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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第6章 神聖ロマナム帝国帝都ミンスター
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第49話 帝都ミンスターで暗闘(1)

帝都ミンスター到着です。

 私とレタ、アイ、ナミの4人が帝都にほど近い林からでて帝都へ向かったのは昼3時(午前8時)の鐘が鳴った時です。

 前日の昼9時(午後2時)にさっき出てきた林に着いた私は家(神域の部屋)に籠って手紙を書いていました。


 宛先は一つはヴァン国大使館内代理大使殿へ、もう一つは神聖ロマナム帝国尚書省大臣宛、此方は代理大使から渡してもらう予定です。


 内容は、基本同じ内容でオルカ男爵領で起きた私への襲撃事件の告発が主な内容になっています。

 代理大使には、私の神聖ロマナム帝国身分証と通行許可証にレタ、アイ、ナミの3人を従者として書き込む事の事務処理をお願いしている点だけが尚書大臣宛と違います。


 入る門を西門にしたのは、飛んで来た時一番近かった北門は皇帝城ミンスター宮殿に近すぎて近寄りたくなかったからです。

 東門でも良かったのですが、北門を避けて飛んでいると西門がその先に見えてきたからです。

 帝都の西門は、入る人、出る人で混雑していて、慣れてない私は目が回りそうです。

 私たちはそれぞれバラバラに帝都に入る予定です。

 私は傭兵ギルド会員証の銅板があるのでそれで、レタ、アイ、ナミは私が出したヴァン国の身分証明書で外国人として入ります。


 私達はバラバラに入りますが、入都の手続きの直前までは固まって移動します。

 西門は大きくて、貴族専用、馬車や荷車用、歩いて入る人用と別れていて、歩いて入る人用の受付テーブルで入都の手続きをしました。


 入都税は銀貨1枚、セルボネ市と同じですね、やっぱりベルン市は税金が高いですね。

 外国人として入ったレタ達は入都税として1人銀貨5枚が必要でした。


 バラバラに入る事に成功した私達は馬車に乗ってヴァン国大使館へ向かいます。

 門前に停まって客待ちしている辻馬車を1台雇い、ヴァン国大使館まで行くことにします。


 帝都ミンスターは古くから大都市として知られ、神聖ロマナム帝国にとって東へ拡大する力の結束点であり続けています。

 ベルンを追い出された皇帝の息子は皇位を継ぐとこのミンスターに帝都を定め東への拡大に拍車を掛けます。

 東方への全ての軍勢はこのミンスターに集結して東へ行軍していったのです。

 東方への拡大は彼が始め、今の皇帝まで引き継がれた神聖ロマナム帝国の国是です。


 ただここ数十年東への拡大が止まり、押されている様だとの噂を聞いています。

 それでも神聖ロマナム帝国は力に満ちて世界の最強国である事には違いありません。


 因みに我がヴァン国は北の海にある大きな島です、それでも神聖ロマナム帝国の領土の1/10の大きさしかなく、国力は王族に神格があっても1/3ぐらいです。


 技術力の高さで商業的には黒字になっていますが、穀物の輸入が近年多くなり赤字へ転落するのではと言われています。


 ヴァン国は近年の寒冷化により穀物の生産量が減り、その分神聖ロマナム帝国より輸入する穀物に頼っています。


 位置的にも他の国からの輸入は距離がありすぎて、政治的な思惑が無いかぎり利に合わないでしょう。


 かろうじて北東の端の港で帝国の北東にある国々と取引していますが、冬は氷に港が閉ざされてしまい、一年を通して交易することはできません。


 帝都ミンスターの姿は、大河ワーカムの支流のバルカム川がミンスター丘陵から流れ込む支流を集めて大きくなり東から西へと流れる方向から大きく南へ湾曲する直前の、南北の岸に沿って作られていった都市です。


