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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第7章 終わりの始まり
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第59話 帰りは怖い(2)

風雲急を告げる事態となって来ました。

 偵察バードの回収で魅了男のパーティーが居る場所が判明しました。

 それと同時に総勢60名にもなる人数が敵にいることが判明しました。


 これまでの情報を纏めてみます。

 敵は帝国軍、目的は火球砲の更なる捕獲あるいは殲滅して火球砲について何があったのか不明にしたいのかもしれない。

 (帝国軍ってまだ分かんないわよ by妹)

 (カスミに的を絞って襲ってきているかも? by大姉)


 それは無いと思う、ドミナント要塞での彼らの反応は単なる部隊長に対してのものだったから。

 もし私を知っている誰かが居たとして、ドミナント要塞からあんなに簡単に出すだろうか?

 もっと長く留まるように引き止めただろう。


 帝国が火球砲の早急な引き渡しと私達の追い出しを急いだのは、火球砲を調査したい誰かの指示があると思う。


 帝都からここまでの道中で常に影の存在は近くにあった。

 そうすると影を使う者、あるいは影の頭的な存在が居て、影に指示を出している。

 彼又は、彼等は火球砲の分析を狙っている、分析に自信を持っている。

 魅了男のパーティーがやはり怪しい。

 (そう言う事で帝国軍で間違いないわカスミちゃん by小姉)


 断定はできないが、私には彼の暗躍があって、私達がドミナント要塞を追い出されたと見る、そして彼らは私達を襲う気でいるようだ。


 遠方からの一方的な狙撃、混乱する私達に60人からなる襲撃部隊。

 狙撃で何人かやられれば混乱するだろうし、襲撃に対して対応も難しくなる。

 (今夜来るわよ by大姉)


 そろそろ夜になる時間です、街道脇の野営用広場に入るとキャンプの用意をします。

 今夜は野営するのは私達だけの様です。


 今は、夜1時(午後6時)ぐらい、日が暮れて暗くなるころ馬車を三角形に組み終わり、何時もの様に野営に入る。


 中央に炉を設け火を付ける、トイレ用テントを張って中にトイレを設置する。

 キャンプ全体に聖域の結界を張る、これで馬車と全体の結界で2重になった。


 食事を終えて見張りを何時もの倍の6人にして、誰かが2台の火球砲に常に待機するようにする。


 火球砲には、魔石に6級(連続32発可)を用意し、砲撃準備を終わらせて待機する、2人の隊長には襲撃があれば命令を待たずに発砲出来る様に、発砲許可を予め出した。


 襲撃は北から馬で襲って来た、把握範囲を離れた場所から、徐々に500ヒロ(750m)程離れた街道上に集まり、待機しているようだ。


 遅番の見張りだった、アイとナミからの警報で全員が起きて襲撃に備えた。


 実際の襲撃は明け方の夜11時(午前4時)に始まった、最初は数発の銃撃があり、ことごとく聖域の結界で防げたが、狙われたのはアイとナミだった。

 夜明け前の静かな星の瞬く夜に響いた銃声は細く長い音がハッキリ聞こえた。

 

 夜馬を走らせるのは危険だが街道ならやってやれない事は無い、実際彼等は脇道の街道を馬で遠くからやって来て待機していた。


 銃撃の音が合図だったのだろう、音の後ゆっくりと騎馬の集団が速度を上げながら駆けてくる。

 直ぐに馬車隊を包囲するように街道から広がり、襲って来た。


 襲撃者が300コル(450m)ぐらいから火球砲が射ち始めた。

 その瞬間、火球が炸裂した近くの騎馬の敵は壁にでも衝突した様に宙に舞ってしまった。

 敵は馬車隊を半包囲するぐらいまで広がっている。

 敵の周囲で火球の破裂が連続して発生し、生じた火炎の衝撃波による無差別な殺戮を行う。


 銃撃があってから2コル(30分)が経っていた。


 敵の攻撃は騎馬での突撃と弓で撃って来る程度だった。


 時々銃撃があったが、尽く聖域の結界で防げた。

 やはり狙われているのはレタ、アイ、ナミの3人だった。


 火球砲による連続砲撃で、敵の半数ほどが地面に倒れている、残りは負傷者を連れて逃げて行った。

  

