第22話・1 アクアラの町からセルボネへ船中にて(1)ー1
いよいよアクアラの町を離れます。
朝目覚めると、神域の変化が治まっていることが分かった。
どうやら半径10㎞の球形をした中に世界樹のみがあるようだ。
この部屋は世界樹の中の根本近くに在り、安定した状態を保っているのが分かったので、暫くはこのままかな。
(植物の考えなんて分からない事考えても分かんないよねぇ…by妹)
考えても仕方ないので、お腹の事を考える前に取り敢えずトイレだね。
さてすっきりしたし、お腹減ったよう。
飴か干しブドウたべようか?
いえここは、宿の朝食が良いでしょう。
昨日食べた後何とも無かったことですし、この宿の食事は美味しいですよね。
ささっと用意をする。
と言っても何時もの鎧・マントの姿にブーツを履く。
205号室を出ると今日でチェックアウトなので、この後どうするか階段を下りながら考える。
ギルドに呼ばれていることだし、朝ご飯を食べながら考えよう。
食堂に入ると、昨夜騒いでいた傭兵の人たちはほとんど見かけず。
数人のグループが幾つかのテーブルで朝ご飯を食べていた。
昨日座ったカウンターの席が空いていたのでそこに座ると、直ぐに厨房の人が見つけて声を掛けてきた。
「銅貨5枚の朝食のみだぜ、食べるか?」と聞かれたので、少し周りを見てみる。
みんなが食べているのは、昨日と同じパンと野菜ゴロゴロスープの様だけど、血のソーセージが見当たらない。とても大きかったから入ってれば誰でも気が付くはず。
厨房の人に聞くと「ソーセージは夜だけだぜ、仕込みに時間がかかるからな。」
と言う事なので、パンとゴロゴロ野菜のみのスープを頼む。
銅貨5枚と交換で朝食を貰う、今日はゆっくりと食べる。
野菜はカブ(茎も葉も入ってる)とニンジン(同左)、キャベツに玉ねぎ、ニンニクが粒ごと入ってた。パンが大きすぎて食べれないので、ポーチへ。
チップを置いて、ご馳走様。おいしかったです。
宿の受付に熊さん亭主は居なかったので、係の人にチェックアウトしてもらい宿を出る。
この宿には又来たいな。
宿を出て傭兵ギルドへ向かう。
今が昼3時(朝8時)ごろなので、人通りは少ない。
スリはあちこちにいる様だ、傭兵ってスリに狙われやすいのかな?
(それなりの大金持ってて朝から酔っ払う様なのが多いからね by大姉)
(お姉さんじゃ無くておばぁ…(あん、251歳って若いんだよ、一人前になるにはまだ千年ぐらい修行しないと成れないのよ by大姉)by赤ちゃんの妹)
(まだ、戦乙女になる前。わたしのお祖母ちゃんが言ってたことがあるわ、
「私が1万歳丁度の時、東と西から大きな音と共に暗闇と土砂の雨が降ってきたことがある」
「当時世界を支配していたドラゴン共が全部死んじまって、長いこと往生したもんじゃった」
「その当時えらい忙しくて歳を数えるのも忘れ取った」
「じゃから今何歳か分からんのじゃよ」
ってね。
だからお祖母ちゃんって歳が分からない程年を取った方の事を言うのよ by大姉)
(… by卵子な妹)
スリに会わずに無事傭兵ギルドへ来ることが出来た。
最初に狙ってきたあの少年もリベンジ狙いなのか、私の隙を狙って宿からギルドまで付いてきている。やれやれね。
これって、ベルトポーチが魔法袋と知って狙ってるのよね。
結構うっとうしいし、ダンジョンも経験できたし、次の町へ行く時期かもね。
傭兵ギルドの魔石買取カウンターの横にある受付で、昨日の件を告げて木の札を渡す。
しばらく待っていると、昨日担当してくれたエリーさんがやって来て銅色の金属札を渡してきた。
「お待たせしました。これが新しいあなたの傭兵ギルド証よ、名前と傭兵番号とスキル欄に間違いが無いか確認してください。」
一通り確認して、エリーさんに言う。
「これで、昨日の件は全て終わりですね?」
エリーさんは憂いを持った顔で
「はい、これで昨日の報酬の件、全てが終わりました」
エリーさんにお礼を言って、受付を離れ、資料室のある2階へ移動する。
2階では、相変わらず司書のゴダックさんが書類に熱心に書き込みをしている。
「また、お世話になります。ゴダックさん」と挨拶をする。
ゴダック司書が、顔を上げてこちらを見ると、「おう、お嬢ちゃんか、今日は何の調べものだ?」と聞いてくる。
「はい、アクアラの町以外の神の恩寵ダンジョンについて知りたいのです。」
「近くならセルボネに1つあるが、中級ダンジョンだな。」
「1月旅すればベルンに最深のダンジョンと呼ばれるのがある、初級から上級までの魔物が出るが、そこはまだクリアした者が居ない未踏破ダンジョンだな。」
「罠も多いと聞いている。」
「そうですか、セルボネのダンジョンやベルンのダンジョンについてもここで調べられますか?」
「そうだな、大まかな情報が乗った報告書がたしか4列の一番奥にあったと思う。」
「そこ当たりを調べてくれ。」
「はい、ありがとうございます」一礼して、早速図書室の4列目へ向かう。
そこで見つけた報告書はダンジョンについて国内にあるダンジョンを抱えている町からの現状報告をまとめたものでした。
面白いのは神の恩寵ダンジョン以外に深淵、黒、迷い、闇、呪いの5つの森ダンジョンと呼ばれる森型のダンジョンがある事でした。
森型のダンジョンはダンジョンでは無いと言う人もいます。
1級から10級までの魔物が混在して生息しているので、ただの魔物の居る森でダンジョンでは無いと言ってる研究者もいます。
そこで、都市にあるダンジョンを神の恩寵ダンジョンと呼びその他の紛らわしいダンジョンかもしれない物と区別しています。
初心者ダンジョンに入った経験から言えば神の恩寵ダンジョンはピッタリな名前です。
あれほど人間に都合の良いダンジョンは無いでしょう。
今は他のダンジョンは関係ないので、神の恩寵ダンジョンを調べます。
ダンジョンに係わる都市からの報告書を見ます。
その中にセルボネ市とベルン市の報告書もありました。
神聖ロマナム帝国には5の神の恩寵ダンジョンがありベルン市とルクステン市以外のダンジョンは攻略されていて帝都ミンスター、アラクラの町、セルボネ市の3つがある。
初心者ダンジョンとはアラクラにある初級ダンジョンの事を言っていて、出てくる魔物が初級(8~10)しか出てこない。
全10階層、管理は傭兵ギルド。ダンジョンボスの魔物が8級。
中級ダンジョンは、初級(8~10)から中級(5~7)が出る。
セルボネ市、 全35階層、管理は傭兵ギルド。ダンジョンボスの魔物が5級。
ルクステン市、全30階層、最下層への立ち入りは許可制、管理はルクステン市。
上級ダンジョンは、初級、中級、上級(2~4)が出る。1級は未確認。
帝都ミンスター、全60階層、最下層への立ち入りは原則禁止、管理は神聖ロマナム帝国。
ダンジョンボスの魔物が2級だったと言われている。
ベルン市、全50階層以上、未走破層への立ち入りは許可制、管理は神聖ロマナム帝国。
これからダンジョンで色々出来るかなぁと思っていたのですが。




