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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第6章 神聖ロマナム帝国帝都ミンスター
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第50話 帝都ミンスターで暗闘(2)

お互いに動き始めています。

 結局私は、宿の部屋を使うことなく、家(神域の部屋)に引き篭もっています。

 そのため宿の従業員などは、この部屋の掃除に来ては、「まだご主人様は帝都にいらしていない様ね」などと部屋を出た後、お喋りしていたりする。

 レタは帝都の名所や旧跡を訪ね歩き、アイは家か宿の部屋で過ごし、ナミは家に居ない時は帝都の食べ物を調べに出ている。


 そうやって宿で待つこと3日、ヴァン国大使館から連絡があった。

 皆で大使館へ行くと、バラン代理大使から私たちのヴァン国身分証を返してもらった。


 従者の登録は順調に進んでいるそうで、

 尚書省のウルリッヒ大臣から身分証への追加が認められて現在手続き中だそうです。


 それが発行されてから通行許可証(旅券)も登録されるそうです。

 後3日ぐらいかかるそうです。


 今回他に、大使館で調べて貰ていた、オルカ男爵、スダーネンコ侯爵、ボネ伯爵とボネ公爵の帝都ミンスターの館の場所を地図に書いた物を貰っている。


 宿へ帰ると、レタに地図の場所を調べるように指示を出した。

 レタはナミに場所と情報収集を指示した。


 先ずは敵の情報収集を行うことにする。

 夜1時(午後6時)に帰って来たナミの話ではオルカ男爵邸は北の城壁近くにあってその場所は領地持ちの男爵が多く邸宅を構えている一角にあるそうです。

 オルカ男爵はまだ邸宅に来ていなかったそうです。


 スダーネンコ侯爵邸は中央西側の中堅貴族が固まって邸宅を構えている場所にあるそうです。

 スダーネンコ侯爵は帝都に居る事が多いそうですが、今は邸宅にいなかったそうです。


 ボネ伯爵とボネ公爵は皇帝城ミンスター宮殿に近い場所に広い邸宅を構えていて、古くからの貴族は皇帝城の周りに同じように邸宅を構えているそうです。

 二人共帝都が主な住まいの様で、今邸宅に居るそうです。


 彼等との戦いはオルカ男爵が帝都に来てからですね。

 そろそろ7月ですね。


 ナミからオルカ男爵が帝都に着いたと報告があったのは次の日でした。

 レタに偵察バグを仕掛ける様に指示して、レタ、アイ、ナミの誰かが宿の部屋に控えて偵察バグからの情報を受け持ち、何か報告する事態になれば私を部屋へ呼ぶ体制をとった。


 7月最初の日、大使館から連絡が来て登録が完了したそうです。

 4人で大使館へ行き、新しい神聖ロマナム帝国身分証明書と通行許可証明書を4人分貰います。


 又ヴァン国の正式大使が大使館に赴任したので挨拶をしに行きます。

 私が大使と話している間、レタ、アイ、ナミは従者用の控室に待機しています。


 正式大使の方はエルフのヴィラ・アールブ・ブーヒューニアと言われる方でヴァン国の商工省長官の秘書をされているそうです。


 彼女は今年で正式大使に任命されるのも6回目のベテランの外交官だそうです。


 色々お話を聞いたのですが、神聖ロマナム帝国への正式大使は毎年商工省の長官秘書が持ち回りで任命されるのだそうです。


 ヴァン国には外務省に相当する政府の組織は無いので、派遣先の国との優先事項を担当する部署の長官秘書が正式大使に任命されると教えてくれました。


 ヴィラ様は先日着任されて直ぐにヴァン国王の親書を携えて、帝国皇帝に着任の信任状捧呈式と御挨拶へ向かわれたそうですが、その際不穏な話がでたそうです。


 帝国の穀物生産がこの所低調で、東方へ物資を滞り無く送るためにもヴァン国への穀物の輸出を減らしたい。

 ついては穀物の値上げかヴァン国が購入する穀物の量を減らしてほしい。


 と言われたらしい、この様な話は毎回あるのでヴィラ大使も輸出の魔剣や魔装具を値上げするか数を減らしたいと応じることで対応していたのですが、その際不穏な話として東方での戦線が崩壊の危機にある、又は崩壊した、との噂話があると聞いたそうなのです。


