第11話 アクアラの町(2)
アクアラの町の様子です。
後に出てくるセルボネ市を支える皮革の加工を中心に発達した町です。
先に市場で食料品を買いましょう、ダンジョンについては買い物しながら聞いてみれば良いかも知れませんね、お米みたいな穀物があれば良いのですが。
市場をゆっくり歩きながら、各テントでの品揃えや値段交渉のやり取りを注意深く聞いていきます。
ここでは、銀貨で買い物をして銅貨でお釣りをもらう様な買い物は、だれもしていないようです。
銀貨が必要な買い物は銀貨だけで支払います。
銀貨1枚銅貨50枚の様な値付けはありません。
必ず、銀貨だけ、又は銅貨だけで支払っています。
市場で使っている銀貨と銅貨は、どちらにも刻印されている、葉が両側にある蔦の様な植物が完全に一周して描かれてないと銀貨や銅貨1枚と数えないみたいです。
これは注意しないといけません。
欠けた銀貨は受け取ってもらえないで、両替商へ行けと冷たくあしらわれていました。
欠けた銅貨は銭貨の扱いになるようで、2枚で銅貨1枚とか中には10枚で銅貨1枚分にしかならないのもありました。
両替商では扱わないようで、屑銭商で扱っていると聞いたけど場所は知らないようでした。
ダンジョンについて色んなお店の人から聞いて行こうと思っていたけど、お腹が「クー」と鳴って、昨日寝る前に考えたことを思い出しました。
中世の世界では不衛生で危険な物が多いんじゃない?と、だけど朝から飴しか口にして無いのでお腹が減ってたまりません。
市場の大通りからの入り口には秤を置いたお店が何軒かありましたが、あれが両替商だったようです。
入り口へと引き返し、両替商のやり方を見てみます。
私以外にも両替商を熱心に見ている人が多くいます。
両替の仕方を見てより得な両替商を選んでいる様です。
1銀貨は銅貨88枚が決められた両替の値で、これはギルドの決まりなのだそうです。両替商の店の前にそう書いてあったから正しいのでしょう。
正確には1銀貨は銅貨100枚なのですが、10枚が両替時の税金で2枚が両替商の利となるそうです。ただし、銀貨が正規の重さであった場合の話となります。
秤には片翼に10の目盛りが刻んであり、片方の一番端の目盛で10の場所からぶら下げた皿にピカピカの銀貨が1枚乗っています。
で、反対の皿に両替する銀貨を乗せるわけですが、10と10で釣り合えば良いのですが、実際は磨り減ってるのが当たり前なのでピカピカの銀貨が乗った皿を動かすことになります。釣り合った場所で銅貨と交換です。
ここまではどの両替商でもまぁ同じです。
違いは次の銅貨の計り方で、両替商は釣り合ったピカピカの銀貨を取り、銅貨88枚分の分銅(アクアラの商業ギルドの刻印が打ってある)を置きます。
で、反対の皿から銀貨を取り、銅貨をじゃらじゃらと積む、釣り合ったら積み上げた銅貨を客に渡して両替終了。
正規の銅貨なら磨り減った銀貨に見合った銅貨になるのですが、銅貨も磨り減るので多少多い枚数になるのかな。
それは両替商としては損です。しかし両替の仕方はギルドで決まっているので変えようが無い。
そこで鐚銭を使うわけですが、客の方は鐚銭は使えないので欲しくありません。
秤の釣り合いを同じにするため、正規の銅貨より軽い鐚銭を最後に混ぜて釣り合いを取ります。
正規の銅貨を少なくして、鐚銭を多くすると客は来ないでしょう。
両替商が損をしない範囲で客を納得させるのか、加減を見るのが難しい商売です。
鐚銭や銭貨とは、磨り減り使えなくなった銅貨や私鋳銭などをいいます。
客は鐚銭の割合で両替商の良し悪しを判断するため、良い両替商を見つけようと熱心に見てるわけです。
鐚銭を使っても客が怒らない境目は、正規の銅貨を積んでいき後少しで釣り合うという場合に鐚銭を数枚使うぐらいなら納得するでしょうから。両替商の腕の見せ所なのです。
私には空間把握があるので質量が相対的にですが分かります、そこで一番重い分銅を使っている両替商の所へ行き、銀貨1枚を両替してもらいました。
両替商の人がピカピカの銀貨と釣り合った私の銀貨にびっくりしていました。
銅貨に両替する時に85枚ぐらいから、両替商の人には最終的に銅貨88枚以上行きそうだと分かったのでしょう。
最後の銅貨を磨り減り方が少ない鐚銭に変えて3枚で釣り合いました。
正規の銅貨87枚に鐚銭3枚と言う結果に満足しています。
さてお金が用意できたので、買い物に出かけましょう。
しまった、ダンジョンについて聞いておけば良かったのに、忘れていました。
慌てて、両替商にダンジョンについて何か知らないか聞いてみると。
「おう、ダンジョンだって! このアクアラにも1つあるけどよう、詳しく知りたけりゃ傭兵ギルドで聞きな。まいどあり!次はだれが両替するかね?」
まぁ傭兵ギルドで聞けば良いと教えてくれただけでもありがたいです。
お礼を言って両替商を離れます。
市場の方へ移動しながら、食事を済ませて傭兵ギルドへ行ってみようと思ったのでした。
カスミはお買い物にワクワクドキドキしながら挑戦します。
カスミの冒険はまだまだ緒に就いただけで、更に続きます。




