セレナの指環
気がつけば俺はエルフの里にいた。
『ラインさん、お目覚めですか?』
心地よい長老の声だ。
『あぁ、長い間眠っていたようだ』
『あなたは二日間眠っていましたわ。最初は高熱でうなされいましたが、お薬を飲ませると落ち着いたようですね』
『看病してくれたんだね、ありがとう』
『いえいえ、こちらこそ本当にありがとうございます。あなたはドクリムスを倒してくださいました』
『俺はなにも…。セレナが俺を守ってくれたんだ』
『セレナは勇敢な戦士でした。彼女があなたとこの森を守るということは彼女の務めです』長老は毅然としているが、目に涙が溜まっているようにみえた。
『この指輪はセレナがずっと大切にしていた指環です。あなたに持っていていただければ彼女も幸せでしょう』
長老はそう言って、エメラルドの宝石が施された指環を俺に渡した。
俺はセレナの指環を左手の人差し指に装備した。
『その指環は特殊な力があります。一度訪れたところにあなたはワープすることが出来ます。行きたいところを想像してみてください。』
俺はスターライントにある宿を想像した。
俺の身体は一瞬にして宿屋に移動した。
すごい能力だ。
俺は指環を眺めた。
セレナすまない…そしてありがとう…
俺はベッドの枕に顔を埋め
やり切れない気持ちを押し殺した。
俺がもっと強くならないと
もっともっと強くならないと
何も守れないじゃないか…!!