賢者の石について
スターライント王国領—————-
スターライント城下町
『おーい、ラインー!ちょっと来てくれんかー!』
異空間から戻ってきた俺はいきなり声のじゃがれたお爺さんにいきなり呼ばれた。
俺はお爺さんの方へと近づいた。
『おう、ライン。立派な武器を手に入れたようじゃな。ちょいと一つ頼まれごとをお願いしたいのじゃ。いいな?』
『別にいいよ』
『実はな、ここにある魔法書籍200冊を大魔導師イザベラのところへ届けてほしいのじゃ』
『えっそんなに?多すぎて運べないよ』
『ふぉっふおっ。まぁそう慌てるでない。お主にこれをやろう。ジャジャーン!インベントリじゃ。これに魔法書籍200冊いれるじゃろ?すると、あーら不思議!こんなにコンパクトに収納されるのじゃ。これで簡単に運べるじゃろ?ささっ、行った行った。イザベラの館はそこの噴水を北に行った坂道の頂上にあるぞぉい』
俺はお爺さんからインベントリを受け取った。
物凄く軽い。中に魔導書が200冊も入っているとは考えられない。
俺は北のイザベラの館を目指して、歩き出した。
イザベラの館までの道中には、
レストランや武器屋、防具屋、薬屋、宿屋など
様々な店が立ち並ぶ。
そうこうしている内にイザベラの館に到着した。
イザベラの館は不気味な雰囲気を醸し出しており、
暗い。匂いも色んな魔法薬を使って、薬を調合しているのか薬品の独特な匂いがする。
『何か様かい?』妖やかしのような声だ。
『あんたがイザベラさん?』
『あぁ、そうだよ』
イザベラは胸元が大きく開かれたローブを纏っている。
紫のロングの髪で、派手な化粧をしているが美人だ。
『なーにじろじろ見てんだい?』
『あぁ、ごめんなさい。噴水脇にいたお爺さんからイザベラさんに魔法書籍200冊持って行くように頼まれたんだ。どうぞ』
俺は魔法書籍をインベントリから取り出した。
『ふーん、あんた賢者の石をつけてんだね』
『あっこれ。これって何なんですか?』
『それはね、賢者の石と言って、鍛えると魔法が使えるようになるんだよ。例えばこんな風にね』
イザベラの両肩から突然、黒紫に輝く大きな羽が生えた。その羽はイザベラの前で大きな黒い球を作り出す。
俺はその球に吸い寄せらるように引きずられていく。
踏ん張ってもどんどん吸い寄せられて行く。
なんだ...?
『フッフッフッ。分かっただろう?これが賢者の石の力さ。私は闇属性なのさ。まぁ私クラスの大魔導師となると他の属性も使えるが、話がややこしくなるので今はやめておこう』
『闇属性?』
『あぁそうさ。私は闇属性なの。賢者の石は使用者の性格や思考によって、使える魔法属性が変わるのさ。あんたの賢者の石はほんのりと赤く光っているから炎属性だね』
俺は炎属性なのか。
『他には何属性があるんですか?』
『基本属性は炎・水・木・光・闇がある。さらに応用属性というのもあるが今はまだ覚えなくていいだろう』
『どうやったら魔法使えるの?』
『魔法は簡単さぁ。イメージするだけ。やってみな』
俺は掌から赤い大きな炎が出るイメージをした。
しかし、俺の左手からは何も出て来ない。
『ハッハッハッハッ。まだまだだねぇ。いきなりは出来ないよ坊や。まずは人差し指に小さな火を灯すぐらいのを練習しな。魔法は想像力が必要なの。より現実的で具体的な想像が出来るようになると自然と魔法は扱えるようになるよ』
より具体的なイメージかぁ。
これから練習していこう。