第9話 (閑話)ガーウィンさんとセルボネ市評議会議員カルボネ商会長の会話
閑話2話目です。
次話から3章が始まります。
ガーウィンが奥のテントから帰ってきた。私を見て近寄ってきたので声を掛ける。
「ガーウィンどうだった?」
「へい、挨拶してきました。相手はカスミと名乗る妖精族の魔術師です。」
おお、魔術師か、道理でキャンプ地を見た時、きれいに作ってるなぁと思ったんだ。
「向こうもちょっかい掛ける気は無いようで、仲良くしたいそうです。」
「うむ、こちらも問題を起こすつもりは無い、それで、土魔術師だったのかい?。」
「はい、キャンプの回りは土魔術で整地したようにきれいでしたね。でも近寄ってわかったんですが、キャンプの回りに結界が張ってありやした。」
「結界だって!」そりゃびっくりだ! 結界を張れるのは、高位の魔術師だけだから。
「どんな結界だった?」
「いえ、それが、近づくと離れたくなるような結界でして、キャンプの側溝まで近づくのがやっとで。我ながら良く魔術師と話しが出来たと思ったでやすよ。」
「うむ、妖精族と言ったか魔術師は?。」
「へい、妖精族の魔術師だと言っていやした。」
「う~む、良くわからんな。妖精族特有の何かか、エルフの使う精霊術系かもしれんな。」「しかも、おぬし程の者に近寄らせぬとは、高位の魔術師じゃろうなぁ。」
「見た目はそこらの女の子でしたけどね。」
「見た目はな、妖精族なら10代の見た目で100や200ぐらい行ってるかもしれんな。長命族は見た目と実際の年が違うから厄介だ。」
「う~む、もう少し彼女について知りたいもんじゃのぉ。」「何か他に言っていたことは無いかの?。」
「いえ、名はカスミ、妖精族の魔術師でここにはキャンプに来た事、結界を張っているので構わないでくれと後は、仲良くしたい、ぐらいでやす。」
「後は、左手に槍を持ってやしたね、フード付きのマントにブーツと革鎧ぐらいでやす。」
「これはおいらの感ですがね、あの革鎧ブリガンダインでやすよ。しかもミスリルじゃあねぇかと睨んでるんでやすがね。チラッと見えた裏地の色が独特でやしたからね。」
「何と、ミスリル! 貴族の出か?」
「う~む、身元が確かならセルボネの専属になってもらえんかのう。」
「ガーウィンその方も知っている事と思うが、今セルボネは、筆頭魔術師の席が空いておる。」
「候補として3人の魔術師の名が挙がっておるが、皆今一つ能力が足らん。」
「うむ、今少し彼女と話をしたいのじゃが、どう思う。」
「いえ、お待ちくだせい。魔術師殿から構わないでくれと言われてやす。」
と手で止めようとするかのように、両手を前で左右に振りながら必死で止めようとする。
「う~む、そうかしかたがないのう。」
「うむ、そうじゃガーウィン、明日出発する時彼女がどちらへ向かうか見ておいてくれ。」
「へい、分かりやした。明日出発する時、最後尾に一人置いておきやす。魔術師殿の向かう先を見張るように言っておきやす。」
「うむ、たのんだよ。」
「では、おやすみ。」
「へい、おやすみなさいやし。カルボネ様。」
これで手配は出来ましたし、アクアラの町で彼女に会えるかもしれませんね。
この街道の先はアクアラしかありませんし、アクアラから来たのであれば、ここでキャンプするより、私たちが今日昼に通過したベオウルスの村に泊まりますからね。
カルボネ商会長が寝床にしている馬車へと歩いていくのを、ガーウィンは頭を下げて見送りながら、魔術師殿のテントは魔道具かもしれない。
もしそうなら装備といい、持ち物まで高価な魔道具を使うなど、あの結界があればこそ使えるのだろうな。
と考えていた。
翌朝、見張りに残した者から彼女の移動方法を聞かされて、腰を抜かすことになる二人だった。
2人はこの後でも出てくる人たちです。




