第25話・2 セルボネ市(2)ー2
カスミの食事事情は悪そうです。
お昼にワッフルを食べたけどあれから2刻(4時間)以上たっているのでお腹は減りすぎてペコペコ。
しかし、トイレに行きたかったし、買い物をした食料品を早く神域の部屋へ仕舞いたかったので、借りた部屋へ急ぐことにする。
この宿は全ての照明が魔石を使った魔道具のランタンを使用している。
そのため階段もロビーも明るく照らされ、4階にある部屋も直ぐに見つかった。
部屋の中はベッドとテーブルにクローゼットを備え付けていて独り部屋としては広い。
アクアラの2人部屋2/3ぐらいは広さがありそう。
びっくりしたことに部屋の天井に魔道具の照明以外に空調が設置されていて、部屋の中を快適に保っている。
(エアコンの魔法版?ビックリです by妹)
さっそく、神域の部屋への扉を開けて中へ入る。
朝出た時のままで世界樹も神域も変化は無いようです。
買い込んだ物を部屋に片付け、いざ部屋を出て食事に行こうとして銅貨を出すと、3枚しかありません。
銅貨3枚、鐚銭3枚ではこのクラスの宿では食事ができません。
(お腹減ったよう by腹ペコ妹)
空腹を我慢しながら食事を作ることになりました。
明日の昼までの分を作るので小麦800g程を出します。
小麦を土と風の魔術で衾を取り、更に小麦粉へと加工していきます。
出来た小麦粉にチーズを粉にして入れ、水と一緒にかき混ぜ軽く練ります。
その後、一旦小麦は鍋の中にいれ放置。
その間に大鍋に水を入れ火に掛け。ジャガイモ、まだ残っていたサトイモもどき、にんじん、玉ねぎを皮を剝いて入れて行きます。生姜は擦り下ろしして入れます。セリ、パセリは最後ですからまだ入れません。
先日作ったフライパンを出し、豚の脂身を少し入れ、ハムを切りニンニクと一緒に炒めます。出来たハムの炒め物をお皿に入れ、フライパンを熱湯で洗います。
取り敢えず出来たハム炒めを食べます。お腹はペコペコですが、良く噛んでゆっくり食べます。
戦乙女の食事作法です。
(ガツガツ食べたい! by腹ペコ妹)
(矜持は高く持つことが肝心ですよ by大姉)
ゆっくり食べ終わった後、お腹も少し治まったようです。
次に放置している小麦を練った物を10個の塊に分けます。
10個の塊へ膨らし粉替わりに、錬金の分離の術で空気中の二酸化炭素を集め微量な炭酸の吹き出しをコントロールしながら膨らしていきます。
膨らんだら又放置です。
これがパンケーキ(もどき)の焼く前の準備になります。
野菜の煮物を作っている鍋にバター、チーズとセリ、パセリを入れ味と香りを付けます。
野菜の芯まで火が通れば完成。
最後に、膨らんだ塊を円形になる様につぶしながら形を作り、フライパンにバターを少量引きパンケーキ(もどき)を焼いていきます。
パンケーキの表面が残っている二酸化炭素の膨張であばた面になればひっくり返し。
両面焼ければパンケーキの出来上がり。
10枚とも焼いて内2枚を夜の食事用に、残りは保存します。
パンケーキと野菜シチューで夕ご飯です。(満腹だぁ~ by妹)
食後は土魔術で作った茶器でハーブティーを楽しみます。
お店の人が勧めてくれた生姜とローズヒップのドライハーブを試してみましょう。
食後、錬金台で明日からのダンジョン攻略に役に立つ物を作ろうと思います。
出来るかどうかは、これから幾つか試しに作る材料次第ですけど。
先ず私の髪の毛1本、プチッとします。
次に神域の壁、お餅を丸める時みたいに壁からちぎってきます。壁はなでなですると元通りです。
この2つの材料を錬金空間で融合させます。
出来たお餅の様な塊を手を触れずに感じ取れるか試します。
成功です。(すごいよ、これって依り代? by妹)
このお餅の様な塊と私との間にパスが繋がった感覚を感じます。
このパスを通してお餅の様な塊を生物のように感じ、動かすことも出来ます。
お餅の様な塊をパスを通して形を変えることから始め。
最初は土人形みたいな出来でしたが。
私から見た土人形の情報をフィードバックしながら目や耳、手や足を作っていくと。
かわいい小人さんが錬金台の上で踊ったり、ジャンプさえも出来る様になりました。
かわいい小人さんを見ます。
かわいい小人さんが私を見ます。
一人睨めっこと言いますか面白い感覚です。
(私達みたいに仮想人格を追加で作れば、この人形さん独立して動けるよね? by妹)
ダンジョンで私の前で壁役をしてくれる人型の仲間が居れば良いなと思っていましたが、上手くいきそうです。
買い物をした帰りに自販機で、と思ったらコインが無かったりしたことがあります。
パンケーキは簡単に作れるので良く作ります。
カスミのパンケーキは砂糖の入って無いチーズ味になりました。




