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榊原三姉妹の事情 ~優子の場合~  作者: 芋村 とろろ
2/3

ちょこっと咲子sideです。

咲子ちゃん説明ありがとです。´ω` )/


-----side咲子-----



「、、だからね 私。あざとさを身につけようと思うわけよ!」




20年前に力強くそう宣言した私の親友、榊原 優子はめでたく本日28歳になった。

優子ちゃん、、いや、優子は相変わらず 発想が奇天烈な事を除けば 普通のOLだ。

今は有名保険会社に就職して、支店から本店へ移動。営業担当で着々とキャリアを伸ばしているらしく、同期でもライバルは常に男社員の様だ。本人は何を思ってそんな事をしているのか私には未だに謎だが、優子は普通に可愛い女性である。普通を強調しよう。普通に可愛い。普通に。普通に。

言ってしまえば、確かにミス大学に選ばれたりするような派手な美しさはないが、一緒にクラス委員をしたら絶対 相方の男子生徒は優子を好きになってしまう様な、女子的可愛さを持っている。気が利くし、優しいし、笑うと癒し系の笑顔がたまらないのだ。マイナス要素としては、それらの素材を全てパーにしてしまう残念な発想と、自信のなさだろうか。自信に関しては、本人曰く美人で色気のある姉と妹に挟まれているからだ、と言っていたがそれだけではなさそうだ。


20年前にいきなりあざとさを求め始めた親友は、今では立派な小悪魔になってしまった。計算に計算を重ね、作り上げたらしい好印象は、異性はもちろん、同性にも好かれる完璧な仕上がりとなっている。

今日は久しぶりに優子と会う事になっている。誕生日祝いのために行きつけの居酒屋で待ち合わせをしているのだが、優子はまだ来ない。かわりに携帯のメッセージを知らせる振動がスカートのポケットより響く。


『今、駅に着いたから 後10分くらいで着きまーす(*^ω^*) !』


文字のあとに『!』を付けるのではなく、絵文字のあとにつけることで、文字での強調を和らげ絵文字の可愛い雰囲気を高める効果があるのだと、鼻高に熱弁してきたのは 何年前だったか、、携帯持ち出して早々だったから、15?16?くらいだったかな〜、、。と考え事に耽っていると 御本人が到着した。



「咲子〜!待たせちゃってごめんね。久しぶりだねぇ。」


落ち着いたブラウンのミディアムボブに好感の持てるブラウス、花柄のミモレスカートという出で立ちで現れた優子は、愛され女子達の愛読雑誌のスタイルそのままだ。まさにOL雑誌の定番の様なスタイルで走りよってきた。


「優子、久しぶり。あんまり待ってないから大丈夫だよ。それと、誕生日おめでとう。はい、コレ。」


さくっと挨拶を済ませ、用意していたプレゼントを渡す。本人希望の婚活リップとか言うやつだ。



「ありがとう〜!何番にしてくれたの〜?咲子のチョイスは間違いないから、楽しみにしてたんだ〜」


ショッパーを食い気味に見つめつつ、綺麗にテープを剥がそうと端っこを指でカリカリとしてる優子を見ながら軽く返す。


「百貨店の化粧品メーカーに務めてる者としては、お客様に似合うものを選ぶのも仕事だからね。」

「だから、頼りにしてるのよ〜。あ、可愛い色!ちょっと今 つけてみてもいいかな?」



リップを取り出し、早速鏡とティッシュを出してタッチアップしようとしところへ、店員さんが注文を取りにやってきた。


「もちろん!あ、生ふたつ。枝豆とたこわさと、白子ポン酢。後、串盛りおすすめで。」


いつものようにメニューを注文したところで、リップをつけた優子を見る。


「うん、いい感じだね。色白の優子にピッタリだよ。」

「凄くしっくりくる色。縦じわも目立たないし、このリップ凄い!咲子ありがとう〜!」

「どういたしまして。ところでさ、もういいんじゃない?」



ここの居酒屋のいいところは、大衆居酒屋の価格帯でありながら、テーブルの配置が半個室状態なところだ。テーブル前で足を止めて、こちらを覗き込んだりしない限り、顔が分かりにくい感じになっている。


「ん、かな。じゃぁやーめた。あの喋り方もエネルギー使うしね。」



優子は 小さい鏡に写ってる唇に満足しつつ、さくっと被っている猫を脱ぎ捨てた。

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