 北側には帝国の政治の中心部があり、皇帝城ミンスター宮殿も北の丘にその豪勢な姿を見せています。


 北側を旧都、南側を新都と分けて呼び、町の外壁も北側は高く、南側はやや低い作りになっています。


 ベルンと同じく水路が南側は発達していて都市の中心迄船で行くことが出来ます。

 逆に北側は水路が無く、計画的な格子状の街路が作られ、上下水道の整備が進んでいて住みやすい環境が作られています。


 分かりやすく分けると、北は貴族、南は商人の町となります。


 それで、私達ですがヴァン国大使館は北の旧都側にあります、西の門から2コル(30分)程掛かってヴァン国大使館へ着きました。


 「足元に気を付けな、結構高さがあるからよ」

 と御者の人が御者台から声を掛けてきます。


 レタが残りの銀貨1枚を御者の人に渡しながら「ありがとうでありまする」とお礼を言う。

 辻馬車を拾った時、先払いで銀貨1枚、後払いで銀貨1枚の話で大使館まで辻馬車を雇った、チップ込みの値段です。


 「お嬢さん方は、ヴァン国大使館で御用がお済に成ったらどうされやす?」

 とお金を受け取りながら聞いて来る。


 「まだ、決めてないでありまする」

 とレタは何故聞くのか疑問に思ったのか警戒しながら答える。


 「おいら、流しで西門まで帰ってもまだ余裕が在るで、良ければしばらくここで待ってるぜ」

 私達がこの後移動するのに自分の馬車で行かないか言っているのでしょう。


 正直にどのくらい時間が掛かるか分からないと話しても、しばらく待ってるから長けりゃ帰るからと言うので、終わった時(必要が)在れば乗ると約束して大使館へ入った。


 ここヴァン国大使館は規模が小さくて大使も代理の大使が常駐しているだけです。

 働いている人数も30人ぐらいで、ヴァン国が輸出している魔道具などの修理を受け持って居た集団が、大使館の始まりだそうです。


 大使館としての通常業務は発行された各種刊行物の収集や帝国貴族年鑑の定期的な更新処理ぐらいなものです。


 夏は政治の季節で帝都ミンスターでは社交界が1年で最も活発になる季節です。

 ヴァン国大使館へ正式な大使が赴任してくるのは7,8月だけなのです。


 時期的にそろそろ大使が赴任して来る頃ですが、その前に書類の書き換えを終わらせたいものですね。


 大使館の入り口で入館の手続きをして、代理大使に面会の予定を伺います。

 待合室で1コル(15分)ほど待っていると、代理大使が待合室へやって来て奥の代理大使室へ案内されました。


 代理大使の方は、ドワーフのバラン・オリハラ・モドガルド様と言われるドワーフのオリハラン族系の方でした。

 お話から技術系の技師の方の様で、政治向きの方ではないようです。


 私が出した手紙はまだ届いてないようで、手紙より早く着いてしまったようです。


 私がここへ来た理由を話すと、快く引き受けていただけました。

 その時、告発書は何か手続きに問題が生じた時に対価として出すと良いでしょうと助言を貰いました。


 大貴族が集まるここではこの手の告発書は良くある事らしく、対処がほぼ決まっているそうなのです。

 どうも、この手の告発での処分は身分の高い貴族が関わっていると、下位の貴族が切り捨てられて終わるそうです。


 下手に告発書を出していると、従者登録に横やりを入れられて、告発と取引する材料にされかねないそうです。

 登録が終われば、問題無く出せるそうですが、そのころには大使が赴任してくるので大使の判断しだいだそうです。


 バラン氏にヴァン国身分証と神聖ロマナム帝国身分証に通行許可証とレタ、アイ、ナミの私が書いたヴァン国身分証を渡し、大使館発行の仮身分証を各自が貰い、従者登録をお願いして、その日は大使館を出ます。


 バラン氏から大使館の一室を提供するとの提案がありましたが、4人全員は泊まれないので宿を取る事にして、宿が決まればバラン氏にしらせるからと説得して出てきました。


 宿はバラン氏に紹介状を書いてもらった旅館猟犬亭と言う歴史ある老舗旅館だそうです。


 大使館前で待っていた、辻馬車の御者も知っているそうで、場所も比較的近いし乗っていく事にしました。


 旅館猟犬亭は広い玄関前広場を持った周りに庭園を配した、いかにも老舗ですと言う雰囲気をした旅館です。


 旅館の受付で、控えの間付きの部屋を1月間借りる契約をして、代金金貨150枚を支払います。

 大使館への知らせは宿がするそうでお任せした。

 (良く金貨で150枚もあったね by妹)

 (セルボネ市での暗躍で結構稼げたそうなの、レタがそう言ってたよ by大姉)

 (それだけではありませんけどね、錬金術は金貨もネ… by小姉)


 処で、ボネ伯爵の別宅を借りれる話はどうするかですけど、この件は従者登録で長引いた場合、社交界に出る必要があるかもしれないので、その時に使うとしましょう。

 (急に話を変えるなんて、チイ姉何をした by妹)


 宿の部屋にみんなでやって来たけど宿の従業員が引き下がった後に家(神域の部屋)へ帰り、着替える事にします。


 私はこのためにアイとカスミちゃんが造った魔糸製の普段着(超高級品)とドレス(高位貴族のドレスとしては普通)が何着かあるので宿の部屋に居る時は普段着に着替えて王族します。


 レタは執事服、アイは侍女服、ナミは護衛として通常のボディースーツとミスリルの鎧に忍者刀をサーベル風にした物に皆着替えて、宿の部屋へ戻ります。


 従者登録が終わるまでこの宿でおとなしくしている予定です。


ベルン市と帝都ミンスターは何処か京都と東京の関係に似ています。

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