライバル視か?ここは上手く言いくるめないとな。
「ああ、捕まえて秘密を洗いざらい吐かせるつもりだ、お前も一緒にやるか?」
ロリっ子を裸にひん剥いてノルンと一緒にいたぶるのもいいぜ、楽しそうだ。
「痛めつけるのかい、ナイフで彼方此方切り取るけど良いかい?」
こいつの回復魔術で回復できるのをいいことに人を切り刻むのを好む残虐性がある、如何も物騒で行けねぇな、それに傷つけると後で皇帝に差し出すことが出来なくなる。
「いや、ダメだ!あいつは吐かせた後皇帝にやるんだから傷つけるなよ。」
ノルンも皇帝の名前の前ではおとなしくなるようだ。
「わかったよ、だけどひっぱたくぐらいいいよね」
「まぁそのくらいはいいさ。」
夕日が沈むころ、偵察機から監視していた、エインが、馬車隊が街道側の広場で野営に入ったと言って来た。
偵察機は夜間飛行はまだ出来ないのでこちらに引き返して着陸させる。
まだ、襲撃迄は時間があるが手筈は決めて置こう。
リリイに通信魔具で連絡すると、馬車隊の野営場所から4km離れた丘の上から狙撃出来る場所があったとの返事が返って来た。
リリイを自動車で迎えに行く、車に乗せて帰る車の中で、リリイに今夜遅く午前4時に馬車隊の見張りでロリっ子の従者の誰かを狙撃するように伝えた。
襲撃はその音を合図に騎馬隊が突っ込む手はずだ。
襲撃自体は、馬車隊のロリっ子を除いた全員の殺害を行い、ロリっ子を攫って帰る予定だ。
その後俺たちが、乗り込んで馬車から火球砲とそれに関係する物を押収する。
夜、午前2時、寝ていたテントから起き上がり、となりのノルンとリリイの裸体から俺の体を引き離す。
服を着た後、2人を起こし着替えさせる、この後リリイを車で狙撃地点まで運び、騎馬隊の待機地点への移動もさせないといけない。
騎馬隊の待機場所は1km以内だがリリイによると空間把握で地形以外で分かるのはある程度早く移動する物だけなので、分隊に分けて少しづつゆっくり移動させれば、見つかる事は無い。
察知のスキルでは200mぐらいに近づかないと分からないから、気が付いた時はもう遅い。
これまで何回も演習で訓練してきたから夜でもちゃんとやれるだろう、ただし夜だから音は立てないように言っておかないとな。
リリイを馬車隊から4km離れた丘の上に下すと、リリイにキスをして、「上手くやれよ」と声を掛ける。
「ええ、まかせて」とリリイもキスを返しながら言う。
そのまま、騎馬隊の待機場所まで車で移動し、手はず通りに動く様に伝え、元の所へ戻り、移動の準備を残っている、エイン、バルドと行う。
ノルンは襲撃で怪我人が出ても良いように薬や外科の道具を点検している。
午前4時、俺たちは馬車隊が野営している広場が見通せる小高い丘の上に居る。
ここは、広場から1kmは離れているだろう、ここからなら襲撃の後、直ぐに馬車隊の野営している場所へ行くことが出来る。
遠くから「ターン」と言う銃声が聞こえてきた、いよいよ始まったな。
騎馬隊が移動を始めたようだ、ドドドッと馬の立てるヒズメの音が次第に大きくなっていく。
その時、「ポンポンポンポン」とあの間の抜けた火球砲の音がしだした。
見ているだけで、襲撃が失敗したのが分かった。
火球砲の炸裂の凄まじさは想定していたより数倍はすごかった。
しかも1秒毎に1発ぐらいの間隔で発砲されるので、突入する騎馬より早く彼らの対応が出来ている。
残念ながら騎馬隊は全滅判定されるだろう、何人生き残れただろうか。
這う這うの体で生き残った騎馬隊の隊員たちが傷ついた仲間を引きづって退却していく。
失敗した、くそ!何でだ!奇襲したつもりが、あれじゃあ反対に待ち伏せされたような物じゃ無いか。
後はリリイの狙撃で何人排除できたかだが、どうだろうか、あいつらはこちらの襲撃を予想していたようだ、何処で見つかったのだろう、鷹の目の様なスキル持ちが居るのかもしれない。
急いで、退却した騎馬隊に合流するべく動く。
まだ俺たちが負けたわけじゃ無い、次こそ捕まえてやるぞ待ってろカスミ!
意外と空間把握の性能がカスミとリリイで違います。
魅了による性格の歪みがアルベルト達には見受けられます。




