第22話・2 アクアラの町からセルボネへ船中にて(1)ー2
スリが付きまとうのは、カスミの行動で何かで目を付けられたのでしょうね。
スリはしつこく狙ってきます、カスミがカモにしか見えないのでしょう。
同じ傭兵ギルドが管理しているセルボネ市へ行ってみるのがいいかも。
早速セルボネ市への行き方の乗った資料を探す。
(ゴダックさんに聞くのが一番早いよね by妹)
一応足掻いて見た、2コル(30分)程。
司書のゴダックさんに聞くと川湊がある町の北から船が出ていて、二日かかるそうです。
船は夜間航行は危険なので港か安全な場所で夜錨を入れて停泊するそうで、陸地より大量の荷物は運べるけど、時間的には同じぐらいになるそうです。
乗船賃は1等(個室)で金貨1枚、2等(3段ベッド6人部屋)で銀貨3枚、3等(大部屋で雑魚寝)は銅貨50枚。
船によっては特等もあって値段は上限が無いそうです。(船丸ごと貸し切りとかかな?やんごとなき人が乗ったら、お付きの人だけでも1等、2等満員になりそうね by妹)
今の時間、昼5時(午前10時)ならうまく部屋に空きがあれば、昼8時(午後1時)に出港する船に乗れるそうだ。
金貨が必要になりそうなので、一度図書室の奥へ行って神域から金貨の袋を出してきた。
ゴダックさんにお礼を言ってギルドを出ることにする。
ギルドの南口から出て広場を取り巻く歩道で乗り合い馬車か辻馬車が通るのを待つ。
スリが近寄ってきたけど視線を向けると逃げていく。
うっとうしいな。
北へ向かう乗り合い馬車がアクアラの革加工ギルドの紋章を入れた旗を付けてやってきた。
この旗はだれでも銅貨5枚で乗れる乗り合い馬車の印だそうです。
(ゴダックさんに聞いたよ by妹)
銅貨5枚を御者に渡し、乗り合い馬車に乗り込む。
スリが近寄ってきたけどポーチの近くで電撃をスパークをさせると伸ばした手を引っ込めて逃げて行った。(ピリッときたかな? by妹)
座席は木のベンチで、両側で10人が座れるぐらいの大きさ、今は5人程が乗っていて私も空いた場所に座った。
御者の人が「傭兵ギルド出るよ、次はアクアラ商会、アクアラ商会だよ。降りる時は早目に声を掛けてくれ。」と言って、馬車を出す。
アクアラ商会の次が乗船券売り場だった。
そこで馬車を下りて乗船券売り場の建物の中に入る。
ほかにも何人か一緒に降りたので、船に乗るのかもしれないね。
乗船券の売り場は直ぐ目の前にあった。
日本の駅の改札口みたいな入り口が建物の中にあって、乗船券売り場は両側にカウンターがあり右にベルン行、左にアクアラ行と看板が出ている。
アクアラ行の乗船券売り場に行って係の人に1等に空きがあるか聞いて見ると、有ると言う。
今日の昼8時(午後1時)に出るセイルン号と言う名の船だそうだ。
早速に買い求めて金貨1枚を支払う。
傭兵ギルドの銅札を見せ乗客名簿に記入する。
乗船は昼7時(午後0時)からとのことなので、今はまだ昼5時台(午前10時)、何処で時間まで過ごそうかな。
近くに買い物が出来そうなお店があるかもと、乗船券の売り場から出る。
ここは町の北側にある川湊を囲む商会の倉庫や船を持っている商店の事務所などが立ち並ぶ場所。
やっぱり物を売ってるお店は無いかも、あっても屋台が食べ物を売ってるぐらいかな。
スリがまたやってきた。
朝から空間把握でスリを警戒していたが、どこにでもいる様です。
数人が組んでいて、獲物を物色する者、ぶつかったりして視線を引き実行役が獲物からスリ取るのを助けたりする者が何人かいるみたい。
しかもここのスリは物騒で、獲物を狙うのに刃物を使う。
一昨日のスリの少年はナイフでベルトポーチのベルトを切ろうとしたように、刃物を使うのに躊躇が無い。
下手に抗うとナイフで刺されそうで怖い。
イライラが募て来た私は、前からと後ろから私を狙ってきたスリが近づくのを把握して、お仕置きをすることにした。
私が歩く方向に一人道端に座る者がいる、その側を私が通る時前方から近づいてくる男が石に躓いてこけた。
と同時に後ろから私を追い抜きざまにポーチに手をやり…。と言う瞬間、私の怒りが爆発した。
「バチュン!」光も音も小さいが、威力はある。空から雷が落ちたように偽装して、電撃を道路を通して3人のスリにお見舞いする。
引っ繰り返ったスリの3人組を見下ろしながら。
少しもやもやが晴れたかなぁ。(ざまぁみろです by神に代わってお仕置きの妹)
道を曲がり、私を見ている者が空間把握でいないのを確認して、扉から神域の部屋へ入る。
お昼を朝のパンと緑豆と乾燥野菜色々のスープ(岩塩味)で食べる。チーズがほしいな、ソーセージも。
時間があるので、錬金の作業台と付加の作業台の整理をすることにする。
錬金の素材としてウエストポーチに入っていたのは、魔金、魔銀、魔銅、魔鉄の魔金属のインゴット(腕の長さ程)が10本づつ、魔石が8級のキラーマンティスの分2個、作業用の固定台と検査針が予備も含めて5本、重さを計る天秤が1台(基準の重りがあれば空間把握で重さが図れる)、ピンセット、ビーカー、試験管などの試薬の反応用道具大中小1つづつ。
基本は錬金空間を使って錬金するので道具は不要ですが、一般的な錬金術の道具の扱いは知っておく必要があります。
錬金で、今日はフライパンを作ろうと思います。
鉄鍋の中型を台所から持ってきます。
錬金空間を展開して鉄鍋を入れ、錬金を始めます。
鍋の形を変形していきます。
フライパンの型になる様に変形させ、使用する側の表面と柄にアダマンタイトのインゴットからフライパンへメッキしていきます。
こうするとこげつかなくなりますし、柄の部分では、熱の伝わりを遮断してくれますので。
フライパンを作り終わり、作業台の上を片付けます。そろそろ良い時間でしょう。
鎧にマントを身に着けブーツを履くと、傭兵カスミの出来上がりです。
空間把握で神域の周りを確認し、誰も近くに居ないし、見てもいないのを確認して、外に出ます。
先ほどの道に戻ってみると、もうスリ達は居ません。
さあいよいよ船に乗ります。
スリにお仕置きできたでしょうか、これで諦めてくれれば良いのですが。




