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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第4章 セルボネ市で暗躍
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第32話・1 ダンジョン攻略を延期した理由(2)ー1

章のタイトルが始まりそうです。

 3人の男と女が1人、4人の前に先ほどの女が立って震える声で報告し始めた。


 「お頭様、北と東と西のお頭様、アクアラの頭からの依頼の件失敗しました。」

 4人とも何故だと言う顔をしている。


 続けて女が「アクアラの頭ゴールド・アームと5人それに仲間の24人全部殺された… あの女が光って空から雷がドカッて降って来て、それで死んじゃいました。みんな!」


 女の頭が「グレタ確かなんだろうな、30人もの人数が一度で殺られるとは」

 「はい、お頭様、いつまでも天から雷が落ちてきて、其の内誰一人動かなくなったんです」


 男の内の一人が女の頭に食って掛かる。「おい、南の!こっちから出した6人どうしてくれるんだ!」


 さらに男の一人が怒り狂う男に向かって「わかりきった事言うんじゃねぇ!」

 「俺も南も西もみんな同じだけ出してんだ。東のおまえだけじゃねぇんだ!」

 東の頭が北の頭に向かって「じゃあどうしろって言うんだぁ!北の!」


 「出入りじゃ、出入りしかねぇ、このまま面子潰されて黙って泣き寝入りなんざできるかぁ!!」北の頭が吠えた。


 黙っていた西の頭が北の頭を見て言った。「北の、相手は魔術師だと分かって言ってるんだな。」

 「応よ、内の子らぁ千人出したって殺ってやる。」北の頭が西の頭に応える。


 西の頭が南の頭に向かって言う。「南の、そっちはどうするんでぇ。」

 女の頭が応える「西の、うかつにアクアラの頭の話に乗ったこっちが泣き見るのは仕方ねぇ」「しかし、こんだけ虚仮にされて黙って居る訳にゃいかん。出入りしかねぇ!」


 「東の、おまえもか?」と西の頭が東の頭に問う。

 「当然、出入りじゃ、出入り、こんだけやられて何もせんなんて在らせんがぁ!」


 「俺も覚悟を決めるぜ、相手は妖精族の魔術師しかも手練れとくる。正面からぶつかっても今日みたいに殺されるだけだぜ、最初の一手俺に任せてくれないか?」と西の頭。

 「どうしようでんだぁ、西の?」北の頭が西の頭に聞く。


 「手打ちと見せかけて殺るとか食い物に毒を盛るとか色々、な。」西の頭が考えながら答える。


 話を聞いて、レタに問いかける『ねぇレタ、この頭達今対処した方が良い?、それとも紐を付けて情報や資金元を根こそぎ潰した方が良いかな』

 レタ『今対処して、その後出入りする人間に紐を付けるのが良いかと思うのでありまする』


 『ご主人様、しびれ薬の使用を提案します、許可をお願いしますです』レタから魔法薬のしびれ薬を使用したいので許可してくれと言ってくる。

 しびれ薬は手術用の全身麻酔に使用する少量でも効果のある魔法薬です、体の一部に一滴垂らすだけで瞬時に全身が麻痺し、意識を失います。

 過剰に使用すると死亡します。


 ナミの安全を考えると、此方から使用を命令した方が良い。

 『レタ、しびれ薬を対処する全員に使用して殺しなさい』

 魔法薬は、仲間の怪我などへの対処や強い魔物に使うため各自が携帯しているので、ナミも持っています。

 レタに対処を行うように指令を出す。


 私はこの盗人宿に居る者達のパターンを記録する。

 後から追跡する必要があればこれで追跡できる。


 画像と音が消えて、しばらくするとレタから報告があった。『対処完了したでありますです』

 『ナミからの知らせでは、対処した人数は全部で9名でありまする』

 ナミなら闇魔術で影に潜んでしびれ薬を9人全員に素早く使用したと思える。

 『レタ、ナミよくやった、これで最小の犠牲で済ませられる』

 『『ハイ』』レタとナミも返事をする。


 『レタ、此方の痕跡を何も残さないように、部屋の物は全て回収する』

 『現地の書類関係に気になる物があってそれを先に押収するそうでありますです』

 『アイと応援に行くでありまする』


 私は直ぐに盗賊宿に向かった。

 近くまで来たので、アイが事件の前に買った物を入れていたウエストバッグを持ったままなので、盗賊宿にナミの手助けに行かせる。

 レタは私の直ぐ側に居て周囲の状況を監視させる。


 この盗賊宿は地下に下水道へ抜ける部屋があり、先ほどの頭達9人が居たのもその部屋だった。


 アイとナミが回収を終えて帰って来た。

 ナミの押収した書類の中にアクアラの町のスリの頭ゴールド・アームの依頼の一件があった。

 書類によると私の名前がカシミ・ボン・シールフルと成っていて微妙に間違った名前が載っている。

 依頼書に寄れば、


 アクアラの町のスリの頭だったゴールド・アームは、カシミ(私の事と想える)に対して散々虚仮にされ復讐を誓い、5人の部下を連れてセルボネ市までカシミを追って来た。

 しかし、カシミの魔術で又もや虚仮にされる事態に。

 ついに助けを闇ギルドの西の頭に求め金貨100枚で応援を頼んだ。

 西の頭は応援を承諾し、事態を勘案し東、北、南の闇ギルド上げての対応をすることにした。

 魔術師対策として襲撃する全員(30名)に耐魔術付与の魔石を持たせることにする。

 襲撃後カシミの持つ魔法袋2つの内好きな方1つの権利をアクアラの頭ゴールドが、残りは西の頭が得る事にする。


 と言う事で、私を襲ったらしい。

 10人で私の周りを囲み、更に20人がその後ろで囲んだ状態で一斉にナイフを腰だめにして体ごと突っ込んできたのだから、聖域の結界が無ければ必殺の陣形だっただろう。


 あの時敵は必殺で挑んできたが、私も必死だった。

 最初の数発の電撃が無効になった時は想定はしていたが、実際に平気で突っ込んでくる彼らを見てたじろいだ。

 良く電撃魔術を継続行使出来たと今になって想う。


 この事件を振り返って想うに、闇ギルドだけでなく、この名も無き世界の殺伐さ、簡単に殺し合い、迷宮賊のように理不尽に襲いかかってくる、無知蒙昧で刹那に生き死にを決める人間の多さに呆れ果てた。


 救いは司書の方達を知っている事です。

 知性に溢れ、思いやりと優しさを併せ持つ、彼らがいる限り私は人間に絶望しないでしょう。


カスミにとって嫌な決断でしたね。

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