 帝国皇帝宮の宮殿内で噂話だと前置きして話したとしても不穏極まりない話です。


 その際帝国軍を攻撃したのが空を飛ぶ飛竜に乗った竜騎士たちだったと噂があるそうで、ヴァン国に対抗できる魔道具か魔術が無いか聞かれたのだそうです。


 さらに、東方での戦いにヴァン国の力を借りたい、ついてはだれか強力な力を持った魔術師は居ないか聞かれたそうです。


 竜騎士の話は数年前から聞こえてくる噂話だそうですが、今回はより具体的になって対抗できる魔道具や魔術師に力を借りたい等々といった話が出るのは初めてだと言うのです。


 ヴィラ大使から私に、竜騎士に対抗する何か魔術師として良い知恵は無いかと聞かれたので。


 「先に聞かねばならないことがあります」

 「ヴァン国として手を貸す場合、戦争に巻き込まれる心配がありますがどうなのでしょう」


 「問題ないわよ、これまでも手助けしてきてるから」

 「戦場に技術者や兵器を持って行ったこともあるわよ、その兵器で敵の砦を何度も潰したこともあるし」


 「其の度に見返りを貰っているわよ、沢山貰ったわ」とヴィラ大使は笑いながら言う。

 (戦争ってこんなに簡単に参加するものなの by妹)

 (そんな物さ、この世界も戦争への敷居は低いか無いと思うよ by大姉)


 「それならよろしいのですが、では先ず竜騎士への対策ですね」

 考えていた事を話すことにする。


 「空からの攻撃には同じ空で対抗するのが一番だと思います」

 「空を飛び、竜騎士と戦える様にするには、此方も飛竜を持つか、魔道具で空を飛ぶのが良いでしょう」


 「ただし、その両方とも国家機密になるでしょうから、帝国に提供できません」


 「空高く打てるような火球の魔術を作って帝国に売るのが良いのでは」

 「何でしたら私が魔道具化しても良いですよ」

 と言ってしまってから、しまったと思ったのです。

 (登録が終わったら、速やかに帝都を離れるのではないのかね by大姉)

 (カスミはお人よしw by妹)


 急いで、今の発言を打ち消します。

 「あ、すいません、今の無しでお願いします」


 「まあ、そうですねぇ 姫様のたっての頼みとあれば、忘れますわ」と、絶対忘れないと言う顔でニコニコ笑いながら応じてくれましたが。


 これ、後でしっかり利用する気満々ですね。

 (火球を空高く打ち上げる魔道具を作れる事はとても不味いですね by大姉)

 (うん、作らせる気満々だよね by妹)


 「姫様、帝国に火球の魔術を魔道具化して、売るのはとても良い考えだと思います」

 「ここに腕の良い魔術師が居ればですけど」

 うわぁ、忘れるって言ってくれたばっかりじゃない、腕の良い魔術師とか本国に帰らなければいないわよ。

 (カスミ以外はね by妹)

 (その前に腕の良い魔道具師が居ないと魔道具化出来ないけどな by大姉)

 (そうよ、カスミちゃんの出番ね by妹)


 「あの、私今直ぐ帝都を離れたいのですけど」


 「姫様、これは我が国の穀物の輸入に係わる問題です、現在帝国は東に強力な敵が出現し対応に苦慮している所です」


 「このままですと、大軍を持って敵に対峙することになります」

 ヴィラ大使の目が私を見据えて、ギラリと光った様に見えます。


 「事態をこのまま放置すると、我が国の穀物の輸入が減る事になるのはお判りでしょう」

 ヴィラ大使に言われると、何だか私が対処しなければ、国民が飢えてしまいそうです。


 「ヴィラ大使、火球を打ち出す魔道具は我が国にとっても軍事機密になると思う」

 「他国でそう簡単に作って売るのは不味いのでは」

 何とか作らない方向で理由を探して言うと。


 「そうですわね、確かに不味いですわね」

 「では、こうしましょう。帝国に我が国の軍事機密なので売るのでは無く貸すのでは」

 「大使館から人も出しますわよ」これで決まりね、と言わんばかりに笑顔になって微笑む。


 「むぐぅ…仕方がありません、移動出来る様にする為、馬車を1台、いえ2台改造してお渡しします、私の関与は魔道具化と馬車の改造と操作方法を教える所までですわ、もしそれ以上言ってくれば、 …逃げますわよ!」

 しかたないのです、穀物の輸入は我が国の民が飢えるかどうかの瀬戸際なのです。

 「必要な物は、後で使いの者に手紙を持たせて寄越します」

 あうう、負けてしまいましたわ。

 (元気出しなよ、大使だってカスミに無理やり作らせるのは本意じゃないさ by大姉)

 (そうなの?笑っているわよ by妹)


 「姫様感謝を!これで帝国への大きな貸が作れますし、帝国にヴァン国侮りがたしとの認識を強く持たせることが出来ますわ」


 「そうですのよ、帝国のやつら私達を愛玩奴隷か何かの様に見てくるバカが多すぎです、これで見直すがいいのです」

 なにやら私怨のようなものが出ているようです、見なかった否、聞かなかったことにしましょう。


 宿へ引き上げることにしましょう。


カスミの選択はこの後、大きな変化を起こしていきます。

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