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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第7章 終わりの始まり
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第58話 帰りは怖い(1)

アルベルト達との出会いは平和な物では無いようです。

 いきはのんびり行軍出来て良い良いだったけど、帰りは?怖いかも。


 昼8時(午後1時)にドミナント要塞を出発、「ロマ街道」を今度は北西へ向かう。

 不穏な影は直ぐに表れた、街道を進む馬車隊の上空500ヒロ(750m)を1台の飛行魔道具が飛んでいる。

 音は聞こえないが、空間把握でしっかり把握できている。

 人が乗れる程大きくないので偵察専用だと思う。


 レタと私の分析では、縦1ヒロ(1.5m)、翼の長さ2ヒロ(3m)、動力に魔術旋風を付与した魔道具1台を主翼の上に使用、エネルギー源に7級魔石1個を使用。

 形はカスミちゃんの世界にある飛行機と同じで、主翼、垂直尾翼、水平尾翼があって

 主翼に補助翼、垂直尾翼に方向舵、水平尾翼に昇降舵が付いている。

 胴体下部に橇が付いているので離陸、着陸は橇を使って行っているのだろう。


 飛行機の内部は魔術陣が8ヶ所に書かれている。

 それに連動してモーターが3つ、モーター毎に左右の回転をする魔術陣が回転方向で簡単な仕掛けと紐を繋げて補助翼、方向舵、昇降舵を動かすようになっていてる。

 主翼の上に固定された魔術旋風を付与した魔道具へはエネルギー源の魔石から魔術線が通っているのでそれで魔道具を動かすのだと思う。

 残り2つの魔術陣には水晶が固定されているので、鷹の目を付与された魔道具で正面と下方向を見るための物だろう。

 全ての魔術陣が繋がっているのは、鷹の目を付加した水晶からモーターへ操作をするための回路を作るためだと思う。


 魔術陣からは操縦するための魔波を受信する部分が在るし、水晶からも魔波が出ているので間違いないでしょう。


 私達を監視してどうするつもりなのか、が問題ですし、何処のだれがそのような事をしているのかも大事です。


 飛行機の作りが完成した技術を思い起こします。

 2つの事が頭に浮かびました。

 一つは、帝国が火球砲を分析する事に強い自信を感じた点。

 もう一つは、異世界の知識を持っていそうな人間を知っている点。


 スキルに錬金や鑑定などを持つ可能性があって、異世界の知識で飛行機を作れる技術を持った複数の人間。


 とっても危険な匂いがします。

 これって絶対絶命の危機かもしれません。


 もう一度飛行機の材質や魔術陣の技術を探ってみます。


 飛行機の材質は木でした、軽くて硬い木として合板を使っているようです。

 接着剤に膠とゴムを混ぜたような物(魔物由来の可能性もあります)を使っています。

 魔術陣は一般的な銅の板にミスリル合金で書かれています。

 魔波の送受信は一般的な通信に使う魔術陣を使っています。

 モーターや魔術旋風を付与した魔道具に独自の材料や魔術陣が使われていますが、それはすごい技術なのですが、異世界の知識の応用の様に見えました。


 以上を見て、推測ですが、異世界人で間違いないでしょう。

 異世界の知識を応用して技術的に突き抜けた物を作れるようです。


 それから考えられることに、銃や大砲、自動車や爆弾などを持っているかもしれません。

 人が乗れる飛行機も持っているかもしれません。

 魅了がどの位離れた場所から有効になるのか判らないのは不安材料です。

 他に闇魔術と闇精霊術を行使する黒エルフが居ましたが、彼を探知できるでしょうか。

 エルフの弓は銃に持ち替えた場合どの程度離れた距離から狙えるのでしょう。

 残り2人も潜在能力は高いので何をして来るか分かりません。


 彼らは今も5人のままでしょうか、減るのは良いのですが、増えていたら問題です。


 これから帝都へ帰りつくまで、いえ帰ってもヴァン国へ帰るまで聖域の結界を張って置く必要を感じます。

 これは直ぐに行いましょう。


 私は、決断すると各馬車毎に聖域の結界を張って行きます。

 野営する時は、上にも張りましょう。


 今の私が彼等より有利な所は何でしょうか。

 神の権能は絶対的な有利と言えるでしょうけど、彼らに神格を持った者が居れば消えます。

 並列思考も同じです、私が使えて彼らが使えなければ有利ですが、そうでなければ同じです。

 私には5人の仲間と8人の部下が居ます。

 彼らが5人のままならこちらが有利、そうでなければ、以下同文ですね。


 これからする事が見えてきました、彼等の姿をとらえることが最初の課題になります。

 彼らの目や手は見つけました、では本体は?


 こちらから偵察バードを出して見つかるリスクはあるけど、彼等の姿を捕らえる可能性は高いと見ました。


 魔波を出さない録画モードで半径4kmの外周を回る飛行ルートを決めます。

 偵察バードを林を通過する時に上空から分からないように木の間を縫って飛ばします。

 私達から前方に3km離れたら決めた飛行ルートで飛びます。

 一周するのに20分ちょっと約15km/h程で飛びます。


 一周したら街道の側で地面に降りてこちらを待つ予定です。

 リスクはありますが、空間把握で見つからないのは把握範囲外に居るとしか考えられないですし。


 早速偵察バードをレタが馬車の窓からタイミングをみて放ちます。

 上空の偵察機はそのまま馬車を追って付いてきています。

 

 1時間後馬車を止めて点検や休憩(レタ、アイ、ナミの聖域の結界持ちのみ)を取るふりをして偵察バードを回収します。


 同時に各馬車に警告するのと、連絡を取りやすくするために、アイをアル隊長の2号馬車へ、ナミをドン隊長の3号馬車へ派遣します。


 アイとナミから2人の隊長に上空の偵察機の件を知らせ、襲撃がある可能性が大だと伝えてもらいます。


 偵察バードの録画した画像を見てみます。

 反時計回りに半径4kmの円を描いて一周しながら飛んでいくのが画面で分かります。

 西から南、東と回って北へ向かいます。

 見つけました、馬車隊から見て北になる10kmぐらい離れた低い丘の頂上に固まっていました。


 アルベルトが石で囲んで、火を焚いた炉から焼いた何かを食べています。

 バルドが丘の上からどこか、恐らく私達馬車隊の方を見ています。

 エインがハンドルに水晶の付いた自転車に似た、ペダルの付いた椅子の上で何かしています、これが偵察機の操縦装置なのでしょう。

 ノルンと思わしき女がアルベルトにしなだれかかっています、相変わらずここからでも胸の大きさがわかりますね。

 リリイは何処でしょう、画像には見えないですね。


 丘の中腹には荷馬車が3台と男達と思しき鎧姿の人が50人以上キャンプを張って休んでいます。

 馬も50頭以上はいるでしょう。

 リリイはそちらに居るのかもしれませんが、判別できないですね。


 見た所、神格を持った者が居る様には見えません。

 神の権能は使っていれば見たら判りますから。

 一つ安心です。


 しかし相手の人数が60人近く居ます、これは不安材料としても大きいです。


 画像では銃や大砲は見えません、これも1つ安心です。


雲行きが怪しくなってきました。カスミはどんな対応をするのでしょうか。

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