第21話・1 (閑話)傭兵ギルド定例会議
腕輪の鑑定をした翌日の朝、傭兵ギルドでの会議です。
傭兵ギルドは7日に1度、月毎に3回、昼2時(7時)より各部署の長が集まって会議を開く。
今日は定例会議に調査部門の長としてニース・エーベルハルトが財務、魔石と魔物の部位を扱う魔物部門、傭兵への仕事の提供を行う営業部門、庶務、等の長達とギルド長を前にして最初の報告を行った。
「さて、最初に発言することをお願いしましたのは、ギルドにとって15年ぶりとなります快挙が達成された事のご報告があったからです。」
長達が一斉に彼の方を向いた。
魔物部門の長は知っていたようだが、ほかの部門の長は何も知らなかったようで、初めて聞く快挙について何事だろうと注目するのだった。
「ご存じのように、ギルドが管理するダンジョンでは魔物は迷宮主以外では9級までしか出てまいりませんでした。」
「しかし、昨日8級のキラーマンティスが出現し討伐され、魔石の買取こそありませんでしたが、キラーマンティスの鎌が2本魔物部門に売却されたことを確認しております。」
一斉に長達の視線が魔物部門の長に向く。
魔物部門の長は肯定するようにゆっくり頷いた。
「それに伴いまして、ダンジョン9階に今まで未確認だった部屋が、新たに発見されましたことをご報告いたします。」
「しかも、その部屋の箱から出た腕輪を確認しております。」
どよめきが部屋を満たした。
それは、部門の長たちが上げた物だった。
「鑑定では【古代アーティファクトの腕輪】まで分かりましたが、探索者本人の意向で更なる鑑定はしておりません。」
彼の後ろに控えていた、調査部門主任ドミトル・クエールがニースの横へ出てきて一礼する。
「新エリアの調査と腕輪の鑑定に当たりましたドミトルです。」
「昨日新エリアの報告を受けその部屋の箱より出た腕輪の鑑定依頼がございました。」
「鑑定の報告は先程エーベルハルト部長より報告のあった通り【古代アーティファクトの腕輪】までです。」
「次に、新エリアの確認につきましては、急遽調査隊を編成し確認のため私も現地へ行ってまいりました。」
「結果をご報告いたします。9階の新エリアは間違いなくありました。」
「魔物のキラーマンティスも再発生しておりますのを確認し討伐しました。」
「魔石とキラーマンティスの鎌を落したことも確認いたしました。」
「箱は出現しておりませんでした、以上です。」
ドミトルは一礼をしてニースの後ろへ控える。
報告を受けて、各部門長たちは自部門への影響や対応について周りの者と話し始めた。
しばらくして、ギルドの長が注目を引くために立ち上がり、各部門長達を見回すと。会議室の喧騒も収まり、全員が傾聴する姿勢を示した。
「諸君、8級とは言え需要の多い下位の中でも最高位の魔石がアクアラで手に入るのは喜ばしいことだ。」
「この近くではセルボネのダンジョンでしか手に入らなかった事を考えればアクアラで8級魔石を随時提供できるのはアクアラ傭兵ギルドの位階を上げる事に繋がると考えている。」
「諸君もこの件については部門へと持ち帰り検討してほしい。」
「この件については以上だ。」
ギルド長の発言の後もしばらく騒めきは続いたが、やがて次の議題へと移っていった。
会議の出席者たちにお茶を注ぎながらエリーは、幼げな魔術師について昨日のニース部長の話を思い出していた。
彼は階級を上げると言っていたが1つ上に上がるぐらいでは、今日の話の内容と釣り合わないわよね。
ギルド長も階級ぐらいドカンと上げなさいよね。
ついでに私たちにもギルドの位階が上がったら賞与をたくさんお願いします。
この後報酬は、10級から9級への昇級のみだと聞いて、賞与はだめだこりゃと思うことになる。
報奨としてはこの様な物でしょう。
彼女は期待しすぎです。




