エルフの里
痛いっ…。
突然放たれた弓矢。
俺は弓矢を撃ってきた方角を振り返った。
白金の長い髪の毛の者が俺に向かって弓矢を3本連続で放つ。俺は刀で弓矢を捌いた。
『お前はなぜ攻撃する!』
俺は叫んだ。
弓使いは無言で弓矢を放ってくる。
俺は迫り来る弓矢をかわしながら、弓使いとの距離を縮めた。
この距離なら捕まえられる。俺はそう思った。
左手に炎を宿した。
『炎を使うなっ!愚かな人間め!』弓使いが叫んだ。
俺は咄嗟に左手に燃える炎を鎮火させた。
『火は消した』俺は左手を上げた。
弓使いは俺のことをまじまじと観察したあと、付いてこいと合図した。
俺は弓使いのあとをついていくことにした。
弓使いは森の中を身軽に歩く。
俺には同じところをぐるぐる回ってるように思えた。
もう何時間も歩き続けたと感じた頃、突然、森の中の集落に着いた。
『ここはエルフの里よ。私の名前はセレナ。お前を長老に会わせる』
セレナは大きな樹を指差して、あそこが長老の家だと言った。
俺たちは大きな樹の前にやってきた。
大きな樹の周りには枝で作られた階段があり、上へと上がった。樹の中に大きく掘られた窪みがあり、中へと入った。樹の中は花の甘い香りがした。
目の前には長身の綺麗な女性が立っていた。
『長老、強そうな人間を連れてきました』セレナが言う。
『ありがとう、セレナ。貴方たちのやり取りは一部、小鳥たちが教えてくれました。さて、ラインさん。私たちは貴方にお願いがあるのですが、聞いてくれませんでしょうか?』
なぜ俺の名前を知ってるのか?不思議に思ったが、エルフは何でもお見通しなのだろうと思うことにした。
『お願いというのは?』
『私たちエルフは木々と一緒に生活をしています。ですが、最近この深緑の森にドクリムスという凶悪なモンスターが住み着きました。ドクリムスは木々を毒で汚染し、緑が失われ、小鳥たちは住む場所を失っています。どうかドクリムスを討伐していただけないでしょうか』
腕試しが出来るいい機会だと思った。
俺は承諾し、セレナが同行することとなった。
『頼みを聞いてありがとう。また先程は突然攻撃をしてすまなかった』セレナはラインの左手を握り、回復をしてくれた。
『もう分かってると思うが、森で炎の魔法は使わないでくれ。森が燃えてしまうから…』
『あぁ、わかった』
俺は左手をポケットに突っ込んだ。
ドクリムスは深緑の森の南を住処にしているらしい。
俺たちはドクリムス討伐へ向けて、エルフの里をあとにした。