タモリさんのカレー論と、ボクの美味しさ嗜好
これも、SNSで必ず1度は書くネタ。
かつて“お笑いビッグ3”に数えられたタモリさんの、お昼に帯で放送された公開収録バラエティーは人気で、日曜日には総集編まで放送されていた。
総集編の特典コーナーの、“収録後、観客の前での出演者によるフリートーク・コーナー”での会話。
『カレーライスの食べ方の、こだわり』という話になった。
で、タモリさんから出た発言が『食べる前に、全体を、ぐっちゃぐちゃに混ぜる』。
もう条件反射みたいな間髪入れずに、共演者の森口博子さんが「子どもみたい……」と言ってしまった時の、タモリさんのリアクションが、なかなか激しかった。
「な!な!な! こーゆーことを言うヤツがいるだろ!? だからオレは絶対に他人とは一緒にカレーは食べないんだ!」
笑う共演者たちと観客。
タモリさんは、理解者がいなのがよほど悔しかったようで、小さく「料理なんてものは、均等に味が混ざってる方が絶対に美味いのに……」と呟いていた。
コレである。
コレを、今回は考えてみたい。
タモリさんの言うことは、基本的に賛成である。
料理の世界では『味が均等になるように調理する』のは基本中の基本だ。
料理人の世界では、炒めて塩コショウをする調理では『シロートでも失敗しない裏技』として、『フライパンに油をしいた時点で、目分量で塩コショウをかけて混ぜ合わせ、それから具材を投入して炒める』というのも、あるらしい。
タモリさんの発言は、自身も料理好きで“料理上手”と言われるからこその、こだわりのように思う。
『ぐちゃぐちゃに混ぜて食べるのは子どもみたい』というのは、マナーからの問題である。
“見た目を汚なくして食べるのは、良くない”というのは、食事に同席する人への配慮としてのマナーみたいなものだと、ボクは思ってる。
そして、バカげているとも。
そんなの、そーやった方が美味いなら、それが『カレーライスの正しい食べ方』として、みんなが黙認してしまえばいいのだ。
『はじめに全部をぐちゃぐちゃにかき混ぜてから食べる』料理なんて、この世に無いわけではないのだから。
ただし、ボクはカレーライスをぐちゃぐちゃに混ぜてから食べたりはしない。
ボクには、『『混ざりきっていない美味しさ』というものが、この世にはある』という価値観があるからだ。
ボクにとっては“納豆ご飯”も、ソレである。
醤油を納豆には混ぜない。
納豆をご飯にかけてから、全体的に醤油を回しかける。
納豆がご飯にかかってる所は混ぜる。
でも、他は混ぜない。
納豆とご飯の混ざった味、醤油がかかってるだけのご飯の味を、それぞれ楽しむのだ。
何もかかっていない白いご飯は、その2つの味をオカズのようにして食べる。
なんと言うか──起伏を楽しむような、または1つの器でいろんな味を楽しむような気がして、この方が好きなのだ。
まあ、好みの問題である。
ボクの考えが正しいと強要するつもりも無い。
ところで、ボクより上の世代で『カレー大好き』の代名詞みたいになっている『秘密戦隊ゴレンジャー』のキレンジャーは、ボクの記憶では、“ほぼ混ぜない”。
ルーの所ならルーだけ、かかってる所、白いご飯だけの所はそのまま、食べるシーンを視て「あ、そーなんだ……」と驚いた記憶がある。
たぶん“大好きで、あっという間に食べてしまう”という演出のための食べ方か、テレビ番組としての画的な配慮だったのだろう、と推測する。
ただ──これは、美味しそうには思えなかった……。