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第42話 黒の森ダンジョン(1)

ベルベンボネ市を出るのに一苦労しています。

 朝ボネ準男爵から滞在を伸ばしてほしいのと、報酬を追加で、夏の間借りる別宅をそのまま私に譲渡したいなどと言って来たので、きっぱり断って強引に館を出てきた。


 ナミの報告では、私を帝国皇帝の第5皇妃か皇太子妃に押す考えを持っていた。

 元々ヴァン国から長命族の血を帝国貴族に取り入れる事は、これまでも色々やってきているらしい。


 どうも、帝国の皇侯貴族の寿命を延ばしたいらしく長命種と婚姻してその血を取り込んでいるらしい。


 ヴァン国の王族でもない長命種では長命の因子である神格が無いので長命種同士でも無ければあまり期待は出来ないと思う。


 帝国もそのあたりは察しているようで、ヴァン国の王家に連なる血筋を取り入れようと色々画策したようだが、その全てに失敗し続けているらしい。


 皇家を含めた高位貴族は機会が有ればと狙っているところへ私がのこのことやって来た、と言うことらしい。


 では、帝国に入国する時の手続きで、取り込みを何故しなかったかと言うと、ヴァン国大使館の大使代理が手続きをしたので、切っ掛けが作れなかった、らしい。

 (あの宙に浮いた男の設定よね by妹)

 (恐らく、まだ隠れて出ていない設定があるね by大姉)

 (私をどうしたいのかしら by小姉)


 急いで出たので馬車は断った。

 4人で歩いては目立つためレタ、アイ、ナミの3人は神域の部屋へ入ってもらい、私一人で歩いている。

 服は着替えてワンピースを着て、町娘ですって気持ちで門へ歩いて行く。


 昨日入った門が西門なので、今日は東では無くて川湊がある南門へ行く。

 昨日、馬車ではあるけど北門を通ってあのダンジョンへ行って帰って来たため、

 東は私が向かうベルン市へと続く街道があるので、

 真っ先に引き止めの人が派遣されていると思うのです。


 南門へ近づくと女性に限って出るのが厳重になってる。

 そうよね、船でベルン市へ行けるもんね。

 (そうだね考えれば判ると思うのよね by妹)

 (夜まで待って空から飛んで行けば良いのでは by大姉)

 (まだ、朝なので勿体ないでしょ、それにここには長居したくないのよ by小姉)


 急遽、人気の無い場所へ移動して、家(神域の部屋)に入り変装します。

 私の背格好の点から男性への変装は無理と諦め、老婆に変装します。

 (子供でも行けるんじゃない by妹)

 (その子供の姿をした人物を探してるのよ by大姉)


 髪を光魔術で白く染めます。

 皮膚の皺やくすみをやりすぎにならないようにワンピースから出ている部分に光魔術と闇魔術の重ね掛けで皮膚に描いていきます。


 最終点検は、アイにしてもらう。

 アイが小箱からブラシやパフを取り出し(え、何処にあったの by小姉)筆やそれらを使って、皺やくすみを書き込んでいく。


 アイからOK を貰い次は人が見てどう感じるかです。

 気分は森の魔女、よろよろと歩いて見ます。


 でも、直ぐにアイからもっとしっかり歩かないと歳に合わない歩き方に成っていると、歩き方まで修正されてしまった。

 どうも80歳ぐらいに変装したらしいのですが、よろよろ歩く姿が不自然にみえるそうです。

 では、改めてカクシャクと歩いてみます。

 でもそれも何処かしっくりこないそうで。


 結局私の背が足りないの一言で変装は全て否定されました。


 ナミが、闇魔術で認識を誤魔化して一緒に門を通る事になりました。


 ナミと一緒に家を出て門へ近づきます。

 先ず、門を通る大人数の団体を探します。


 門を通るため門前の広場に大勢が順番待ちをしていました。

 その中で馬車数台で来ている近くの農家の人たちがいました。

 その中の数人に認識阻害の魔術で私とナミを仲間の誰かだろうぐらいの感覚に軽く魔術を行使します。


 朝早く農産品を積んできたと思える馬車は帰りは隙間が多く、その中に私達も紛れ込むことにしました。

 門へ順番がきて向かった馬車の集団が、検問を受けます。

 思ったより早く、門番が見ただけで通って良しの許可がでて門を通れました。


 門を出た後、お喋りをするご婦人方の喧騒に紛れ、馬車から降りてゆっくり急いで森に入りました。


 既に昼10時(午後3時)になっています。

 遅くなったので、夜間飛空することにして、夜までしばらく家(神域の部屋)で待機します。


 夜は遠くまで飛空することは難しいので、少し遠くまでにして飛空するつもりです。

 初めての夜間飛空になりますが、基本昼も空間把握で飛んでいるので、計器飛行のような物です。

 目で確認できないだけで安全に飛空できます。


 夕食を皆で食べてて思います。

 やっぱりみんなで食べる食事は楽しい、貴族の正餐などは気が張って疲れるだけです、やっぱり食事はこうでなくては。


 日が暮れて、夜3時(午後8時)頃です、森の中から飛空で上空へ上がります。

 飛空服を展開しながら高度を上げていきます。


 レタから500mまで上がったと知らせがあり、滑空に移ります。方向は東へ。

 一度目の滑空が終わり2度目の滑空に備えるため、再び上昇へ移った時に、レタから上昇停止のエマージェンシーコールがありました。


 慌てて、上昇を停止し高度を維持しようとすると、再度レタからエマージェンシーコールがありゆっくり高度を下げる様にお願いされてしまいました。


 感覚を空間把握のみに限定し、再度周囲を確認すると、高度が30mを切っています。

 数m下には森の木の先端があり、非常に危険な状態です。

 ゆっくりと近くの大きな木の枝に降ります。

 (危なかったね、いきなり急降下始めるからビックリだよ by妹)

 (ああ、危なかったね、レタの御蔭だよ by大姉)

 (レタありがとう感謝します by小姉)

 『いえ、とんでもないです、お嬢様に一人で苦労をおかけしているのです、もっと早くお知らせ出来れば良かったのですが、申し訳ありませんです』と逆に謝られてしまいました。


 どうやら私は空間識失調と言う状態になっていて、下降しているのに上昇していると思っていたようです。

 レタのエマージェンシーコールが無ければ、そのまま木にぶつかって墜落していたでしょう。


 今日はこのまま木の枝に神域の部屋の扉を出して入りましょう。


 夜間飛空は怖いと分かりましたので、計器飛空(空間把握のみの飛空)が出来る様に成るまで取りやめです。


 処でここは何処でしょう。


カスミは後先考えずに行動してしまうことが多々ありますね。

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