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第1部 魔王討伐世界救済編 5章

5章

本来ならとっくに着いているハズの町の門すら見えずあれから2~3時間ぐらい過ぎようとしている。

「なぁ、ジルド…」

「どうした・・・。」

「本当ならとっくに町に着いていてもおかしくないよな?」

「うん、なんでこんなに掛かったのだろう?」

既に道は夕暮れで暗くなっており、町の方向の先を見てもだんだん夜の闇に包まれようとしていた。


ただ歩いていただけなのに重くなった足でとにかくブノールへと向かった。

「イデア、ブノールってこんなに遠かったっけ?」

「いや、もうそろそろ着いても良いんだけどなぁ…?」

なん分か歩いても辺りは変わらず町へと続いている並木道でその先は一寸見えない暗闇で覆われていた。


「……ジルド、さすがにおかしくはないかこの道?」

「イデア、俺も何となくだけど変な感じがするかも…。」

あまり街の方には行ったこと無かったが、幼い頃シスターミオリアに連れられ街に馬車で買い物をした記憶がある俺らには、ここまで時間が掛かるのは異様だと感じた俺らにはその異変に気づくのが既に遅かったのかも知れない。

互いのその確認をとった瞬間だった。


「ぐっ!!」 パァン!!


!?


いきなり目の前でイデアがまるでなにか大きな動物に突進されたかのように後ろに飛ばされた。

「なっ、なんだ!?」

イデアが飛ばされた反対の方向を見るとなにやら黒い靄のような得体の知れない何かが現れた。それはだんだん立体的になってきてハッキリとした巨大な獣に姿を変えた。

俺は直感的にこれがなんなのか分かった、いや分かったと言うより覚えていた。


「まっ…魔獣!!?」

俺はあまりにも突然な出来事過ぎて動揺を隠せなかった。とっさにイデアの方に駆け寄って、

「イデアっ!! ヤバイ逃げるぞ!!」

しかしイデアに反応は無かった、慌てて確認したが息はあった。どうやら先程の一撃で気を失ったようだ。 だとしても今のこの状況はかなり危険だ。


「っ…やるしか…無いのかよ…?」

逃げ出したかった、とにかくこの場所から一刻も早く。 だが友を置いて行くわけにはいかない、俺は震える手で腰に携えていたドンガの村人から貰った護身用の剣を構えた。


「くっ…来るなら来いっ!! 俺がっ!あっ相手だ!!」


「グゥゥゥゥゥ…」

魔獣はその場を動かずこちらを待ち構えているように見えた。


「なっ! 舐めやがってぇぇぇぇ!!!」

恐怖に動揺をまだ隠せない俺は声と共に魔獣に向かって飛びかかった。


「バウッ!!」それに反撃せざんと魔獣が俺にその大きな前足を振り下ろしてきた。

とっさに守りの構えに切り替えなんとか攻撃は防げた。これも嫌々イデアとほぼ毎日してきた修行の賜物だ、だがそのおかげで今の一撃に相手の力量が分かってしまった。

あのイデアを一撃で気絶させれるほどのパワーは俺の恐怖に追い討ちをかけるような絶望を与えた。


そんな事を考えているうちに魔獣がこちらに飛びかかり攻撃してきた、俺は再び防御したが今度の一撃は先程とは比べ物にならないほどのまるで重い鉄球を至近距離でぶつけてきたかのような強い衝撃だった。

そのまま力負けした俺は後ろに吹っ飛ばされた、直ぐ様立ち上がり続いてくる魔獣の猛攻に剣を盾に耐えるしか無かった。


ーヤバイ…殺られるっ…!ー

最悪のビジョンしか頭に浮かばなくなってしまい魔獣の攻撃に耐えている俺の両腕はその強撃に痺れ始めた、そろそろ限界だ。


「グァァァァァァウッ!!」

魔獣が痺れを切らしたのか止めと言わんばかりの一撃を噛ましてきた。

腕が限界に達した俺は為す術なく食らってしまった。


「っぐ……。」 辛うじて意識はあったものの体が痛みのあまり言うことを聞かない。

ここまでかやっぱり俺らじゃまだ全然弱いのかそんな後悔がずっと頭に浮かんできた。


このまま殺られると覚悟をしていると魔獣は俺ではなくイデアの方に歩み寄っていった。

「!!? おいっ!! 何している!? お前の相手はそっちじゃないだろ!!」


何度も出せる声を振り絞り叫んだがそれでも魔獣はイデアに向かっていく。

「やっ…やめろっ…殺るなら俺から殺れ…。」悲痛な叫びは絶望に落とされた俺の声を段々弱くさせていった。


友の前に立ちはだかった魔獣は何も抵抗も出来ない無情な止めを刺そうとしていた。


「……やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


その瞬間あの時に似た感覚が戻ってきた、目は熱くなり左手の甲には謎の紋章が浮かび上がってきて先程まで動かすことに困難だった体は何事も無かったかの様に立ち上がり透かさず魔獣に殴りかかった。 するとどうだ、さっきまで力負けしていた自分と立場が変わったかのような勢いで魔獣を前方に飛ばした。


「おいっ…! 散々遊んでくれたな…今度はこっちからやらせてもらうぜ!!」


俺も柄ではない言葉を魔獣に吐き捨て勝手に左手を向けた、そして意識したわけでもなくごく自然にまたあの魔方陣が出てきた。


「俺らの前から消えてしまえっ!!」

その言葉を吐き出した瞬間再び俺の手から一気に炎が魔獣に向かって放たれた。


「ぎゅぁぁぁぁぁあーーー!!!」

醜い悲鳴と共に魔獣は俺の放った炎の海に飲まれそのまま姿形残さず消滅していった。


その後、ふと我に返った時俺は左手を掴んでその場にしゃがみこんで震えていた。

―何なんだ、この力!? 俺、一体どうなっているんだ!?―

頭のなかで混乱と恐怖が同時に襲ってきて段々とまた意識を失っていく。


「…ルドッ……ジッ…ッド! ……ジルドっ!!」

あれ、誰だろう…どこかで聞いたことあるような…いや、やっぱり知らない誰か…でもなんでだろう…とても聞き覚えがあって暖かい…懐かしい気持ちになってしまう。


「……ジルドっ!!!」

ー!?ー  さっきとは違ってこちらはよ〜く聞き覚えのあるイデアさんの声だ、あまりの至近距離からの目覚ましだったのでお陰さまでパッと目が覚めたよ…。


「…イデア…俺っ…気を失っていたのか?」

「あぁ、俺もそうだったけどなぜか道端で倒れていたようだな。それよりジルドあそこ見ろよ!」

その言葉に誘われるがまま視線を向けるとそこには俺らが目指していた最寄りの町ブノールが目と鼻の先にあった。


「イデアっ…!」  「あぁ…やっとだな…!」 「「着いたああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」 ここに来るまでにいろんな事があり過ぎてちょっとばかし心砕けかけてたところもあったけどここまで来たんだと思うと何とも言えない達成感で満たされていく実感が沸いてくる。


まぁ達成感もそうなんだが…

「なぁ、イデア…。」 

「どうした、ジルド?」 

「とりあえず、宿で休んで飯食わないか?」

ーグウゥゥゥゥゥ…ー

「それもそうだな、俺もさすがに疲れた...。」

俺たちは町に着いた喜びとかよりまず色々な休息を求め宿屋にいくことにした。


最近暖かい天気が続いて北海道の雪も溶け始めてきました。

ほんと北海道っぽくない冬だったなー。

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