 まだ銃撃があるので、馬車から外へは出れないがこの場所を撤収することにした。


 暗闇の中、テントなどを畳んで馬車に入れて、馬車の外に居るゴーレムに広場から街道までの倒れている馬や人を退けさせる。


 先頭は、1号車アル隊長、中を私達が、最後尾を2号車ドン隊長が並ぶ戦闘状態の車列で街道を警戒しながら進む。


 日が昇り、辺りが明るくなってくる、人通りも少し在るようになって街道も賑やかになる。

 ようやく戦闘状態を解いて、警戒態勢に移行する。


 敵もこの人々に紛れてこちらを探っているのかも、と警戒して一人ひとり見ていくが分かる訳も無く、疲れただけだった。


 今日は偵察バードを画像中継モードで上空に待機させている、敵の狙撃手リリイを見つけようと探させている。


 結局昼7時(午後0時)になってもリリイは見つからなかったし、銃撃も敵が撤収してから無かった。


 昼食は昨夜襲撃を見越して多く焼いたパンなのですが、寒さでとっても硬くなっています。

 パンを斜めに切り、切れたパンに縦に切れ目を入れ、玉ねぎを炒めた物とナミがドミナント要塞でいつの間にか覚えてきたドミソース(ドミって草原と言う意味だって by妹)なる物を上から掛けたソーセージを食べた。

 うん美味しい。

 (いつの間にか戦闘があっても動じなくなったよ by妹)

 (悲しいけどそれが慣れたと言うものさ by大姉)


 偵察バードは昨日魅了男達が居た丘を、探るため偵察に出している。

 丘には既に人はおらず、周囲を回りながら偵察範囲を広げて行くと。

 敵は今丘から、襲撃した広場に移動していて仲間の埋葬や後かたずけをしていた。

 敵の部隊は半数が戦闘不能となっている、これなら部隊も戦闘の継続は無理だろう。

 偵察バードからの画像を見て、今日の夜の襲撃は無いだろうと判断する、ただし銃撃はあるかもしれない。


 直ちに部隊の2隊長へ状況を知らせる。

 部隊は銃撃を警戒しながら、街道を只管北西へ移動する。


 途中にある、駅伝所に襲撃があった事を伝える、駅伝所に詰めている人達は駅長以外は近くの村人(ここ200年の間に移住してきた帝国人)で、襲撃に恐れ慄いていた。

 近年竜騎士が出没するようになって、帝国の施設や帝国人の村などが襲撃される事が頻繁に起こっているそうです。


 今回もそんな襲撃だと思われている様で、駅伝所長も街道の宿泊所にある軍の屯所へ連絡をしてくれるそうです。

 (連絡するだけよね、見に行くとか無理なのかなぁ by妹)

 (戦う力が無ければ見に行くだけでも危険だからね by大姉)

 (いつの間にかロマ街道も危険地帯になっているのね by小姉)


 帝国が押されているのはこの事だけでも分ります、それをどうにか出来そうな火球砲なのですが、今回の件から帝国では提供した2台の火球砲を潰して調べるでしょう。

 そして、壊して調べても原理も方法も分からないでしょうね。

 私の錬金術+神力での魔道具化は敵(魅了男のパーティー)の調査能力を受け付けないと確信しました。


 敵(魅了男のパーティー)は強いし油断できませんが、私の力を上回る事は無いですし、この部隊で有れば今の倍の人数でも撃退出来るでしょう。


襲撃は、相手に火球砲の知識は有っても、経験が無いためこの様な結末になりました。

経験を積んだ時、アルベルト達は恐ろしい敵と成っているかもしれません。

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